元付業者は中古住宅案内の立ち会いに同行すべきか?

はじめに

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。本日は不動産仲介業務の基本といえる、「中古住宅の案内業務」について考えてみたいと思います。

 

中古住宅の売買仲介において、元付業者が客付業者の案内に同行しないケースは珍しくありません。客付業者から内覧希望の連絡が入ると、元付業者は物件の鍵を客付業者に渡し、当日の案内を依頼します。物件現地に鍵の入ったキーボックスが設置されている場合には、その鍵番号を伝えて案内を依頼することもあるでしょう。案内終了後、客付業者からお客様の反応などをヒアリングし、その内容を売主様へフィードバックします。

これが、多くの不動産会社で行われている業務フローであり、元付業者としての責任は十分果たしているように見えます。

しかし、私は「より成約の可能性を高め、売主様・買主様双方の顧客満足度を最大化するためには、元付業者は積極的に案内に同行すべきだ」と考えています。

それは単なる丁寧さの問題ではなく、売主様から媒介契約という委任を受けた専門家として、民法上の善管注意義務(善良な管理者の注意義務)を高いレベルで履行し、将来の契約不適合責任に起因する紛争リスクを未然に防ぐための、極めて重要なリスクマネジメントであると確信しています。

 

この記事では、なぜ元付業者が中古住宅の案内に立ち会うことが重要なのか、宅地建物取引業法や私の経験を踏まえて解説します。

 

元付業者とは:売主様より中古住宅の売却を依頼されている不動産会社

客付業者とは:買主様より物件の内見を依頼されている不動産会社

物件を案内する杉野

物件状況確認書を基に、住宅の性質を正確に説明します。

元付業者が案内に立ち会わない実務慣行とその背景

元付業者が案内に立ち会わない主な理由としては、以下のようなものが挙げられます。

1.客付業者への配慮:

 「客付業者がお客様を主体的に案内している場に、元付業者が過度に介入するのは失礼だ」という、一種の業界慣習的な配慮が存在します。

 

2.営業効率の観点:

 片手取引となる場合、元付業者は買主から仲介手数料を受領しないため、客付業者の案内に同行するのは費用対効果が低いと判断されることがあります。

 

3.手間と時間的制約:

 案内が集中する週末など、単純に人員や時間のリソースが不足しており、すべての案内に立ち会うことが物理的に困難な場合があります。

私が案内の同行を「責務」と捉える理由

私は、客付業者が案内する場合でも、自身の先約がない限りは極力同行するようにしています。

もちろん、最優先すべきはお客様のご都合ですので、私の都合で日程変更をお願いすることはありません。同行する理由は以下の3点に集約されます。

1.情報提供の質的向上と契約不適合リスクの低減:

 物件状況確認書(告知書)や建物状況調査報告書を基に、物件の不具合箇所や告知事項について現地で指し示しながら説明を行います(例:雨漏り箇所、建物の傾き、エアコンの動作状況等)。また、売主様の物件を購入した経緯や売却に至る理由などをその場で直接説明できます。

これにより、お客様の疑問や不安を即座に解消し、誤解のない正確な理解を促進します。これは、後の「言った、言わない」というトラブルや、契約不適合責任を問われるリスクを低減させる上で非常に効果的です。

 

2.売主様へのコンサルティング機能の強化:

 案内終了後、お客様の反応や質問、表情の変化といった非言語的な情報も踏まえ、売主様に対してより的確なアドバイスや報告ができます。例えば、「皆様、この点の経年劣化を指摘されますので、価格交渉が入る前にリフォームの見積もりを取っておきませんか?」といった、具体的な次の戦略を提案することが可能になります。

 

3.受託物件に対する物理的管理責任の遂行:

 (特に空き家の場合)頻繁に物件に立ち入ることで、郵便物の溜まり具合、雨漏りの兆候、不審者の侵入形跡など、物件の異常にいち早く気付くことができます。また、換気を行ったり、汚れていればその場で清掃したりするなど、売主様の大切な資産をお預かりしている受託者としての管理責任を全うできます。

元付業者の立ち会いが生む「チーム仲介」の価値

元付業者と客付業者がそれぞれの専門性を持ち寄ることで、取引の質はさらに向上します。元付業者が同行することで、以下のような相乗効果が期待できます。

1.情報伝達の正確性と深度:

 元付業者しか知り得ない詳細な情報(例:過去の修繕履歴の詳細、隣地所有者との境界に関する申し送り事項、町内会活動の状況など)をその場で補足できます。これにより、意図せぬ情報の齟齬を防ぎ、お客様の深い理解につながります。

 

2.機会損失の防止:

 お客様の何気ない質問や表情から、購入の後押しとなる的確な追加説明や提案を即座に行えます。例えば、「過去に壁紙を張り替える見積を取得したところ、○○円でした」「近隣のこの土地は最近〇〇円で成約しました」といった情報は、元付業者だからこそ迅速かつ責任をもって提供できる場合があります。

 

3.物理的な管理の徹底とコンプライアンス:

 案内終了時の戸締りや消灯、水道の元栓確認なども、複数人の目で確認することで、より確実性が増します。売主様からお預かりしている大切な資産を守るという観点からも重要です。

共同仲介における元付業者と客付業者の関係性

元付業者と客付業者は、売主様と買主様、それぞれの立場に立って媒介業務を行いますが、共同で一つの取引を成立させる以上、両者は「取引の安全」という共通の目標に向かうパートナーです。

宅地建物取引業法第31条が定める信義誠実の義務は、元付・客付を問わず、取引関係者すべてに対して負うものです。

もちろん、案内に同行する際には、事前に客付業者にその意図を伝え、あくまでサポート役として振る舞うなど、元付業者としての配慮は必要不可欠です。

決して客付業者の営業活動を妨害するようなことがあってはなりません。

 

まとめ

元付業者の案内への立ち会いは、単なる「手間」や「オプション」ではありません。

それは、売主様への受託者責任を高いレベルで果たし、契約不適合といった将来の紛争を予防するためのプロフェッショナルな業務の一環です。

元付業者と客付業者が互いに尊重し、連携を密にすることで、売主様、買主様双方にとって安全で満足度の高い不動産取引が実現し、ひいては不動産業界全体の信頼向上にもつながるのではないでしょうか。不動産取引の専門家として、ますます業務の質的向上を目指し、売主様、買主様の役に立てるような仕事をしていきたいと思います。

夏季休業のお知らせ

平素は格別のご愛顧を賜り、誠にありがとうございます。

誠に勝手ながら、弊社では下記期間を夏季休業とさせていただきます。

 

【夏季休業期間】

2025年8月11日(月・祝)~ 8月15日(金)

8月16日(土)より通常営業を再開いたします。

 

休業期間中にいただきましたお問い合わせにつきましては、営業開始日の8月16日(土)以降、順次ご対応させていただきます。

皆様にはご不便をおかけいたしますが、何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。

【2025年上半期総括】マンション「売れ残り時代」の売却戦略。データで読み解く福山の今

はじめに

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

お盆休みを故郷で過ごされている方、ご自宅でゆっくりされている方、様々かと存じますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、2025年上半期が終了し、1ヶ月が経過しました。

この度、上半期全体の詳細なデータを精査し、福山市中古マンション市場の構造的な変化について分析がまとまりましたので、この機会にご報告いたします。

現在の市場は、「マンション売れ残り時代」と呼ぶべき局面にあります。しかし、これは悲観するだけではありません。

この時代を乗りこなし、ご所有の資産価値を最大化するための「売却戦略」があります。

 

この記事を読めば、なぜそのような状況になったのか、そしてこの時代に「選ばれる」ための具体的な方法がわかります。

1. なぜ「売れ残り時代」が到来したのか?

現在の市場を理解する鍵は、深刻な需給バランスの崩壊と、その背景にある構造的な問題にあります。

まず、四半期ごとの成約件数(需要)を見ると、年間を通じて概ね20~30件台で安定しています。

つまり、中古マンションを購入する人の数は、大きくは増えていません。

一方で、供給側のデータを見てみましょう。

四半期ごとの新規売出件数は、2025年第1四半期に72件、第2四半期には71件と、高い水準で物件が市場に供給され続けています 。

この「需要は一定なのに、供給は増え続ける」という構造的なアンバランスが、市場の在庫を急速に積み上げています。

月次の在庫件数の推移を見ると、そのスピードは一目瞭然です。2025年1月には130件だった在庫数は、月を追うごとに増加し、7月には162件と、この直近1.5年間で最多を記録しました。

そして、この供給が増え続ける根本的な原因は、増え続けるマンションストック数そのものにあります。

以前のブログ記事(参考記事:2030年、福山市のマンションは4割が老朽化?【データで見る不動産】)でも指摘した通り、福山市内では新規マンションの供給が続く一方で、古いマンションの除却(解体)は進んでいません。

これは、市場に存在する中古マンションの総量が、単純に積み上がり続けていることを意味します。

この供給過多の状態が、売主様間の競争を激化させている。これが「マンション売れ残り時代」の正体です。

2. 競争激化がもたらす「2つのコスト」

この厳しい市場環境は、売主様にとって具体的な「コスト」として、年々段階的に増加しています。

 

コスト①:時間的コスト(見過ごせない「維持費」の増大)

競争が激しいため、買い手が見つかるまでの時間は確実に長くなっています。

同時期(4月~6月期)の平均成約期間を比較すると、その変化は一目瞭然です。

  • 2023年 4月~6月期: 66.0日

  • 2024年 4月~6月期: 159.7日

  • 2025年 4月~6月期: 202.1日

わずか2年で、売却にかかる期間は約3倍にまで長期化しています。

 

