2026年記事一覧
【マンションウォッチ】平均172万円の価格リセット。売買価格を直撃する「修繕積立金値上げ」の壁
2026年6月度(7月1日集計)の福山市内中古マンションの市場動向データがまとまりました。
先月(5月度)の市場分析では、全体の平均在庫日数が過去最長の313日(約10ヶ月半)まで延び、「市場の目詰まり」が深刻化している実態をお伝えしました。
今月は在庫日数が309日とわずかに減少したものの、水面下では売主様の「ある決断」によって市場が大きく動き始めています。
その決断の背景にあるのが、買い手側の心理をダイレクトに支配し始めた「管理コスト(修繕積立金)上昇の壁」です。
データから見るリアルな市場の現在地を解説します。

1.【全体サマリー】2026年6月の主要データ
まずは全体の主要数値から振り返ります。
- 平均在庫日数: 309日📉 (前月比 -4日)
- 70㎡換算平均価格: 2,121万円📉 (前月比 -34万円)
- 70㎡換算中央価格: 1,910万円📉 (前月比 -28万円)
- 流通物件数(在庫): 167件➡️ (前月比 横ばい)
- 掲載終了件数(成約等): 24件📉 (前月比 -2件)
- 価格改定件数: 19件📉 (前月比 -1件)
- 合計値下げ額: 3,275万円📈 (前月比 +1,365万円)
- 値下げ単価: 172万円📈 (前月比 +76万円)
今月最も注目すべきは、価格改定の件数自体は前月とほぼ変わらないにもかかわらず、「値下げ単価」が172万円へと跳ね上がった点です。
これは、売主様が大胆な価格リセットを断行し始めたことを物語っています。
その結果、平均価格(2,121万円)と中央価格(1,910万円)のギャップが縮まりつつあり、市場全体が一般の実需層が手の届く「現実的な価格帯」へと収斂しています。


2. 全国で進む「管理コスト増大」の背景
なぜ、これほどまでに大胆な価格リセットが必要とされているのでしょうか。
そのヒントは、昨年12月に当事務所へご相談いただいた案件にあります。
この物件は間もなく築10年を迎えるタイミングで、2027年から修繕積立金が月額2万円近くまで一気に上昇することが決定していました。
実はこうした修繕積立金の大幅な値上げは、福山に限らずいま全国のマンションで深刻化しています。
その背景にはいくつかの大きな要因があります。
- 建築資材の高騰と人件費の上昇:近年の歴史的な物価高に加え、建設業界の深刻な人手不足により、大規模修繕工事にかかるコストそのものが数年前とは比較にならないほど膨れ上がっています。
- デフレ期における「甘い見通し」のツケ:多くのマンション(特に10〜20年前に建築されたもの)は、物価や人件費が上がらないデフレ環境を前提とし、新築時の販売をスムーズにするために初期の積立金を極端に安く設定していました。この見通しの甘さが、今になって急激な値上げとなってツケを回しているのです。
- 金利上昇に伴う資金調達の負担増:最近の金利上昇も、将来的な修繕計画や組合の資金運用、さらには買い手側の住宅ローン返済負担感に大きな影を落としています。
実需層の多くは、物件価格そのものだけでなく、「住宅ローンの毎月返済額 + 管理費 + 修繕積立金 = 月々の支払総額」で予算を組み立てます。
仮に修繕積立金が1万円〜1.5万円値上がりすると、買い手側にとっては「毎月のローン返済額をそれだけ減らさなければならない」ことと同義になります。
これは、ローンの借入可能額(=物件の購入価格)も引き下げなければならないという心理的ブレーキを生むのです。
いくら立地が良く、中身が綺麗であっても、「維持費が高い」という事実は売買価格に直接反映され、売主様側がその分を物件価格から差し引かない限り、今の買い手市場では選ばれなくなっています。
6月度の「値下げ単価172万円」という数字は、まさに売主様がこの維持費の増大という現実に直面し、歩み寄りを迫られた結果と言えます。
3. 年代別の二極化:維持費高騰リスクを警戒する実需層
年代別の詳細データを見ると、この管理コストの影響が市場の動きに関連していることが示唆されています。
- 築30年〜35年未満(最多在庫:34件) / 平均在庫日数:228.6日
在庫件数が最も多いこの築古実需ゾーンですが、平均価格は1,400万円台まで下がっています。2回目・3回目の大規模修繕や積立金高騰リスクを織り込み、売主様が早期に価格を下げて実需層の予算に合わせているため、長すぎない期間で正常に成約へと至っています。 - 築10年〜20年未満(目詰まりゾーン)/ 平均在庫日数:317.8日〜365.2日
