2026年記事一覧
【FMふくやま出演報告】10月23日放送「戸建修繕アンケート結果から見る、今後の備え」
10月23日(金)、FMふくやまの朝の情報番組「あさまる」にゲスト出演させていただきました。
2026年も終盤に差し掛かり、年内にある程度住まいのことを落ち着かせたいというご相談も多くいただいております。
さて今回は、アットホーム株式会社が発表した「一戸建て修繕の実態調査 2026」のアンケート結果を踏まえ、「戸建修繕アンケート結果から見る、今後の備え」というテーマでお話ししてまいりました。
マイホームを購入した後、将来どれくらいの修繕費用がかかるのかは、多くの方が気になるポイントだと思います。
放送でお伝えした要点をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
▼ 実際の出演音声(2026年10月23日放送分)
一戸建て修繕にかかる費用の実態
新築一戸建てを購入し、30年以上住んでいる方を対象としたアンケート結果によると、これまでに修繕にかけた費用の平均は554.0万円でした。
建物構造別で見ると、以下のようになっています。
- 木造:平均506.8万円
- 鉄骨・鉄筋造:平均666.4万円
また、修繕をしたことがある場所の第1位は「外壁(69.1%)」で、その費用の合計は平均177.6万円と非常に高額です。
外壁の修繕は、先々の雨漏りを防ぎ、室内への影響を抑えるために確実に行っておきたい大切なメンテナンスです。
修繕費の準備と高騰の影響
これほど高額な修繕費ですが、毎月計画的に積み立てをしている方はどれくらいいるのでしょうか。
アンケートによると、自宅の修繕費を「毎月積み立てている」と答えた人はわずか8.9%にとどまり、91.1%の人が積み立てを行っていないことが明らかになりました。
では、どのように修繕費を捻出しているかというと、最も多いのが「日常の生活費の中から捻出(45.9%)」、次いで「投資・資産を取り崩す(17.7%)」、「退職金(17.1%)」となっています。
しかし、昨今の修繕費の高騰や資材不足により、「3人に1人」が修繕のタイミングや内容に影響を受けており、その中で最も多い対応が「修繕を見送った(46.3%)」という厳しい現実があります。
生活費を取り崩して急な高額出費に対応するのは、家計にとって大きな負担となります。
賢い備えと、購入時に知っておきたいこと
過去の修繕費の平均である554万円を月額に換算すると、毎月平均して約1万2000円~1万5000円の修繕費がかかっている計算になります。
設備は少しずつ老朽化し、いつか確実に壊れる時が来ます。
急な出費に慌てないためにも、月々3000円でも5000円でも、修繕のための定期的な積み立てをして準備しておくことが非常に重要です。
また、同アンケートで「住宅購入時に不動産会社から説明を受けたかったこと」として、「補助金制度について(26.2%)」と「修繕費用の目安・相場について(26.2%)」が同率トップに挙げられました。
購入の段階で「今後どれくらい修繕にお金がかかるのか」という目安を知っておくことは、今後の住まい選びにおいてますます重要なキーポイントになってきます。
▼一戸建て修繕の実態調査2026
https://www.athome.co.jp/corporate/news/data/questionnaire/kodate-shuuzen-202609/
弊社では、目先の購入だけでなく、将来の修繕やメンテナンスも見据えたご提案を行っております。
資金計画や住まいに関するお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
【マンションウォッチ】売出平均価格は下落傾向も、成約12ヶ月移動平均は3ヶ月連続反発で実需堅調
毎月恒例の「福山マンションウォッチ」、今回は2026年9月度(10月1日集計)の最新市場データをお届けします。
秋の不動産商戦が本格化する中、長期的な推移グラフを見ると非常に分かりやすい変化が起きています。
それは、「売出の平均価格が下落傾向にある一方、成約12ヶ月移動平均は反発して3ヶ月連続で上昇している」という点です。
売り手の希望価格と買い手の実際の成約価格が歩み寄る中で、売出在庫件数も春のピークに迫る「過去最多水準の169件」まで積み上がってきました。

