2025年12月の記事一覧
【2025年中古戸建市場分析】成約増も「伸び」に陰り。地価上昇の波に乗れない中古戸建市場の実態
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
2025年も残すところあとわずかとなりました。本年も多くの不動産取引に関わらせていただき、心より感謝申し上げます。
さて、毎年恒例となりました「福山市・中古戸建市場の年間分析レポート」をお届けします。今年の福山市中古戸建市場を一言で表すと、「地価上昇の恩恵を受けきれず、物価高による家計防衛意識が価格を押し下げた一年」でした。
実際の成約データに基づいた「2025年の総括」と「2026年の戦略」を解説します。
1. 2025年のエグゼクティブサマリー
データ上のトピックスは以下の通りです。
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成約件数は増加するも、伸び率は鈍化: 年間で153件(※)の成約があり、過去7年で最多水準となりましたが、昨年の急増に比べると伸び率は4.8%にとどまり、頭打ちの傾向が見え始めています。
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「地価上昇」と「成約価格」の乖離: 近年、地価や建築費の上昇が続いていますが、中古戸建の平均成約価格は1,490万円となり、2022年をピークに3年連続の下落となりました。
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「生活防衛」による予算縮小: 食料品やエネルギー価格の高騰が家計を直撃し、住宅購入に回せる「可処分所得」が減少しています。その結果、市場が地価上昇への期待に応えられるほど成長していない(価格転嫁できていない)実態が浮き彫りになりました。
※本記事のデータは、2025年12月27日時点における西日本不動産流通機構(レインズ)に成約登録された物件を基に作成しています。市場にはこれ以外にも、宅建業者間で相対取引された物件や、登録義務のない取引など多数の成約事例が存在するため、実際の市場規模は本データの数値よりも大きくなります。
| エリア | 件数 | 平均成約価格 | 平均成約日数 | 平均値下げ率 |
| 全体 | 153 | 1,490万円 | 230日 | 12.5% |
| 北部 | 54 | 1,326万円 | 298日 | 19.1% |
| 西部 | 35 | 1,270万円 | 261日 | 12.8% |
| 東部 | 33 | 1,542万円 | 215日 | 9.1% |
| 中心部 | 13 | 1,883万円 | 114日 | 10.3% |
| 南部 | 11 | 1,935万円 | 98日 | 4.1% |

2. 2024年との比較分析 ~「長期化」と「選別」の年~
2024年と比較すると、成約数は増えているものの、売主様にとっては「我慢」を強いられる場面が増えていることが分かります。
| 項目 | 2024年実績 | 2025年実績 | 変化のポイント |
| 成約件数 | 146件 | 153件 | +4.8%(微増) |
| 平均成約価格 | 1,526万円 | 1,490万円 | -2.3%(下落) |
| 平均成約日数 | 207日 | 230日 | +23日(長期化) |
| 平均値下げ率 | 10.9% | 12.5% | +1.6pt(拡大) |
▼ 成約件数の伸び悩み
2023年から2024年にかけては36件の大幅増(約32%UP)でしたが、2025年の増加幅はわずか7件にとどまりました。需要が一巡し、買い手の動きが慎重になっている様子がうかがえます。
▼ エリア格差の拡大
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南部エリア: 平均98日で成約。昨年(212日)から大幅短縮しており、依然として強い人気を誇ります。
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北部エリア: 平均298日(約10ヶ月)と長期化が顕著で、平均値下げ率は19.1%に達しています。
▼ 長期滞留在庫の高止まり
売り出しから成約まで「360日超(1年以上)」かかった物件は、2024年の25件から2025年は26件と、高い水準で推移しています。これは一時的な現象ではなく、「価格設定を誤ると1年以上売れ残る」というリスクが、市場に慢性的に存在していることを示しています。