ちょうど先ほどの相談事例のように、過去の段階増額プランによって修繕積立金が跳ね上がる(あるいはそれを間近に控えている)時期の物件たちです。平均価格は2,600万〜2,800万円台と高額を維持していますが、高額な物件価格に高い維持費がダブルで乗るため、買い手側の心理がフリーズし、平均で1年近く目詰まりを起こしています。
4. まとめ:これからの戦略
6月度のデータは、単に「値下げ額が増えた」という話ではなく、「買い手のリアルな毎月の維持費負担」を無視した売り出し価格は通用しなくなっているという市場の構造変化を示しています。
- 売主様へ:
ご自身のマンションの修繕積立金が現在いくらで、今後どう変わる計画なのかを今一度ご確認ください。1年以内に値上げが控えている場合、買い手はそのリスクを確実に計算しています。ランニングコストまで含めた「適正価格への早期リセット」が不可欠です。 - 買主様へ:
物件価格が安く見えても、購入直後に修繕積立金が急騰する計画がないか、管理組合の協議事項を記録した議事録や、長期修繕計画案を必ずチェックしてください。「目先の物件価格」と「将来の管理コスト」のバランスを慎重に見極める目が求められます。
データに基づいた具体的な売却・購入戦略や、ランニングコストを考慮した資金計画については、ぜひ杉野までお気軽にご相談ください。
公認不動産コンサルティングマスター認定のご報告と今後の抱負
この度、2026年6月30日付で、公益財団法人不動産流通推進センターより「公認不動産コンサルティングマスター」に正式に認定されたことをご報告いたします。
不動産コンサルティングマスターとは、宅地建物取引士としての実務経験を5年以上(または3年以上経験し、必要な研修を受けたもの)積み、同財団が主催する技能試験に合格した者が認定される、日本で唯一の不動産コンサルティングに関する認定資格です。

不動産の売買や賃貸といった枠組みにとどまらず、相続、有効活用、その他複雑な権利関係の調整や資産の整理など、多角的な視点から「不動産コンサルティング業務」を担い、お客様の真の利益を叶えるプロフェッショナルとしての活躍が期待されています。
当社では、2024年に上級宅建士の資格である「宅建マイスター」の認定を受け、不動産の隠れたリスクを見抜き、安心安全な取引を実現することに全力を注いでまいりました。
今回認定された「不動産コンサルティングマスター」は、いわば不動産を含めた資産活用の総合プロデューサーという位置づけです。
不動産取引におけるリスクを徹底的に排除する「宅建マイスター」の確かな眼(守り)と、資産の価値を最大限に引き出す「不動産コンサルティングマスター」の柔軟な提案力(攻め)。
この2つの専門性を「車の両輪」として深く噛み合わせることで、不動産の購入、管理・運用、そして売却・承継に至るまで、より高い次元でトータルプロデュースできる体制が整いました。
所有者不明土地、管理不全空き家、農地山林の処分など、現在の不動産を取り巻く課題はますます複雑化し、お客様のニーズも多種多様なものとなっています。
私はこれからも、これら2つのマイスター・マスターの資格に慢心することなく、福山市の地域の皆様が抱えるお困りごとを一つずつ丁寧に解決し、より良い未来を切り開くことができるよう、日々の業務と自己研鑽に努めてまいる所存です。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
【マンションウォッチ】過去最長を記録した滞留日数の真実
こんにちは。
宅建マイスターの杉野です。
2026年5月度(6月1日集計)の福山市内中古マンションの市場動向データがまとまりました。
今月のデータは、一見すると「市場の回復」を思わせる数値が出ていますが、その裏側を詳細に分析すると、「今後への警戒を強めシグナル」が隠されていることが分かりました。
データの表面だけにとらわれない、リアルな市場の現在地を解説します。

1.【全体サマリー】2026年5月の主要データ
まずは全体の主要数値から振り返ります。
- 平均在庫日数:313日📈(前月比 +14日)※過去2年間で最長を更新
- 70㎡換算平均価格:2,155万円➡️(ほぼ横ばい)
- 70㎡換算中央価格:1,938万円➡️(ほぼ横ばい)
- 流通物件数(在庫):167件📉(前月比 -7件)
- 掲載終了件数(成約等):26件📈 (前月比 +13件)
- 新規登録件数:18件📉(前月比 -5件)


先月(4月)は成約が13件まで落ち込み、市場が「消化不良」を起こしていましたが、5月は掲載終了が26件へと倍増。
新規登録が抑えられたこともあり、在庫件数は174件から167件へと減少しました。
これだけを見ると「在庫調整が進み、市場が再び回り始めた」ように見えます。
しかし、注目すべきは全体の平均在庫日数が「313日(約10ヶ月半)」と、過去最長を大きく更新した点です。
物件が減ったのに、なぜ滞留期間は延びているのでしょうか?