1.【全体サマリー】2026年9月度の主要データ
まずは当事務所で毎月定点観測している全体推移データをご覧ください。
- 平均在庫日数:298日📉(前月比-10日)
- 70㎡換算 平均価格:2,087万円📉(前月比-4.18%)
- 70㎡換算 中央価格:1,796万円📉(前月比-2.07%)
- 流通物件数(在庫):169件📈(前月比+12件)4月(174件)に迫る過去最多水準
- 掲載終了件数(成約等):15件📉(前月比-3件)
- 新規売出件数:25件📈(前月比+3件)
- 平均 vs 中央 ギャップ:290万円📉(前月比-54万円)
- 70㎡換算 単月成約平均:2,116万円📈(前月比+26万円)
- 成約12ヶ月移動平均:1,915万円📈(前月比+4万円)3ヶ月連続上昇
- 成約3ヶ月移動平均:1,970万円📉(前月比-10万円)
- 価格改定件数:13件📈(前月比+3件)
- 値下げ単価:89万円📉(前月比-9万円)
※70㎡換算(成約平均・12ヶ月移動平均・3ヶ月移動平均)の2026年7月、2026年8月数値は、最新の成約データに基づき更新しています。


2. データの深層分析:グラフでわかる市場の大きな変化
①【価格トレンドの対比】「下落する売出平均」と「反発する成約移動平均」
グラフで長期的な価格の動きを見ると、非常に分かりやすい傾向が視覚的に現れています。
- 売出平均価格は「下落傾向」:
2024年末〜2025年初頭には2,300万円台まで過熱していた売出平均価格は、その後緩やかな下落基調に転じ、今月は前月の2,178万円から2,087万円(前月比 -91万円 / -4.18%)へと下落しました。高額プレミアム物件の掲載終了や、築古物件を中心とした価格改定が重なり、売り手の希望価格が現実的な水準へと下がってきています。 - 成約12ヶ月移動平均は「反発して上昇傾向」:
一方で、買い手が実際に購入した価格の長期トレンドを示す「成約12ヶ月移動平均」は、2026年6月の1,891万円を底に、7月(1,904万円)→ 8月(1,911万円)→ 9月(1,915万円)と3ヶ月連続で反発・上昇しています。
つまり、「売り手の希望価格(平均価格)が下がり、買い手の実勢価格(成約移動平均)が上がったことで、両者の価格差が縮まってきている」状態です。手が届きにくい高値圏の歪みが解消され、実需の取引相場(約1,900万〜2,000万円)へと市場全体が歩み寄っている様子がグラフからも見て取れます。

②【在庫動向】在庫は過去最多水準の「169件」。在庫日数298日は「見かけ上の改善」
売出在庫件数は前月比+12件の「169件」に達し、春先(4月の174件)に迫る過去最多水準を記録しました。新規売出が25件と活発だったのに対し、成約・掲載終了が15件にとどまったため、市場に滞留する物件が増加しています。
一方、平均在庫日数は前月の308日から「298日」へと10日短縮し、目安となる300日を下回りました。
ただし、これは物件の回転が急激に速くなったわけではありません。
- 新規売出25件が大量に流入し、全体の平均値が薄まったこと
- 6,000万円台の高額物件や、経過500日を超える長期滞留物件が掲載終了(市場から退出)したこと
上記による「統計上の見かけの若返り」という側面が強いため、売り手目線では「売れやすくなった」と油断するのは禁物です。
③【成約の実態】成約単月は2,116万円。実需の優良ファミリー物件が好調
成約データが示す通り、実需層の購買意欲そのものは決して落ちていません。
今月の70㎡換算成約平均価格は2,116万円と、8月(2,090万円)に続いて2ヶ月連続で2,000万円を超えました。短期の「成約3ヶ月移動平均」も1,970万円と高水準を維持しています。
【9月に成約が確認された主な物件傾向】
- 中心部・駅近エリア(築15〜20年前後・専有80㎡超):3,500万円前後(70㎡換算 約3,000万円)
- 東部エリア・利便立地(築10〜15年前後・専有80㎡超):2,600万円台(70㎡換算 約2,300万円)
- 中心部近郊(築40年超・リフォーム済ファミリータイプ):800万〜900万円台(70㎡換算 約1,100万〜1,200万円)