3. 2019年からの長期トレンド ~なぜ地価上昇でも価格は下がるのか?~
7年間の長期データ(2019年~2025年)を俯瞰すると、市場の構造的な変化が見えてきます。特に注目すべきは、「物価上昇」が引き起こす「住宅予算の圧縮」です。
① 物価高による「可処分所得の減少」
平均成約価格は2022年の1,766万円をピークに、2025年は1,490万円まで下落トレンドが続いています。
一般的に地価が上がれば不動産価格も上がると考えがちですが、現在は「生活費の高騰」がそのセオリーを打ち消しています。
食費、光熱費、ガソリン代などの高騰により、家計の手取りから自由に使えるお金(可処分所得)が減っています。買い手は将来の生活を守るため、「住宅ローンの借入額を抑える(=物件価格を下げる)」という防衛的な行動をとらざるを得なくなっています。
② 「リフォーム費用」の高騰によるダブルパンチ
さらに、建築資材の高騰により、購入後のリフォーム費用も跳ね上がっています。
買い手は「物件価格+リフォーム費用」の総額で予算を組みます。リフォーム代が高くなった分、そのしわ寄せとして「物件本体の価格」を安く抑えなければ予算が成立しないという構造的な事情があります。
③ 成約数の回復基調と、その先の課題
成約件数は2021年の底(46件)からV字回復を見せましたが、前述の通りその勢いには陰りが見えます。
市場には常に800件前後の新規登録(在庫)があり、供給過多の状況は解消されていません。


4. 2026年の売却戦略 ~宅建マイスターの提言~
データ分析から導き出される、2026年の市場を乗り切るための戦略をお伝えします。
戦略①:買い手の「生活防衛意識」を理解する
「安く買い叩こうとしている」のではなく、「今の物価高では、その価格だと生活が成り立たない」というのが買い手の本音です。
地価上昇=高く売れるという思い込みを捨て、買い手の「購入後の生活(リフォーム費や維持費)」まで想像した、現実的な価格設定が選ばれる鍵となります。
戦略②:需要期を見逃さない(春と11月)
2024年、2025年ともに11月に成約件数のピークが来ました。
春の需要期はもちろんですが、近年定着しつつある「晩秋の需要期」に向けて準備を整えることが、早期成約の鍵となります。

戦略③:長期化リスクへの早期対処
データでは、成約まで1年以上かかるケースが高い水準で続いています。
「とりあえず高めで出して様子を見る」という手法は、時間が経つほど家の資産価値(築年数)を目減りさせ、買い手の選択肢から外れていくだけです。特に北部や西部エリアの方は、最初から競争力のある価格設定を行うことが、結果として最も有利な売却につながります。
5. まとめ
2025年は、地価上昇というプラス材料がありながらも、物価高による家計への圧迫が勝り、中古戸建価格が伸び悩む「もどかしい一年」でした。
しかし、年間153件(レインズ登録分のみ)という成約数は、市場に確実な需要があることの証明でもあります。
重要なのは、市場全体の「雰囲気」に流されず、ご自身の物件が置かれている「現実(買い手のシビアな財布の紐)」を直視することです。
「リフォーム代が高騰している今、現状有姿でいくらなら売れるのか?」
「生活防衛意識が高まる中、選ばれる物件にするには?」
そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ杉野伸不動産事務所にご相談ください。最新のデータに基づき、売主様のご希望に沿った完全オーダーメイドの販売戦略をご提案いたします。
不動産流通実務検定にて最高ランク「三つ星」の評価をいただきました
この度、不動産実務の知識を客観的に測定する「第13回 不動産流通実務検定(スコア)」を受検し、おかげさまで最高ランクである「三つ星(★★★)」の評価をいただくことができました。
今回の検定では全国12位(スコア490点/600点満点)という結果となり、日頃の取り組みがひとつの形になったことを大変励みに感じております

不動産流通実務検定(スコア)とは?
この検定試験は、公益財団法人不動産流通推進センターが主催する、いわばプロのための「実務能力測定試験」です。
一般的な合格・不合格を測るための資格試験とは異なり、以下の8つの広範な分野における「不動産流通の実務力」が問われ、点数によって測定されます。
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重要事項説明
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取引の安全確保
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価格査定・ファイナンス
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賃貸実務・借地借家
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建築
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不動産に関する税金
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相続
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周辺分野
不動産取引の現場で直面する高度なリスク管理・法務・税務知識が網羅されており、非常にタフな検定試験です。
→公式WEBページ:不動産流通実務検定(スコア)
毎年受検する意味
私は2024年からこの検定試験に挑戦しています。継続して受検している理由は、主に2つあります。
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自身のスキルの「ベンチマーク」として
不動産の実務は、法改正や社会情勢の変化により常にアップデートが求められます。自分の知識が独りよがりになっていないか、プロとして最新の基準に応えられているかを毎年確認するための大切な機会としています。
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お客様に「安心と安全」をお届けするために
不動産取引は、お客様の人生における大きな節目です。私たちが学び続けることは、単なる自己満足ではなく、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、お客様の大切な資産を守るための「責任」であると考えています。
安心・安全な取引を目指していく決意
今回、最高ランクという過分な評価をいただきましたが、さらに実務能力を磨いていくための通過点と思っております。
この結果を糧に、これからも現場での経験と絶え間ない自己研鑽を積み重ねてまいります。
すべては、お客様に「この人に頼んで良かった」と心から安心していただける、安全な取引を実現するためです。
不動産に関するご相談がございましたら、どうぞ安心してお任せください。これからも誠実に向き合ってまいります。
【マンションウォッチ】在庫日数は288日へ。「築浅神話」の変化と、2026年に向けた準備
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
12月に入り、街は師走の喧騒に包まれています。2025年も残すところあとわずかとなりました。
さて、今月も2025年11月度(12月1日集計)の福山市中古マンション市場の動向を、「マンションウォッチ」としてご報告いたします。
先月のブログでは、成約までのスピードに大きな差が生まれている現状について解説しました。
そして今月、平均在庫日数が288日と過去最長を更新する中で、これまで市場を支えていた「築浅物件」と「築古物件」の動向に、看過できない変化が表れ始めました。
今回は、8月から11月までのデータの推移を紐解きながら、2026年を見据えた売却戦略について、現状のデータに基づいた見解をお話しします。