この「売却期間の長さ」は、単に時間がかかるというだけではありません。

売却が完了するまでの間も、所有者である売主様には管理費・修繕積立金・駐車場代といった「維持費」が毎月発生し続けます。

例えば、これらの月々の維持費が合計で3万円だったと仮定して、売却までにかかる総コストを計算してみましょう。

  • 2023年(成約期間 約2.2ヶ月): 3万円 × 2.2ヶ月 = 約6.6万円

  • 2025年(成約期間 約6.7ヶ月): 3万円 × 6.7ヶ月 = 約20.1万円

売却期間が延びたことで、売主様が負担する維持費の総額は、2年間で約13.5万円も増加したことになります。これは、決して無視できない「時間的コスト」です。

コスト②:価格的コスト(拡大する値下げ率)

当初の希望価格のまま売却できるケースも、年々少なくなっています。

同じく4月~6月期の、当初売出価格からの平均値下げ率を見てみましょう。

  • 2023年 4月~6月期: 3.3%

  • 2024年 4月~6月期: 7.6%

  • 2025年 4月~6月期: 9.5%

こちらも2年間で約3倍に拡大しており、現在では当初の希望価格から約1割近い価格調整(値引き)を経て、ようやく成約に至っているのが標準的な市場であることを示しています。

【本レポートのデータについて】

※本レポートにおける成約価格や成約期間などの成約事例データは、西日本不動産流通機構(レインズ)等に登録された物件情報を基に集計しています。市場には登録されていない成約事例も存在するため、全ての取引を網羅したものではありません。しかし、市場全体の大きな傾向を把握するには十分なデータであると考えております。

3.【結論】「マンション売れ残り時代」を乗りこなす、3つの売却戦略

以上の分析を踏まえ、この厳しい市場を乗りこなし、ご所有の資産価値を最大化するための戦略を3つご提案します。

戦略①:ご自身の物件の「立ち位置」を客観的に知る

まず、ご所有のマンションが、豊富な在庫の中で買い手から「選ばれる」魅力を持つ物件なのか、それとも厳しい競争にさらされる物件なのか、その立ち位置を客観的に把握することが全てのスタートです。

周辺の「売出価格」ではなく、実際に取引されている「成約価格」のデータを基に、現実的な価値を把握する必要があります。

戦略②:スタートラインの最適化 ―「選ばれる」ための価格設定

豊富な選択肢を持つ買い手から「選ばれる」ためには、売り出し価格の設定が最も重要です。

競争が激しいカテゴリーに属する場合、最初から成約価格に近い価格設定を行うことで、買い手の注目を集め、結果として「時間的コスト」と「価格的コスト」を最小限に抑えることができます。

戦略③:「値下げ」を戦略的に活用する

現在の市場において、値下げは失敗ではなく、買い手の関心を惹きつけ、交渉のテーブルに着かせるための有効な「戦術」です。

例えば、「内覧が〇件入らなかったら、〇週間後に〇万円の価格調整を行う」といったプランを事前に立てておくことで、計画的に売却活動を進めることができます。

 

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福山市の中古マンション市場は、物件の価値が厳しく選別される「二極化時代」から、需給バランスが崩れた「売れ残り時代」へと移行しつつあります。

この厳しい市場環境を乗りこなすためには、正確なデータに基づいた専門家の視点が不可欠です。

ご自身の資産を最大限に活かすためにも、ぜひ一度、宅建マイスターの杉野にご相談ください。

 

売却のご用命、査定のご相談、各種お問い合わせはこちらからどうぞ。

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福山中古マンションウォッチ。価格調整が本格化。市場の最新動向をプロが徹底解説

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

8月に入り、夏本番の厳しい暑さが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、今回は20257月度の福山市中古マンション市場を分析します。

特に今回は、過去1年間の「値下げ」に関する詳細データを深掘りしました。

そこから見えてきたのは、値下げの圧力が、時期によって異なる築年帯へと移動していく、まるで「波」のような現象です。

この市場の構造変化を理解することが、今後の不動産売買成功の鍵となります。早速、詳しく見ていきましょう。

1.【全体サマリー】20257月の主要データ

まずは、今月の主要な数値を一覧でご確認ください。

  • 70㎡換算平均価格: 2,158万円(前月比 -2.4% 📉)
  • 70㎡換算中央価格: 1922万円(前月比 -0.6%↔️
  • 平均在庫日数: 242日(前月比 -6.7% 📉)
  • 流通物件数: 162件(前月比 +5.2% 📈)
  • 価格改定(値下げ)率: 13.6% 

2.【深掘り分析】値下げ動向の全体像市場の転換点を捉える

まず、過去1年間の市場全体の「値下げ率(1ヶ月間に価格が引き下げられた物件の割合)」の推移をご覧ください。

2024年後半は10%15%で安定していましたが、20252月には27.7%というピークに達しました。

これは、市場が「売り手優位」から「買い手優位」へと転換した瞬間を明確に示すシグナルでした。

その後、値下げ率は落ち着きを取り戻し、直近の7月は13.6%となっています。

市場のパニック的な価格調整は終わり、現在は着実な調整フェーズにあることがうかがえます。

3.【深掘り分析】値下げの波 ― 価格調整の中心地は移動する

次に、この値下げの動きが、どの築年帯で起こっていたのかを見ていきます。

  • 2025年5月:「築25~40年」に値下げの嵐

5月の市場では、築2530年の物件で53.3%、築3540年で37.5%という驚異的な値下げ率を記録しました。

この月は、築年数が経過した中間層の物件が、一斉に価格調整を行った「嵐」の中心地でした。

  • 2025年7月:「築10~15年」へ波が到達

7月になると、その嵐は落ち着き、今度は築1015年の値下げ率が28.6%へと急上昇しました。

【考察】

このデータから、価格調整の圧力が、まず築年数の古い物件層で進み、その後、より新しい物件層へとドミノ倒しのように波及していく様子が明確に読み取れます。

今、値下げの「波」は、築1015年という、比較的新しいカテゴリーに到達しているのです。

 