駅近や生活利便性の高い人気エリアで、広さ(80㎡前後)と管理状態が良好なファミリータイプは、2,500万〜3,500万円前後でもしっかりと成約に至っています。
④【年代別分析】築年数による鮮明な二極化
|
築年数帯 |
在庫数(構成比) |
平均在庫日数 |
70㎡換算平均価格 |
価格 改定率 |
|
築5年未満 |
18件(11%) |
354日 |
4,820万円 |
5.60% |
|
築5〜10年未満 |
9件(5%) |
188日 |
2,942万円 |
11.10% |
|
築10〜15年未満 |
5件(3%) |
405日 |
2,755万円 |
0.00% |
|
築15〜20年未満 |
19件(11%) |
183日 |
2,692万円 |
0.00% |
|
築20〜25年未満 |
12件(7%) |
268日 |
2,034万円 |
0.00% |
|
築25〜30年未満 |
23件(14%) |
240日 |
1,789万円 |
4.30% |
|
築30年以上 |
83件(49%) |
222〜494日 |
845〜1,495万円 |
10.3〜15.0% |
- 築15〜20年の実需が主役: 在庫日数は183日と市場最短。立地・専有面積・価格のバランスが取れた物件は成約スピードが際立っています。
- 築浅・高価格帯(築5年未満)の膠着: 在庫日数354日と長期化。実需層のローン上限を超える4,000万〜7,000万円台は動きが重く、販売取り下げが目立ちます。
- 築30年以上の価格競争: 在庫の約半分を占める激戦区。改定率も高く、リフォーム済みで総額1,000万円前後に抑えられた物件に需要が集中しています。
3. まとめ:今後のトレンド予測と戦略
2026年9月度は、「売出平均価格が下落傾向を見せる一方で、成約12ヶ月移動平均が底を打って反発・上昇傾向を強める」という、売り手と買い手の価格感が実勢水準へと近づいてきた1ヶ月でした。
◆ 売主様へのアドバイス:「在庫169件の比較時代」における適正値付け
- 売出平均価格が下落している今こそ「適正価格」が勝負:
買い手は169件もの過去最多水準の在庫の中から厳しく吟味しています。高値チャレンジは長期滞留を招くリスクが高いため、実需の成約相場(2,500万〜3,500万円帯/リフォーム済1,000万円前後)を意識した初期設定が年内成約の鍵です。
◆ 買主様へのアドバイス:選択肢豊富な好機、ただし「良質物件」の即決力は必須
- じっくり比較できる絶好のタイミング:
売出平均価格が落ち着いてきているため、無理な高値掴みを避けやすい環境です。 - 「築15〜20年・駅近・80㎡超」の良質物件は迷わず動く:
成約移動平均が上昇している通り、条件の良い人気物件は水面下で早く決まっています。相場通りの適正価格で出た良質物件に出会った際は、迅速な判断をお勧めします。
福山市の中古マンション市場は、まさに価格の「正常化・リセット期」を迎えています。
データに基づいた具体的な売却・購入戦略や、ランニングコストを考慮した資金計画については、ぜひ杉野伸不動産事務所までお気軽にご相談ください。
【FMふくやま出演報告】9月25日放送 上昇する基準地価と変化する消費者の意識。賢い不動産選びのポイントとは
9月25日(金)、FMふくやまの朝の番組「あさまる」内のコーナーにゲスト出演させていただきました。
今回は、9月15日に発表された最新の地価動向と、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)および公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)が発表した意識調査「2026年住宅居住白書」のアンケート結果を踏まえ、「上昇する基準地価と変化する消費者の意識。賢い不動産選びのポイントとは」というテーマでお話ししてまいりました。
放送でお伝えした要点をまとめましたので、ぜひ住まい選びの参考にしてください。
▼ 実際の出演音声(2026年9月25日放送分)
2026年基準地価:緩やかな上昇と広がる「エリア格差」
毎年7月1日時点の土地価格を調査し、9月中旬に発表される基準地価。