1.【全体サマリー】2025年11月の主要データ
まずは、今月の主要な数値をご確認ください。
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平均在庫日数: 288日(前月比 +11日 📈) ※過去最長を更新
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70㎡換算平均価格: 2,309万円(前月比 +0.65% 📈)
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70㎡換算中央価格: 1,923万円(前月比 -0.98% 📉)
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平均と中央の価格差: 386万円(過去最大に拡大)
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価格改定率: 13.2%(前月 8.3%から 急増)
- 流通物件数: 151件(前月比 -5件 📉)
- 新規掲載件数: 18件
- 掲載終了件数: 24件


2.「10月の様子見」が招いた、在庫日数の長期化
先月のレポートで、私は「平均価格の上昇というニュースに期待しすぎて、価格調整をためらってしまうことへの懸念」をお伝えしました。
11月のデータを見ると、残念ながらその懸念が現実のものとなりつつあるようです。
10月に価格調整が停滞した結果、11月には在庫日数がさらに延び、売却活動を長期化させてしまいました。
その反動として、10月に8.3%まで低下していた価格改定率(値下げ率)は、11月には13.2%へと急激に上昇しています。
市場は今、「高値への期待」から「現実的な成約価格への調整」へと、流れが変わり始めていると言えます。
3. データで見る市場の変化:築浅物件の価格調整
今回のデータで特に注目すべきは、これまで市場を力強く牽引していた築5年未満(築浅)の物件に起きた変化です。
時系列で値下げ率(価格改定率)の推移を見ると、その変化の兆候が見て取れます。
| 価格改定率の推移(築5年未満) | ||
| 8月 | 10.7% | 正常 |
| 9月 | 12.5% | 微増 |
| 10月 | 20.0% | 上昇傾向 |
| 11月 | 25.0% | 全年代でトップ |
これまで「築浅なら高値でも安定して成約する」という傾向がありましたが、11月のデータでは築浅物件の「4件に1件」が価格改定を行っています。
4. もう一つの懸念:静観を続ける「最大勢力」
築浅層が調整に入り、築35~40年層でも活発な価格改定(21.1%)が見られます。
その一方で、私が今、注視しているのは、市場で最も物件数が多い「築30~35年」の層です。
他の年代が20%を超える割合で価格調整を行っている中、この最大勢力だけが「値下げ率9.7%」と比較的静かな動きを見せています。
在庫日数は292日と長期化しているにもかかわらず、まだ多くの売主様が様子を見ている状況です。
今後、この層が本格的に動き出した場合、市場全体の需給バランスや価格相場に大きな影響を与える可能性があります。これは、今後の市場を占う上で非常に重要なポイントです。
5. まとめ|2026年を見据えた売却戦略
11月は、市場の潮目が変わり、具体的な調整局面に入った月でした。
【売主様へ:2026年に向けた提言】
これから2026年にかけて、売却環境はより慎重な判断が求められるものになると予測されます。
特に、「まだ周りも下げていないから(築30~35年層など)」といって静観を続けることは、機会損失につながるリスクがあります。
周りが動き出した時には、競合が増え、より厳しい競争に巻き込まれる可能性があるからです。
今、ご検討いただきたい戦略は以下の2点です。
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「平均価格」だけでなく「中央価格(1,923万円)」も参考にする 平均価格は一部の物件の影響を受けやすいため、より市場の実態に近い中央価格を意識することが、現実的な成約への近道です。
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市場の変化を先取りする 競合が動くのを待つのではなく、一足先に「選ばれる価格・条件」を提示し、平均在庫日数(288日)よりも早い段階で成約を目指すことが重要です。
早めの決断と行動が、結果として納得のいく売却につながる局面です。
あなたの物件が、2026年をどのような形で迎えるべきか。
そのための最適なプランについて、正確な診断をご希望の方は、ぜひ宅建マイスターの杉野にご相談ください。