築年帯 2025年5月 2025年7月
築10~15年未満 0.0% 28.6%
築25~30年未満 53.3% 7.4%
築35~40年未満 37.5% 11.1%

 

4. 7月市場の詳細データと解説

この「値下げの波」を念頭に、7月単月のデータを見ていきましょう。

  • 価格と販売期間の関係

平均価格は下落しましたが、在庫日数(販売期間)は242日と5ヶ月ぶりに短縮しました。

これは、戦略的な値下げが買い手の需要を喚起し、市場の流動性を高めている健全な動きです。

  • 豊富な在庫

全体の在庫数は162件へと増加し、買い手にとっては豊富な選択肢の中からじっくり検討できる状況が続いています。

 

5. まとめ|20257月市場のポイントと今後の展望

2025年7月の市場動向から、以下の3点が明らかになりました。

1.「価格調整の本格化」

全体の値下げ率が13.6%と高い水準にあるだけでなく、その動きが特定の築年帯に限定されず、広範囲に及んでいることから、市場が本格的な価格調整局面にあることがわかります。

特にこれまで動きの少なかった築1015年で値下げが活発化しているのが今月の特徴です。

2.「適正価格」が早期売却の鍵

販売期間が短縮した事実は、「現実的な価格設定が、早期売却に直結する」という市場原理を改めて証明しました。

3.ご自身の物件の「立ち位置」を知る

もはや全ての物件が一様に動く市場ではありません。

ご所有の物件が、値下げの波の「どの位置」にいるのかを把握することが、売買戦略の第一歩となります。

 

【売主様へ】

ご所有マンションの築年帯の値下げ率や価格動向を注視してください。

値下げの波が来ているカテゴリーでは、積極的な価格戦略が早期売却に繋ります。

逆に、波が過ぎ去ったカテゴリーでは、相場が安定し始めている可能性もあります。

 

【買主様へ】

値下げが活発化している築年帯は、まさに価格交渉のチャンスです。

特に築1015年の物件を検討されている方は、今が好機かもしれません。

物件の価格履歴を確認することをお勧めします。

 

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ご所有マンションの正確な価値や、最新市況に合わせた売却戦略にご興味のある方は、ぜひ一度、株式会社杉野伸不動産事務所までご相談ください。

専門的な知見に基づき、お客様一人ひとりに最適なご提案をいたします。

 

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プロは『議事録』まで読み込む!マンション売却で失敗しない調査術

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

中古マンションを売却する際、管理会社から取得する「重要事項調査報告書」は非常に重要な書類です。

ここに「管理費等の変更予定なし」と書かれていれば、誰もが安心するでしょう。

しかし、もしその記載だけを信じて取引を進めた結果、引き渡し直後に買主様から「話が違う!」とクレームが入ったら…?

本日は、そんな「隠れたリスク」から売主様と買主様を守る、プロの調査術についてお話しします。

この記事は、不動産流通の専門誌「アットホームタイム8月号」に掲載された裁判事例を参考に、私の実務経験を交えて解説いたします。

【裁判事例】引き渡し直後に管理費が値上げ!一体誰の責任?

最近、まさにこのようなトラブルが裁判にまで発展した事例がありました。

  • 状況: 不動産会社が取得した調査報告書には「管理費等の変更予定なし」と記載。その通りに買主へ説明。

  • 現実: 引き渡しの直後、管理費と修繕積立金が大幅に値上げ。

  • 買主の主張: 「値上げ予定があったのに説明しなかった!」として、売主と不動産会社を提訴。

驚くべきことに、裁判所は「報告書に基づいて説明した業者に、法的な説明義務違反はない」として、不動産会社の責任を認めませんでした。

法的にはセーフでも、買主様は納得いかず、後味の悪い取引になってしまいました。

私たち不動産のプロは、法的な義務を果たすだけでなく、このような「感情的なトラブル」をも未然に防ぐ責任があると考えています。

 