2. 在庫減少の「罠」:特定高額ゾーンの集団離脱
この矛盾の答えは、マンション別・年代別の詳細データにありました。
今月起きた「掲載終了26件」の大部分を占めていたのは、実は一般の実需層が動いたものではなく、「駅前のランドマーク的な超高額・築浅ゾーン」における、特定物件の一斉な掲載終了(市場引き揚げ)でした。
長期滞留していた数千万円クラスの新古品・築浅物件が、ポータルサイトから一斉に姿を消したことで、全体の在庫件数は表面的に「7件減少」しました。
これらは一般の買主様が見つかった「成約」というよりも、売り出し側(業者等)が長期滞留に耐えかねて損切り処分したか、販売戦略の見直しで賃貸募集に切り替えたり、掲載を取り下げたりした可能性が高いと考えられます。
つまり、「一部の特殊な高額物件の動きによって、全体の在庫数が引き下げられただけ」というのが、5月の在庫減少の正体です。
3. 唯一動いた「実需ゾーン」
高額な築浅物件が一部抜けたにもかかわらず、全体の在庫日数が313日に延びた理由は、市場の底に「売れない長期滞留物件」が強烈に沈殿し続けているからです。
事実、築35年〜40年未満の平均在庫日数は417日、築40年以上に至っては502日(約1年4ヶ月)を超えており、市場全体の足を引っ張っています。
また、動いていないのは築古だけでなく、4,000万円〜8,000万円クラスの築浅高級ゾーンも、平均334日と完全にフリーズしたままです。
そんな中で、今月唯一「リアルな実需(一般の成約)」として機能していたのが、築30年前後(1,000万円台)のゾーンでした。
このゾーンでは、今月なんと4件に1件(改定率27.3%)という非常に高い割合で売主様が価格改定を断行。
実需層が手の届くラインまで価格を引き下げた物件だけが、正常に成約へと至っています。
4. まとめ:これからの戦略
5月のデータは、「成約件数が戻ったから安心」という楽観論がいかに危険であるかを教えてくれています。
実態は、「値下げを受け入れた実需物件だけが細々と動き、高額ゾーンや一部の築古は、過去最長レベルの目詰まりを起こしている」という二極化です。
■ 売主様へ:
市場の平均滞留期間が10ヶ月半を超えているという現実を直視する必要があります。
「駅前の人気マンションだから」「まだ築浅だから」と高値で様子見を続けている物件すら、1年〜3年近く売れ残るケースが福山市場でも常態化しつつあります。
現在の狭き門をくぐるためには、「今月動いた築30年層」のように、データに基づいた早期の適正価格への見直しと、他社に埋もれない強力な露出戦略への切り替えが不可欠です。
■ 買主様へ:
物件数は167件と高水準を維持しており、歴史的な「買い手市場」であることに変わりはありません。
ただし、一部の高級マンションのように「売り出されてから何百日も経っている物件」の中には、価格と価値が見合っていないものも多く混ざっています。
「売り急いでいる物件」と「放置されて滞留している物件」をデータから見極め、将来も資産価値を維持できる本物の物件を慎重に選ぶ目が求められます。
市場が「消化不良」から「麻痺」へ向かうのか、それとも適正価格へのリセットが進むのか。
福山市の不動産売買に関する不安や、データに基づいた具体的な売却・購入戦略については、ぜひ私、杉野までお気軽にご相談ください。
【データ訂正とお詫び】
過去に公開いたしました市場動向データにおいて、2025年9月度以降の「70㎡換算金額(平均・中央)」の算出計算式に一部誤りがあることが判明いたしました。
これに伴い、本記事内から該当数値を最新の正確なデータへと訂正・更新しております。
【FMふくやま出演報告】相続登記のうっかり忘れに注意!私道(共有持分)の登記漏れを防ぐには?