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売却のご用命、査定のご相談、各種お問い合わせはこちらからどうぞ。
【研修報告】最新の建築基準法改正と福山市の災害・空き家対策について学んでまいりました(第2回福山支部研修会)
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。いつも当社のウェブサイトをご覧いただき、ありがとうございます。
本日、12月2日(火)は、まなびの館ローズコムにて開催された(公社)広島県宅地建物取引業協会 福山支部主催の「第2回福山支部研修会」に参加してまいりました。
不動産業界を取り巻く法律や環境は日々変化しており、私たち宅建業者も常に最新の知識をアップデートし続ける必要があります。
今回は、まさに「今」知っておくべき重要なテーマについて、行政の担当者様や専門家の方から直接講義を受けました。
本日の研修で学んだポイントと、それがお客様の不動産取引にどう関わってくるのか、少しシェアさせていただきます。
研修会の主な内容
今回の研修では、以下の4つのテーマについて学びました。
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建築基準法令等に関する最近の動向について(講師:福山市 建築指導課)
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福山市の空き家対策について(講師:福山市 建築指導課)
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福山市のハザードマップについて(講師:福山市 危機管理防災課)
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土地検査(グリーンテスト)について(講師:土地検査協会)
1. 2025年の建築基準法改正(4号特例の縮小)について
特に大きなトピックだったのが、建築基準法の改正についてです。
これまで木造2階建て住宅などで審査が一部省略されていた「4号特例」の範囲が、2025年(令和7年)4月から縮小されました(新2号・新3号への区分変更)。
これにより、木造住宅の建築確認手続きやリフォーム時の確認申請などがより厳格化されます。
これからお住まいを建築・購入される方、あるいは大規模なリフォームを検討されている方にとって、安全性が高まる一方で、手続き上の注意点が増えることになります。
当社ではこうした最新の法規制もしっかりと踏まえたアドバイスを行ってまいります。
2. 福山市の「空き家」対策と補助金
福山市内でも課題となっている「空き家」について、市独自の補助金制度について詳しい説明がありました。
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リノベーション費用の補助:若者・子育て世帯等が空き家を購入してリノベーションして住む場合の補助
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解体費用の補助:老朽化して危険な空き家(不良空き家等)を除却する際の補助
「実家を相続したがどうすればいいか分からない」「中古住宅を買ってリノベーションしたい」というお客様にとって、非常に有益な情報です。
要件等は細かく決まっていますので、気になる方はぜひご相談ください。
3. ハザードマップと災害リスクの調査
近年頻発する豪雨災害等を踏まえ、福山市のハザードマップ(洪水、土砂災害、津波など)の読み方や、「広島県防災Web」などのポータルサイトを活用した詳細なリスク調査手法について再確認しました。
「警戒区域外だから絶対に安全」と言い切るのではなく、想定しうるリスクを正しく理解し、お客様に正確にお伝えすることの重要性を改めて痛感しました。
安心・安全な取引のため、当社ではこうした公開情報を駆使した徹底的な調査を行っています。
4. 「見えない地中」を調べる土地検査
地盤の強さだけでなく、地中の埋設物(ガラや配管など)のリスクを調べる「グリーンテスト」についても学びました。
土地は表面を見ただけでは分からないリスクが潜んでいることがあります。
トラブルを未然に防ぐための調査方法についても、知識を深めることができました。

最後に
不動産取引は、専門的な法律や地域の防災情報が複雑に絡み合っています。
当社では、こうした研修会を通じて常に最新の情報を習得し、「お客様の利益を守る」「安心・安全な取引を提供する」ために全力を尽くしております。
福山市での不動産売買、空き家の活用、相続に関するご相談などございましたら、お気軽にご相談ください。
お気軽にご相談ください。
オンラインでのご相談も可能です!
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