福山市内の詳しいエリア別分析や前年との比較データについては、先日のブログ記事でも詳しく解説しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。
👉 あわせて読みたい:
市内の動向を振り返ると、福山駅周辺の西町や霞町といった中心部・商業地が地価を力強く牽引する一方で、郊外や北部エリアとの伸び率の差(二極化)がますます鮮明になっています。
「地価が上がっているから自分の土地も高く売れるはず」「どこも値上がりしている」と平均値の数字だけで判断するのではなく、エリアごとの個別要因をしっかり見極める必要があります。
「買い時ではない」が37.7%へ増加――消費者のリアルな意識
地価の上昇が続く中、実際にマイホームや不動産の購入を検討している一般消費者は現状をどのように見ているのでしょうか。
全宅連・全宅保証が全国の20歳〜65歳の男女5,000名を対象に実施したアンケート調査「2026年住宅居住白書」から、リアルな本音が見えてきました。
①「いまは買い時ではない」と考える人が過去最高水準の37.7%
「いま、不動産は買い時だと思いますか」という質問に対し、「買い時だと思わない」と答えた人は37.7%(前年比+3.0ポイント)となり、過去10年以上の調査の中でも最も高い水準を記録しました。
- 買い時だと思わない理由:
- 1位:「価格が高騰しすぎているから」(47.2%)
- 2位:「住宅ローン金利が上昇しているから」(20.0%)
- 3位:「自分の収入が不安定または減少しているから」(9.1%)
地価の上昇、建築資材や物価の高騰、そして住宅ローン金利の引き上げが、住宅取得を検討する家計を直撃しています。
実際、同調査では「住宅取得を諦めた、または延期した経験がある」と答えた人が全体の32.0%(およそ3人に1人)に上っており、購入意欲にブレーキがかかっている様子が窺えます。
②「買い時だと思う」層が抱く焦燥感
一方で、「買い時だと思う」と答えた人は21.6%でした。
その理由の第1位は「今後、住宅ローンの金利がさらに上昇しそうなので」(64.4%)が圧倒的多数を占めています。
「高すぎて手が出ない」と見送る層と、「金利がさらに上がる前に決断したい」と急ぐ層に、消費者の判断が二分しているのが今年の特徴です。
住まい探しで広がる「顧客のAI活用」とその限界
今回の白書で特に注目すべきトピックが、住宅検討者における「生成AI(ChatGPTやGeminiなど)」の活用実態です。
- 住まい探しで生成AIを何らかの形で利用したことがある人は全体で33.9%(3人に1人)
- 特に20代では53.4%(半数以上)、30代でも42.3%が利用
AIの利用目的としては、「希望エリアの地域情報の収集・比較」(33.5%)がトップで、「専門用語の解説」(28.4%)や「物件情報のメリット・デメリットの整理・比較」(27.6%)が続いています。
膨大な物件候補から自分に合う条件を絞り込む初期段階において、AIは非常に便利なツールとして消費者の間に急速に浸透しています。
しかし、以前の出演回でもお伝えしている通り、不動産選びにおいて「AIによる活用には明確な落とし穴」が存在します。
👉 あわせて読みたい:
【FMふくやま出演報告】2025年11月21日放送 AI×不動産 3つの落とし穴
AIが集められるのは「インターネット上に公開されている情報」に限られます。
不動産取引で最も重要となる「実際の成約価格(実勢相場)」や「過去の心理的瑕疵(事件・事故等の履歴)」は非公開情報が多く、AIでは正確に拾うことができません。
また、現地の湿気や日当たり、騒音、地盤の硬さ、隣地との境界や擁壁の安全性など、「五感で感じ、現場を歩かないと分からない情報」はAIには判断できない領域なのです。
賢い不動産選びのポイント:最後の一押しは「信頼できる担当者」
AIの普及により誰もが手軽に情報を得られるようになった今、消費者が最終判断において重視するポイントにも大きな変化が見られます。
① 店舗や看板より「担当者」を最重視(25.0%)
不動産店を選ぶ際に最も重視するポイントを聞いた設問では、「担当者」が25.0%で第1位となりました。
かつて主流だった「店舗の雰囲気」(11.8%)や「ネット上の口コミ・評判」(18.7%)を大きく上回っています。