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
本日、FMふくやま(77.7MHz)の朝の番組「あさまる」にゲスト出演させていただきました。
今回は、最近実際に私どものところへご相談があった「相続登記のうっかり忘れ(特に私道の持分)」をテーマにお話しした内容を、ブログでも詳しくご紹介します。
▼出演時の音声はこちらからお聴きいただけます。
目の前の「私道」が亡くなった親の名義のままに…
先日、ご相続された土地を売却したいというお客様からご相談をいただきました。
さっそく現地や登記の内容を調査したところ、土地の目の前にある「私道」の相続登記が漏れており、お亡くなりになった親御様の名義のまま残ってしまっていることが判明したのです。
実は、ご自身で相続登記の手続きをされた場合、こうした「私道部分の登記漏れ」という"うっかりミス"が時々起こります。
「土地の登記はちゃんと変えたから大丈夫」と思っていても、目の前の私道の登記を忘れてしまうと、いざ売却しようとしたときに大変なデメリットが生じてしまいます。
私道の登記が漏れていることによる主なリスク
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土地の評価額が下がってしまう
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買い手が住宅ローン(融資)を組めなくなる可能性がある(第三者の敷地を通行して土地に入らなければならない状態とみなされるため)
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結果的に、売りたくても売れない土地になってしまう(さらに相続が進むことで、相続登記そのものが困難になるケースも有ります)
今回は売却活動に入る前にこの事実が発覚したため、まずは私道部分の相続登記を完全に済ませ、ご自身が正しい所有者であることを証明してから売りに出すという形で、無事に解決へと進めることができました。
固定資産税の納税通知書には載らない?登記漏れを防ぐ「2つの制度」
なぜ、私道の相続登記をうっかり忘れてしまうのでしょうか?
その大きな理由は、「固定資産税の納税通知書」に載ってこない場合があるからです。
私道や共有地などで土地の評価額が低い場所は、非課税となり、毎年届く納税通知書の課税明細から除外されていることが多々あります。
そのため、ご自身で登記手続きをする際に「ここに自分の土地がある」ということ自体に気づかず、登記漏れが起きてしまうのです。
こうした「うっかり忘れ」を防ぎ、ご自身が所有している不動産を一元的に把握するためには、公的な制度を活用するのがおすすめです。
1. 名寄帳(なよせちょう)の確認
福山市などの各市区町村に申請することで、その所有者が持つ土地・建物を一覧化した「名寄帳」を取得できます。
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注意点:市区町村ごとの管理となるため、福山市で取得できるのは福山市内の不動産のみです。もし尾道市など隣接する別の市にも土地がある場合は、それぞれの役所で申請する必要があります。
2. 所有不動産記録証明制度(2026年2月スタートの新制度)
法務局に対して、特定の人が所有者として記録されている不動産の一覧を証明する書面の交付を請求できる制度です。
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メリット:こちらは「全国版の名寄帳」とも言える制度で、名前や住所から全国の所有不動産を一元的に検索・リスト化することができます。福山市、尾道市、府中市などに不動産が点在していても、一つの窓口でまとめて把握できるため非常に便利です。
まとめ:不動産の相続登記は専門家への相談がお勧めです
不動産を「売りたい」「誰かに貸したい」となった段階で初めて登記漏れに気づくと、手続きに余計な時間や労力、そして精神的な負担がかかってしまいます。
せっかく自力で頑張って登記をしたのに、後から「失敗した…」と後悔するのはもったいないですよね。
大切な資産の出口戦略をスムーズに進めるためにも、まずは「固定資産税の通知書に載っていない不動産」がないかを、新制度なども活用して早い段階で確認し、時には司法書士や不動産会社といった専門家へ相談することをお勧めします。
「自分の持っている土地がどうなっているか分からない」「相続登記について専門家に相談したい」といったお困りごとや、不動産に関するお悩み・売却のご相談がございましたら、いつでもお気軽に株式会社杉野伸不動産事務所までお問い合わせください。
宅地建物取引業協会の定時総会に参加してまいりました
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
昨日、所属している宅地建物取引業協会の令和8年度定時総会へ参加してまいりました。