アットホームタイム8月号 No.524より引用

なぜ調査報告書だけでは不十分なのか?「予定なし」の裏側

実は、管理会社は「総会で正式に決議されるまで」は、たとえ理事会で値上げの議論が進行していても、調査報告書には「予定なし」と記載するのが一般的です。

つまり、水面下で値上げの検討が始まっていても、その「兆候」は調査報告書には現れないのです。

ここに、トラブルの種が潜んでいます。

【私の実体験】議事録から「未来のリスク」を読み解き、トラブルを未然に防いだ話

先日、私が担当したお客様の事例です。やはり、管理会社から取得した重要事項調査報告書には「修繕積立金の変更予定なし」と記載されていました。

しかし、私は念のため、管理組合の「理事会の議事録」まで取り寄せ、内容を精査しました。すると、そこには「将来的な積立金の値上げは避けられない」という、将来の値上げを示唆する議論の記録がはっきりと残っていたのです。

私は買主様に対し、正直にこうお伝えしました。

「公式な報告書は『管理費等の変更予定なし』ですが、議事録を見る限り、近い将来に値上げされる可能性が高いです。その点もご承知おきください。」

買主様は、その透明性の高い説明に大変納得され、「正直に教えてくれてありがとう」と、安心して契約に進んでくださいました。

もちろん、引き渡し後にトラブルは一切起きていません。

まとめ:不動産取引で本当に大切なこと

▶不動産会社の方へ:調査の「タイミング」が成否を分ける

重要事項調査報告書の取得タイミングについてです。

この報告書は数万円の費用がかかるため、「契約が決まるまでは取り寄せない」という会社があると聞きます。しかし、その判断には大きなリスクが伴います。

契約直前に取得した資料から、大規模修繕の一時金徴収など、買主様の判断に影響する思わぬ事実が判明したらどうでしょうか。また、契約間際では、たとえ資料を入手しても十分に読み込み、お客様に説明する時間がありません。これではプロの仕事とは言えません。

私たち不動産会社は、極力、売主様と媒介契約を締結したタイミングで速やかに調査報告書を取得するべきです。これが、リスク管理の第一歩です。

さらに、本記事で述べたように、報告書だけでなく「直近の議事録」「長期修繕計画書」まで精査することが求められます。特に長期修繕計画書は、その策定・改定時期を確認し、昨今の物価高や人件費上昇を鑑みて、計画が実態にそぐわないものになっていないかを見極める視点が不可欠です。私たちの仕事は、単に情報を流すことではなく、その背景を読み解き、未来のリスクを予見することです。

▶売主様へ:良い不動産会社の見極め方

安心して大切な資産を売却するためには、このような深い調査を実践してくれる不動産会社を選ぶことが重要です。

「調査報告書はいつ取得しますか?」「議事録や長期修繕計画書まで確認してくれますか?」と、ぜひ担当者に質問してみてください。その回答に、会社の姿勢が現れます。

▶買主様へ:安全な購入を目指すには

中古マンションの購入は、お部屋の見た目の良さや立地だけで決めてはいけません。

そのマンションが、将来にわたって資産価値を維持できるかどうかは、「管理が健全かどうか」に大きく左右されます。

その健全性をチェックする上で、特に重要な資料が「議事録」「長期修繕計画書」です。

  • 議事録では、修繕積立金の値上げや、大規模修繕の計画が順調に進んでいるか、また住民間のトラブルなど、将来のリスクになりそうな問題が起きていないかを確認します。

  • 長期修繕計画書では、計画の策定・更新時期を必ず確認しましょう。もし何十年も前の計画のままだと、昨今の物価高や人件費の上昇が全く反映されておらず、将来、修繕積立金が大幅に不足して一時金が必要になる、といった事態に陥る可能性があります。

こういったマンションの「健康状態」は、これらの資料に記録されています。

気になる物件が見つかったら、必ず担当の不動産会社経由で取り寄せてもらい、内容を確認しましょう。誠実な担当者であれば、快く対応してくれるはずです。

 

当社は、表面的な情報だけでなく、その裏にある背景まで読み解き、すべての関係者が心から納得できる取引を目指しています。

不動産のご売却・ご購入でご不安な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

経営理念と業績は両輪!セミナー参加で気づいた経営の原点

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

本日は「理念とは何か」について考える、5時間にわたるセミナーを聴講してまいりました。

今回は、そこで得た学びと気づきを共有させていただきます。 

判断の軸となる経営理念と、日々の業務との間で感じた課題

 当社は、「不動産を通して関わる全ての人に笑顔と人間愛を届ける」という経営理念を、昨年に策定しました。お客様や取引先様との関わりの中で自分自身の立ち居振る舞いに迷いが生じたときには、毎回この理念に立ち返って自分自身を見つめ直すようにしています。こうすることによって、毎回難しい局面で判断を迫られることがあっても、判断の軸がぶれることは少なくなったと感じています。

 

 しかし、理念策定から約1年が経過する今、日々の業務に追われていると、目先の利益や短期的な成果を追い求めている自分がいるのではないかと思うときも出てきました。理念は変わりませんが、私自身を取り巻く環境やお客様の求めるニーズは日々変化します。そこで、再度理念について学びなおし、戦略にまで落とし込むことの大切さを感じ、今回の5時間セミナーに参加いたしました。 