興味深いことに、AIの利用率が最も高かった20代・30代の若い世代ほど、「担当者」を重視する割合が高くなっています。
日常的にAIを使いこなしている若い世代だからこそ、「AIができることの限界」を直感的に理解しており、「データだけでは決めきれないからこそ、最後は信頼できる生身のプロに背中を押してもらいたい」と考えていることが背景にあるのではないかと思います。
② 求められるのは「注意点やデメリットも包み隠さず話す誠実さ」
消費者が不動産会社や担当者に求めている安心の条件は、極めてシンプルかつ本質的です。
- 安心できるサポート内容(複数回答):
- 1位:「物件の良い点だけでなく、注意点も正直に教えてくれること」(48.4%)
- 2位:「契約前に十分な時間をかけて説明してくれること」(32.8%)
- 3位:「予算や希望条件に合わせて無理な提案をしないこと」(30.0%)
- 担当者に最も期待すること(単一回答):
- 1位:「わかりやすい説明」(21.4%)
- 2位:「メリットだけでなく、デメリットなど全て隠さず情報を伝えてくれること」(19.1%)
物件の良い部分をアピールするのは営業マンなら誰でもできます。
しかし、これからの賢い不動産選びにおいて本当に頼るべきパートナーとは、「その物件に内在するリスクや将来のコスト、現地のウィークポイントまで包み隠さず正直に教えてくれる担当者」です。
▼2026年全宅連・全宅保証 不動産の日アンケート調査結果の詳細
宅建マイスターとして、今お伝えしたいこと
これまで不動産会社の役割は、物件と購入希望者を結びつける「マッチング」が主流でした。
しかし、地価や金利が変動し、情報過多で先行きが見えにくい現代だからこそ、私たちの役割は「依頼者の将来の利益と安心を守るサポーター」へと進化しなければなりません。
物件を購入する際は、初期の候補出しや相場の目安としてAIを賢く活用しつつ、最終的な判断においては、現地調査を徹底し、デメリットも含めて真摯にアドバイスしてくれる専門家を味方につけてください。
当社でも最新のAIや客観的な市場データを駆使して分析を行いながら、最後は宅建マイスターとしての目と足で現地を徹底調査し、リスクも含めた誠実なご提案を徹底しております。
福山市内および近隣エリアでの不動産購入・売却・空き家相談など、気になることがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
【2026年基準地価】福山市は上昇維持も「高原状態」へ!工業地の加速と広がる二極化
9月15日、国土交通省より2026年(令和8年)の基準地価が発表されました。
日本経済新聞などの報道によると、全国の全用途平均は前年比+1.5%と5年連続で上昇し、三大都市圏(+4.4%)やインバウンド・オフィス需要が旺盛な都心部が牽引しています。
その一方で、これまで地価上昇をリードしてきた地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇率は前年の5.3%から4.1%へと急減速し、建築費の高騰や金利上昇に伴う再開発の見直し、住宅買い控えなどの影響が全国的にも色濃く表れ始めています。
中国地方全体を見ても、商業地は+0.7%と4年連続のプラスとなったものの、住宅地は-0.2%と29年連続のマイナスが続いており、依然として厳しい状況が続いています。
では、こうした全国・地方圏のマクロな環境変化の中で、私たちの街・福山市の不動産市場はどのような局面を迎えているのでしょうか。
今回も公表された詳細なデータと、私たちが日々現場で目の当たりにしている実勢取引(成約事例)を突き合わせながら、分かりやすく解説していきます。
前回記事:『2026年福山市公示地価・実需と再開発が牽引する上昇基調』
昨年の基準地価記事:『【2025年基準地価】福山市の地価は上昇継続!西部の躍進が顕著に』
福山市全体の動向:上昇基調は維持も「高原状態」へ
まずは、2026年(令和8年)の福山市における調査結果を用途別にまとめました。
■ 2026年(令和8年)福山市 基準地価 用途別一覧
| 住宅地 | 宅地見込地 | 商業地 | 工業地 | 合計 | |
| 調査地点 | 40 | 1 | 17 | 4 | 62 |
|
平均価格 (/㎡) |