県内各地から多くの会員が集まり、昨年度の事業報告や今年度の事業計画について、慎重な審議が行われました。
総会の冒頭では、岡本会長より今年度の重点施策として、特に以下の2点に注力していくことが宣言されました。
- リスキリング(学び直し)による専門性の向上
- 地域社会における空き家対策の推進
いずれも、近年の空き家問題や相続問題の深刻化を背景に、安心・安全な不動産取引を円滑に進める上で、非常に重要なテーマとなっています。

今回の総会にあたり、私は「専門性の向上(リスキリング)に関する施策」と、「拠点運営の効率化・活性化に向けた取り組み」の2点について、質問をさせていただく機会をいただきました。
特に実務者のリスキリングに関しては、現在、国土交通省が推進している「不動産コンサルティングの普及・促進」に向け、当協会として「地域ワーキンググループ(地域WG)」への登録や、コンサルティング勉強会の実施などをどのように考えておられるか、という質問を投げかけました。
岡本会長は、(公財)不動産流通推進センターが国土交通省と連携して設置した 「良質な不動産コンサルティングの普及・定着に向けた検討委員会」の委員も務められているため、トップとしてのお考えを直接伺いたいと考えた次第です。
回答としては、「現状の組織体制や運用面を考慮すると、協会主導での即座の登録や組織化は容易ではない」という見解でした。
コンサルティングマスター技能試験が県内でも開催され、重点事業として専門性の向上が掲げられている一方で、登録者がノウハウを共有したりネットワークを構築したりする具体的な一歩としては、少し慎重な姿勢に留まった印象があり、その点は今後の進展に期待したいところです。
とはいえ、このように総会の場で直接発言をし、現場の実務者が直面している課題や声を理事の方々に届けられたことは、非常に貴重な経験となりました。
私たちは日々の実務を通じて、地域のお客様の暮らしを支えています。
今後もより良い不動産流通の普及と発展を目指し、現場での課題解決に努めながら、組織に対しても建設的な提案を続けてまいりたいと思います。
【セミナー参加レポート】「全国不動産コンサルティングフォーラム2026」から見る、空き家対策と不動産コンサルティングの未来
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
2026年5月15日(金)、昨年に続き第2回目となる「全国不動産コンサルティングフォーラム2026」が開催され、当社もオンラインにて参加いたしました。
本フォーラムは、国土交通省が推進する「不動産業による空き家対策推進プログラム」の一環として、公益財団法人不動産流通推進センター(不動産コンサルティング中央協議会)が主催するものです。
全国から集まったコンサルティングの優秀事例の表彰や実践報告、各地域のワーキンググループによる独自の取り組みなどが発表され、非常に実り多い時間となりました。
今回は、フォーラムを通じて感じた「これからの時代の不動産会社に求められる役割」と、お客様に深く関わる「新しい安心の仕組み」について、皆様にご紹介いたします。
1. 地域課題の解決に挑む「地域の不動産会社」の役割
フォーラムの基調講演や事例発表を通じて、何度も繰り返し強調されていたキーワードが、「不動産の専門家(地域の不動産会社)が核となり、地域課題の解決を牽引していく」という視点でした。
現在、全国で増加し続けている「放置空き家」や「所有者不明土地」といった問題は、ますます複雑化・高難度化しています。これらは、一個人や一つの事業主だけで解決できるものではなく、弁護士や税理士、建築士といった各専門家、そして地域社会との「緊密な連携」が欠かせません。
発表された先進事例の中には、行政とタッグを組んで「空き家になる前の対策セミナー」を地域で定期開催している報告もありました。
ちなみに当社におきましても過去、福山市と密に連携し、所在の分からない土地の管理者特定から境界の立ち会い、さらには将来を見据えた活用プランの策定までを一貫して手がけた実績がございます。
こうした実務を通じて、所有者不明土地や空き家問題という地域課題の解決に向け、その一端を担わせていただいた経験は、私共の大きな財産となっております。
地域の不動産会社が行政や他士業と深くつながり、信頼関係を築いていくことこそが、少しずつでも着実に、地域の不動産課題を根本から解決していく確かな一歩になると強く確信しております。
2. 「不透明」から「安心」へ。コンサルティング報酬と契約書の明確化
とりわけ、本フォーラムにおいて私が最も注目したのは、不動産コンサルティング業務における契約書および支援ツールの拡充についてです。
これまでの日本の不動産取引は、「売買や賃貸の仲介(媒介)」が主流でした。
そのため、不動産コンサルティング業務は「仲介業務との境界線」が消費者から見えにくく、「どこまでが無料相談で、どこから報酬が発生するのかが分かりにくい」「なんとなく敷居が高い、不透明だ」と感じられる一因になっていました。