「経営なき理念はたわごと」 セミナーで突き刺さった言葉

 5時間にわたるセミナーで講師が一貫して伝えていたのは、理念も大切だが、経営をしっかりやって業績向上を目指さないと意味がない、ということです。講師はこれを「経営なき理念はたわごと」という言葉で表現していました。経営=業績ととらえれば、業績が向上していないのに理念(夢や理想)を語っていては経営者として失格だということです。理想の姿を追い求め、なかなか成果の出ていない私に刺さる言葉でした。 

それは本当に「お客様のため」か?独りよがりの理想への気づき

 つい先日も別の勉強会の機会があり、企業の差別化とは何かを考えたことがあります。それは、「自分の考えている差別化は本当にお客様にとっての差別化になっているのか」という問いです。この時の問いと照らし合わせると、私が理想と思ってお客様に提案する商品やサービスがお客様のニーズに合致していないと、理念だけを追いかけて成果に繋がらないという事態が起こりえます。まさに「たわごと」を言っているに過ぎない、ということです。 

おごりを捨て、真にお客様の課題解決に向き合う決意

 今回のセミナーによって、自社の理念が本当にお客様の課題解決に繋がっているのか、そして業績向上に繋がっているのかを改めて確認する必要があると痛感いたしました。どこか、「理念を作って最高のサービスを提供しているのだから、これでお客様の支持も得られるだろう」というような、おごりや慢心があったのかもしれません。これではいけないと、改めて感じました。

 

 もう一度私自身の立ち居振る舞いに問題がないかどうか、学びが足りているのかどうかを再確認しながら、最も大切なお客様の課題解決に向けて、自社の商品・サービス内容の見直しを進めていきたいと思います。

 

 今回のセミナーは今の私にとって、まさに受けるべくして受けることのできた貴重なセミナーでした。ありがとうございました。

 

川口町一丁目・解体更地渡しですぐに家づくりを始められる売土地

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

本日は『川口町一丁目・売土地』掲載いたしました。

日当たりの良い角地に立地しており、建物解体更地渡しですぐに家づくりをスタートできます。

建築条件は有りませんので、お好きな住宅会社様での建築が可能です。

生活便利な福山市南部エリアで、快適な生活を送りませんか。

詳しい物件情報は、こちらのページからご覧いただくことができます。

 

↓↓物件紹介ページ↓↓

【川口町一丁目・解体更地渡しですぐに家づくりを始められる売土地】

→その他物件情報はこちらからご覧いただけます。

 

※物件情報は2025年7月27日現在のものです。すでに売約済みの場合にはご容赦くださいませ。

不動産業の未来を拓く、AIと人のベストマッチング

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

先日723()、一般社団法人不動産流通プロフェッショナル協会が主催する未来講座に参加しました。

本講座のテーマは、ずばり「生成AIが拓く、不動産流通事業の未来!」

文章生成やデータ分析など、私も普段からAIの恩恵を受けていますが、今回の講座はそれを遥かに超える、業界の根幹を揺るがすほどの衝撃と可能性に満ちていました。

AIが「制作コストをゼロ」にする時代の到来

講座で特に印象的だったのが、GOGEN株式会社 和田浩明さんの「生成AIは制作のコストをほぼゼロにする」 という言葉です。

プロライターが作成したような文章や、高精度な画像を瞬時に作れる生成AIは、クリエイティブな活動への心理的なハードルを大きく下げてくれた、と実感されている方も多いのではないでしょうか。

さらに、不動産業の業務の45%AIで代替可能というデータも示され、業界が大きな変革期にあることを改めて痛感しました。

この変革の核となるのが、私が最も注目した「属人性の高い業務の可視化」です。

AIを活用することで、これまで個人の経験や勘に頼りがちだった業務を標準化し、お客様へより満足度の高いサービスを提供できる未来が見えてきました。

「声」を会社の資産に変えるAIの力

具体的にどういうことか。それは、お客様との商談を音声や動画で記録し、AIで分析するというアプローチです。

これまでの私の発想では、録音データを一つひとつ聞き返すのは、非常に手間のかかる非効率的な作業でした。

しかし、今やAIを使えば、瞬時に文字起こしされ、議事録が完成します。それだけではありません。

AIは、その商談内容を中立的な観点で評価し、改善点まで示唆してくれます。

講座では、ある営業担当者の実際の商談を録音した音声をAIが分析した結果、「お客様の話を深く聞く傾聴と共感の姿勢」や、「こまめに『いかがですか?』と問いかけ理解度を確認している点」が信頼関係の構築に繋がっていると、具体的に評価されていました。これは驚くべきことです。

トップ営業パーソンの無意識のスキルが言語化・マニュアル化され、組織全体の資産になるのです。

さらに、商談状況をリアルタイムで分析し、お客様との信頼を築くための最適な言葉選び、クロージングのタイミングや話法に至るまで、AIが指示を出してくれるというのですから驚きです。

 