この課題を打開するため、一昨年(令和6年)6月には国土交通省により通達が改正され、仲介手数料とは別に「コンサルティング報酬」を明確に受領できる仕組みが現場に実装され始めています。
さらに先月(2026年4月)には、同推進センターの検討委員会から「中間取りまとめ」が公表されました。
現在、現場で活用できる「標準的な契約書の雛型」や「具体的な報酬算定のガイドライン(目安)」、さらに実務マニュアルの作成・整備が具体的に進められています。
これにより、業務内容や費用がオープンでクリアになり、お客様がより一層安心してコンサルティングサービスを利用できる環境が整いつつあります。
3. 公認不動産コンサルティングマスターとして、お客様の信頼に応える
私自身、現在「公認不動産コンサルティングマスター」の登録作業を進めておりますが、実務において仲介業務とコンサルティング業務の区分や、お客様へのご説明の仕方に悩む場面があったのも事実です。
しかし、今回のように国や業界を挙げて明確な規定やガイドラインの策定が進むことは、私たち実務家にとっても非常に大きな追い風となります。
業務内容と費用を事前に分かりやすく明示し、お客様への「説明責任」をしっかり果たせるようになることは、お客様との強固な信頼関係の構築に直結します。
また、不動産コンサルタントという存在の正しい理解の醸成にもつながっていくと、大きな期待を寄せています。
おわりに
不動産は、大切な資産であると同時に、地域の未来を形作る重要な要素です。
当社も、空き家や空き地の流通・利活用を担う一事業者として、今回の学びを日々の実務にしっかりと還元し、これまで以上に「安全で健全、そしてお客様の未来に寄り添う不動産流通」に努めてまいります。
空き家や相続した土地の処分・活用方法にお悩みの方は、ぜひお気軽に当社までご相談ください。
誠心誠意、サポートさせていただきます。
【マンションウォッチ】過去最多の在庫174件 vs 過去最少の成約13件。
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
5月1日に集計を終えた、中古マンションの最新データ(2026年4月分)をまとめました。
これまでの「停滞」のレベルを超え、市場の構造そのものが危機に直面していることを示唆しています。

1. 【全体サマリー】2026年4月の主要データ
- 平均在庫日数:298.5日➡️(300日前後で高止まり)
- 70㎡換算平均価格:2,246万円➡️(ほぼ横ばい)
- 70㎡換算中央価格:1,953万円➡️(ほぼ横ばい)
- 流通物件数(在庫):174件📈 ※過去2年で最多を更新
- 掲載終了件数(成約等):13件📉 ※過去2年で最少を記録
- 新規登録件数:23件📈(供給過多が継続)


2. 直近3ヶ月(1月〜3月)の動き:「価格リセット」の結末
4月のデータを読み解くために、まずは直近3ヶ月の激動を振り返ります。
- 1月【様子見】: 在庫が積み上がる中、売主様は「新年に期待」し、価格を維持(改定率10.1%)。
- 2月【限界点】: 在庫日数がついに305日となり、「300日の壁」を突破。焦った売主様による一斉の値下げラッシュが発生(改定率15.8%)。
- 3月【リセット】: 2月の値下げが浸透。平均・中央価格ともに約100万円急落し、中央価格は1,942万円へ。「中古は2,000万円以下」という実需ラインへ強制リセットされました。
この流れを受け、4月は「価格が下がった分、成約件数が跳ね上がる」と予想されました。しかし、結果は真逆でした。
3. 春の異変:過去3年間の「3月→4月」成約数比較
例年、3月の需要期を過ぎた4月は成約が落ち着くものですが、今年の落ち込みは「季節要因」では片付けられません。
- 2024年3月→4月: 30件 → 17件(季節的な減少)
- 2025年3月→4月: 21件 → 21件(需要が力強く持続)
- 2026年3月→4月: 19件 → 13件(前月比31%減・過去最低)
昨年(2025年)は4月になっても21件という高い成約数を維持していました。
しかし今年は、3月に平均157万円という大幅な値下げを行い、価格を実需ライン(2,000万円以下)に合わせたにもかかわらず、4月の成約はわずか13件。
これは、「価格を下げても出口(成約)が塞がっている」ことを示す危険なサインです。
4. 過去最多の在庫174件 vs 過去最少の成約13件が意味するもの
現在、福山市の中古マンション市場は、かつてない規模の「二次的消化不良」を起こしています。
新規登録が23件あったのに対し、掲載終了(成約等)はわずか13件。
毎月、物件だけが「10件ずつ」市場に溜まっていく計算です。
その結果、在庫は過去2年間で最多の174件に達しました。
| 在庫174件 ÷ 成約13件 = 消化に「13.4ヶ月」 |
現在のペースでは、今市場にある物件をさばき切るだけで1年以上かかります。