実は、この講座での学びに感銘を受け、早速弊社でもこの取り組みを始めています。お客様にご承諾をいただいた上で商談を録音し、AIで分析する。

たったこれだけのことですが、議事録の正確性が上がり、次回の提案の精度が向上するなど、お客様にとっても私にとっても多くのメリットが生まれています。

何より、自分では気づけなかった商談の進め方の癖や改善点をAIが客観的に示してくれるため、自身のスキルアップにも繋がると確信しています。

 

これまで多額の費用をかけて外部コンサルに依頼していた本格的な営業マニュアルが、自社のデータから、低コストかつスピーディーに作成できる時代が来たのです。

AI時代に「人」がすべきこと

もちろん、AIが全ての業務を代替するわけではありません。

講座でも繰り返し語られていたのは、「AIをベースに、人が伝えていく」というこれからのスタンダードです。

AIが作った完璧なマニュアルも、それを渡すだけで人が育つわけではありません。

大切なのは、AIが可視化してくれた「教えるべきポイント」を基に、指導者である人間が、現場の空気感やお客様の表情といった生きた情報と合わせて伝えていくことです。

「何を」伝えるか以上に、「誰が」伝えるかが重要になる。この言葉に、これからのAIと人との関わり方のヒントを得た気がします。

 

 

今回の講座を通じ、AIという画期的な技術が静かに、しかし確実に私たちの日常業務を変えつつあることに驚くと共に、「今まさに取り組まなければ、これからの不動産業界で生き残れない」という良い意味での危機感を抱きました。

特に、私たちのような中小企業こそ、しがらみがなく新しい挑戦ができるチャンスがあります。

AIの分析力と、人が本来持つ経験や共感力。この二つの「ベストマッチング」を追求し、それによって生まれた時間で「人にしかできない価値」をお客様に提供していく。非常に学びの多い、素晴らしい講座でした。

地域の皆様により良いサービスと安心をお届けできるよう、私自身も今回の学びを実践し、未来への一歩を踏み出してまいります。

【後編】なぜ成約までの期間や価格に差が出るのか?データで見る市場の現実

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

【前編】では、福山市の中古住宅市場で「取引は活況なのに平均価格は下落している」謎を解き明かし、その背景に「コストパフォーマンスを重視する購入者の、中心部から郊外への大移動」があることを解説しました。

では、需要が旺盛な市場で、全ての物件が順調に売れているのでしょうか?

 

今回の【後編】では、「成約日数」と「価格変動」に関するデータを基に、物件ごとに成約までの道のりに差が生まれている、市場のもう一つの側面に焦点を当てます。

前回の記事『【前編】福山市の中古住宅、価格下落の真相。データが示す「中心部から郊外へ」静かなる大移動』

1.【データが示す現実】成約までの期間と価格変動の実態

現実:売却期間の長期化傾向

まず、売れるまでの期間です。

下の表は、成約までにかかった日数をまとめたものです。

成約日数 2023年度 2024年度 増加率
90日未満(3ヶ月未満) 72件 88件 +22%

90日以上180日未満(3ヶ月以上6ヶ月未満)

46件 54件 +17%
180日以上(6ヶ月以上) 66件 130件 +97%

 

データが示す通り、3ヶ月以内に早く成約する物件も堅調に増えています。

しかし、それ以上に売却に半年以上を要した物件が、+97%と顕著に増加していることが分かります。

現実:価格調整を経て成約する物件の増加

次に、売出価格と成約価格の差、つまり価格の変動率(値下げ率)を3つの区分で見てみましょう。

 

値下げ率 2023年度 2024年度 増加率
5%未満 106件 119件 +12%
5%未満10%以上 18件 32件 +78%
10%以上 60件 121件 +102%

 

5%未満」の、ほぼ価格を変えずに成約した物件の伸びは+12%に留まる一方、価格調整を経て成約した物件、特に「10%以上」の調整が行われた物件が倍増していることが、より鮮明になりました。

2.【考察】なぜ、成約までの道のりに差が生まれるのか?

これらのデータから見えてくるのは、活況な市場の中にも、「スムーズに成約に至る物件」と「時間を要し、価格調整を経て成約に至る物件」という、二つの異なる流れが存在するということです。

この差が生まれる最大の要因は、「売出価格と、現在の市場が求める価格との調和」にあると考えられます。

購入者の目が厳しくなっている現在、市場の相場観と近い「適正な価格」で売り出された物件は、多くの購入者の目に留まり、スムーズな成約へと向かいます。

一方で、売主様の期待を込めた価格設定が、市場の相場観と少し離れている場合、購入者の選択肢から外れやすくなり、結果として時間をかけて価格を調整していく過程が必要になるのです。

3.【最終提言】今後のトレンドを見据えた、後悔しない不動産戦略

これまでのデータ分析で、現在の福山市の不動産市場が「コストパフォーマンスを重視する郊外シフト」と「初期価格設定が重要な二極化市場」であることが明らかになりました。

では、今後予測される「地価の上昇」「継続的な物価上昇」「賃金の上昇」という3つの大きな経済トレンドは、この市場にどのような影響を与えるのでしょうか。それを踏まえ、皆様への最終的な提言をまとめます。

地価・物価の上昇郊外物件の魅力が相対的に高まる

今後、福山市全体で地価や物価が上昇し続けると、中心部の不動産はさらに高嶺の花となります。

結果として、価格が手頃な郊外エリアの物件を求める流れは、一過性のものではなく、さらに加速すると予測されます。

賃金の上昇購入者の購買意欲と決断スピードが上がる

賃金の上昇は、住宅ローンの返済能力を高め、人々の購買意欲を刺激します。

しかし、同時に物価や不動産価格も上昇するため、「良い物件があれば、早く決断しないと買えなくなる」という心理が働きます。

これにより、市場の流動性はさらに高まり、優良物件の売却スピードは一層速まるでしょう。

 

この2つのトレンドが組み合わさることで、「適正価格の優良物件」と「そうでない物件」の格差、すなわち「二極化」は、今後さらに鮮明になっていくと考えられます。

 

【購入をご検討の方へ】求められるのは「決断力」と「柔軟な視野」

  • 「時間」を味方につける準備を。

 賃金上昇を待っていては、それ以上に不動産価格が上昇してしまう可能性があります。「良い物件が出たら、すぐに動ける」状態を作っておくことが、これまで以上に重要です。具体的には、信頼できる不動産会社をパートナーとし、資金計画(ローン事前審査など)を予め済ませておくこと。これが、競争に勝つための最低条件となります。

  • エリアの「固定観念」を捨てる。

 今回のデータが示す通り、魅力的な物件は中心部だけに存在するわけではありません。「郊外エリア」にまで視野を広げることで、予算内で理想の暮らしを実現できる可能性が大きく広がります。

【売却をご検討の方へ】鍵は「スピード」と「戦略的価格設定」

  • 「高値チャレンジ」の幻想を捨てる。

 今後の市場では、売れ残った物件は競合物件との価格差がますます広がり、より不利な状況に陥ります。「少し高く出して様子を見る」という戦略は、できる限り避けるべき選択です。いたずらに時間をかけることは、売却機会の損失に直結します。

  • 3ヶ月以内の成約」を目標とした価格設定を。

 今回の分析が示す最も重要な教訓は、「初期の価格設定が、売却の成否をほぼ決定づける」という事実です。豊富なデータを基に「市場が今、本当に求めている価格」を正確に把握し、戦略的に売却活動をスタートさせることが、結果的にご自身の利益を最大化する、最も確実な近道となります。

 

 

 

最後に

私は宅建マイスターとして、このような複雑な市場のデータを多角的に分析し、お客様一人ひとりのご事情やご希望に寄り添いながら、最適な戦略をご提案することを使命としています。

複雑な市場だからこそ、信頼できるパートナーと共に、後悔のない不動産取引を実現しましょう。

 

売却のご用命、査定のご相談、各種お問い合わせはこちらからどうぞ。

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【FMふくやま出演報告】7月18日放送で深掘り!福山市不動産市場、路線価と中古住宅の意外な関係

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

7月18日(金)、FMふくやま朝の番組「あさまる」のコーナーに、ゲスト出演させていただきました。

先日発表された路線価の上昇と福山市内の中古住宅の市場について、その意外な関係性についてお話しさせていただきました。物価上昇が続く中、不動産市場も変化の時を迎えています。

番組でお話しした主要なポイントを、私のこれまでのデータも基にして簡潔にまとめました。

 

▼出演時の音声はこちらからお聴きいただけます。

 

番組内容の要約

  • 路線価上昇の「真実」

  福山市内、特に福山駅前通り西側(三之丸町)の路線価は、前年比8.5%増と中国地方で2番目に高い伸び率を示し、4年連続で上昇しています。しかし、路線価はあくまで相続税などの税金を算定するための基準であり、実際の売買価格(実勢価格)とは異なる点に注意が必要です。路線価が上がっているからといって、必ずしも高く売れるわけではありません。

  • 中古住宅市場の「郊外へのシフト」

  福山市の中古住宅市場では、取引件数が1.5倍に増加する一方で、平均価格は約180万円下落するという現象が起きています。これは、新築住宅の価格高騰により、「広い建物(100㎡以上)と広い土地(150㎡以上)」を求めるファミリー層(30代前半から半ば)が、予算的に手頃な郊外エリア(西部・北部)へと移り住んでいる「郊外へのシフト」が背景にあります。最も売れているのは1500万円以下の物件で、これらは福山市の西部や北部に多く見られます。

  • 中古住宅の価値変化

  建物は築年数とともに価値が下がりますが、築30年程度の中古住宅の場合、建物の価値はすでに大きく下がっているため、購入後の「価値の目減り」は新築住宅に比べて小さいと考えられます。現在のライフプランと将来の計画をしっかり見据えた結果、中古住宅を選択する方が増えています。

まとめ:変化する市場で賢く動くために

 福山市の不動産市場は、表面的な路線価の上昇とは異なる、様々な構造的変化が進行しています。

このような複雑な市場において、感覚に頼るのではなく、客観的なデータと市況の深い理解に基づいた不動産戦略が不可欠です。

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