買い手側は「100万円単位の値下げ」を目の当たりにしたことで、さらに「もっと下がるのではないか」とシビアな様子見に入っています。
5. 展望とまとめ:出口なき迷路で「選ばれる」ための戦略
客観的なデータを見る限り、この在庫の積み上げは今後も続く可能性が高いと言わざるを得ません。
「供給(新規登録)」のペースに対し、「出口(成約)」の細り方がそれを上回るスピードで進行しており、毎月10件近い「余剰物件」が生まれる構造が定着してしまっています。
今の低水準な成約が続けば、在庫件数は2026年末には200件という、未知の領域に達する懸念すらあります。
2026年4月のデータは、もはや単なる「価格調整」だけでは、この膨大な在庫の山を切り崩せないステージに入ったことを示しています。
■ 売主様へ:
174件という過去最多の競合の中で、わずか13件という狭き門をくぐるには、価格の適正化はもちろん、「物件の個性(リノベーションや保証)」や、他社を圧倒する「強力な露出戦略」が不可欠です。
「174分の1」に残るための、攻めの戦略への切り替えが求められています。
■ 買主様へ:
過去最多の物件数から選べる、歴史的な「買い手市場」が続いています。
しかし、出口が塞がっている今だからこそ、単なる安さに惑わされず、将来にわたって資産価値を維持できる「本当に価値のある物件」を慎重に見極める目が必要になります。
市場が「消化不良」から「麻痺」に変わる前に、データに基づいた次の一手を打つ必要があります。
福山市の不動産売買に関する不安や戦略のご相談は、ぜひ私、杉野までお気軽にお寄せください。
ゴールデンウイーク休業のお知らせ
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
誠に勝手ながら、弊社では下記の期間をゴールデンウイーク休業とさせていただきます。
2026年5月2日(土)~5月6日(水)
休業期間中は、お問い合わせへのご返信、ご対応などが遅れる場合がございます。
ご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力をお願い申し上げます。
■通常営業再開日
2026年5月7日(木)より、通常通り営業いたします。
■休業期間中のご連絡について
休業期間中にお問い合わせいただいた内容につきましては、5月7日(木)以降順次対応させていただきます。
ご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願い申し上げます。
不動産流通実務検定スコア・インタビュー掲載のお知らせ
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
先日、公益財団法人不動産流通推進センターが実施する「不動産流通実務検定”スコア”」において、受検者インタビューを受けさせていただきました。
この度、そのインタビュー動画と記事がセンターのWEBサイトに公開されましたので、ご報告させていただきます。
数ある名だたる企業様の中から、当社を選んでいただき大変光栄に感じております。
■ 記事・動画はこちらからご覧いただけます
変容する不動産取引と「実務対応力」の重要性
インタビューの中でも触れましたが、不動産をめぐる取引の難易度は、年々高まりを見せています。
宅建業法をはじめとする関連法令の改正は毎年のように行われ、激甚化する災害への対応、増加する所有者不明土地・空き家問題、コンプライアンス意識の高まり、そして多様化する消費者ニーズなど、私たち実務家が直面する課題は複雑さを増すばかりです。
これまでは「現況有姿」や「契約不適合責任免責」といった一言で片付けられていた場面もありましたが、それでは問題を将来に先送りするだけであり、根本的な解決にはなりません。
今の時代に求められるのは、「問題の原因をいち早く察知し、それを解決可能な課題へと昇華させる実務能力」だと確信しています。
「スコア」を通じて自分の経験を拡張する
「スコア」は、同センターに寄せられた膨大なトラブル事例や最新のノウハウに基づいて構成されています。
これを学ぶことは、個人の限られた経験を大幅に拡張し、網羅的かつ深掘りされた仲介実務を体得することに繋がります。
私自身、この学びを通じて物件調査における新たな切り口を得ることができました。
何年実務を積んでも「まだ知らないトラブル事例がある」という事実は、常に身を引き締めるきっかけになります。

デスクのそばに置き、いつでも手に取れるようにしているテキスト
「暗黙知」から「形式知+α」の時代へ
かつての不動産仲介は、いわゆる「勘と経験」が物を言う「暗黙知」の世界でした。
しかし現在は、知識や経験が共有される「形式知」の時代へと移行しています。
さらに将来は、AIの進化によってデジタル化された膨大なデータが「知の泉」となり、誰でもどこでも高度な知識にアクセスできる時代がやってきます。
そうなれば、暗黙知の領域は必然的に小さくなり、「形式知 + アルファ(人間ならではの判断力やホスピタリティ)」が問われる時代になります。
2025年9月には、国土交通省と業界6団体によって「宅地建物取引業リスキリング協議会」が設立されるなど、業界全体で学び直しの機運がかつてないほど高まっています。
今この波に乗って学び続けるかどうかが、5年後、10年後の立ち位置を左右すると言っても過言ではありません。
最後に:地域のお客様のお役に立つために
ぜひこの機会に、皆さんも「リスキリング(学び直し・学び増し)」を始めてみませんか。
学ぶことで得られる新しい気づきは、毎日の実務を確実にアップグレードしてくれます。
私も一人の実務家として、学び続けた知識をここ福山の地で実践し、目の前のお客様のお役に立てるよう精進してまいる所存です。
【マンションウォッチ】平均157万円の「決断」。価格急落が示す市場の消化不良と売主様の焦燥
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
2026年3月度のデータは、これまでの「高値での膠着」が完全に崩れ、市場が激しい「調整局面」に突入したことを明確に示しています。
先月、私は市場が「深刻な消化不良」に陥っていると警告しましたが、今月はその滞留を解消するために、売主様たちがかつてない規模の「決断」を下した月となりました。

1.【全体サマリー】2026年3月の主要データ
今月のデータで特筆すべきは、下落の「幅」とその「エネルギー」です。
- 平均在庫日数:302.2日(前月 305.3日から微改善 📉)
- 70㎡換算平均価格:2,234万円(前月比 -98万円 📉)
- 70㎡換算中央価格:1,942万円(前月比 -100万円 📉)
- 値下げ単価(1物件あたり):157万円(過去1年で最大 🚀)
- 流通物件数:165件(前月と同数 ➡️)※過去2年間で最多のまま
- 新規件数:19件 / 掲載終了件数:19件(完全な均衡)
今月のハイライトは、「平均・中央価格が揃って100万円下落」したこと、そしてそれを引き起こした「平均157万円という大幅な値下げ」です。


2. 「1物件あたり157万円」の値下げが意味するもの
今月、価格改定を行った物件の平均値下げ額は「157万円」に達しました。
これは単なる端数調整ではありません。
これまでの「50万円、100万円刻みの値下げ」では買い手が反応しないことを悟った売主様たちが、一気に150万円以上の幅で価格を叩き、成約を勝ち取りに行った結果です。
この「157万円」という強烈な一打が、これまで上振れしていた中央価格を1,942万円という本来の実需水準まで一気に引き戻しました。

3. 「3ヶ月のタイムラグ理論」の結末と、均衡の正体
昨年末からの在庫増に対し、先月(2月)には価格改定率が15.8%まで急増しました。
私が唱えてきた「3ヶ月のタイムラグ理論」の通り、2月に始まった「売主様の焦燥」が、3月に「157万円という大幅な値下げ」を伴う価格リセットとなって現れました。
新規物件と掲載終了(成約等)が19件で同数となり、在庫の積み上がりは一旦止まりましたが、それはあくまで「150万円以上の値下げを断行した物件が、ようやく出口を見つけた」に過ぎません。
山のような在庫165件を解消するには、まだ入り口に立ったばかりと言えます。
4. 特定年代の決壊:築15〜20年層が主導する下落
年代別に見ると、この「157万円」という値下げ圧力がどこにかかっているかが鮮明になります。
- 築15〜20年未満:価格が前月比 -13.15%(約340万円)の暴落
これまで相場を無視して高値で粘っていたこの層が、今月一斉にパニック的とも言える「損切り」を行いました。
- 築10〜15年未満:価格改定率 35.7%
「3件に1件以上」が価格を見直しています。ライバル165件の中から選ばれるための値下げ合戦が、最も激しく行われているエリアです。
- 築5年未満:平均価格 4,813万円(+2.26%)
全体が沈む中で、築浅物件だけは独自の高値圏を維持。市場は完全に二極化しています。
5. まとめ:これからの戦略
2026年3月のデータは、福山のマンション市場において「小手先の対応」が通用しなくなったことを告げています。
- 売主様へ:今の市場平均である「157万円」という値下げ幅を直視してください。中途半端な値下げは、膨大な在庫の中に埋没し、在庫日数をさらに伸ばす(現在302日)結果を招きます。一撃で決める「インパクトのある価格設定」が不可欠です。
- 買主様へ:ようやく実需層にとって現実的な価格帯の物件が増え始めました。一気に100万円以上下がった今こそ、これまで手が出なかった物件の「中身」を精査するチャンスです。
市場の潮目が大きく変わった今、必要なのは期待ではなく「データに基づいた勇気」です。
福山市での不動産売買、そしてこの複雑な市況を勝ち抜くための戦略的なご相談は、ぜひ杉野伸不動産事務所までお寄せください。
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