48,500円 (47,300円) |
14,000円 (14,100円) |
142,300円 (135,600円) |
46,600円 (45,200円) |
73,500円 (70,800円) |
|
対前年度 変動率 |
1.32% (1.34%) |
-0.70% (-1.40%) |
4.36% (4.66%) |
2.93% (2.58%) |
2.23% (2.29%) |
※出典:広島県ホームページ『令和8年 広島県地価調査の結果について』より作成
※(括弧)内数字は前年度調査
福山市全体の平均変動率は+2.23%となり、依然として中国地方全体(商業地+0.7%、住宅地-0.2%)や広島県全体(商業地+1.7%、住宅地+0.5%)を大幅に上回る力強い成長力を示しています。
しかし、前年度(令和7年度:+2.29%)と比較すると、伸び率はわずかに縮小しました。
今年3月に発表された公示地価でも「上昇の勢いがピークに達しつつある」とお伝えしましたが、7月1日時点の基準地価においても、価格そのものは上がっているものの、上昇の加速度(ピッチ)にブレーキがかかり、相場が「高原状態(高値圏での頭打ち傾向)」に入ったことが明確にデータへ表れています。

用途別の詳細分析:工業地の躍進と商業・住宅の選別
① 工業地(+2.93%):物流・産業需要を追い風に唯一の上昇加速
今回の調査で最も際立った動きを見せたのが「工業地」です。
全用途の中で唯一、前年の+2.58%から0.35ポイント上昇幅を拡大させました。
- 曙町4丁目:+3.50%(57,500円 → 59,500円/㎡)
- 明神町2丁目:+3.00%(66,500円 → 68,500円/㎡)
- 大門町4丁目:+2.70%(33,200円 → 34,100円/㎡)
- 箕沖町:+2.50%(23,600円 → 24,200円/㎡)
市内4地点のすべてで上昇幅が拡大しています。
後述する都市計画道路の進展(福山道路の全線事業化や神辺水呑線の事業化)により、港湾・幹線アクセスが飛躍的に改善することを見越した企業の物流用地・工場用地への強い実需が、地価を大きく押し上げています。
② 商業地(+4.36%):駅前再開発の余波と高値警戒感
商業地は平均+4.36%と力強い数値を維持していますが、前年の+4.66%からはやや伸びが鈍化しました。
最高価格地点となった福山駅南口前の「東桜町20番」は481,000円/㎡(+5.90%)に達し、霞町1丁目(+5.90%)、御船町1丁目(+5.60%)、船町(+5.50%)、西町2丁目(+5.30%)など、中心商業地は5%台半ば〜後半の高い伸びを示しています。
しかし、資材高や金利負担により開発採算のハードルが上がっていることから、際限のない高値追いには慎重な姿勢も見え隠れしています。
③ 住宅地(+1.32%):生活利便地の実需集中と郊外の停滞
住宅地は前年(+1.34%)とほぼ同水準の+1.32%となりました。
駅近や平坦な人気住宅地では4〜5%台の上昇を見せる地点がある一方、郊外や島しょ部では下落が続いており、「買われる場所とそうでない場所」の選別がより一層シビアになっています。
上昇を牽引した地点:
- 北吉津町3丁目:+5.20%(102,000円/㎡)
- 多治米町4丁目:+4.60%(99,500円/㎡)
- 木之庄町1丁目:+4.50%(99,800円/㎡)
- 松永町3丁目:+4.40%(75,700円/㎡)
- 西新涯町2丁目:+4.30%(87,600円/㎡)
- 草戸町4丁目:+4.20%(96,000円/㎡)
都市計画とインフラ整備がエリア地価を動かす
2026年の福山市の地価を語る上で欠かせないのが、大型インフラ整備の進展です。
【中心部・南部】 4〜5%台の上昇(駅前波及・平坦地実需が極めて堅調)
【西部(平坦)】 3〜4%台の続伸(松永駅周辺・福山道路への強い期待)
【東部】 2〜3%台の安定推移(幹線道路沿い・岡山方面へのアクセス)
【北部】 横ばい〜微減(0%近傍で停滞。近郊の御幸・横尾町のみプラス)
【西部(島しょ部)】3%前後の下落(内海・沼隈など人口減と需要減が継続)
■ 市内5エリアの変動率推移
|
エリア |
令和4年度 |
令和5年度 |
令和6年度 |
令和7年度 |
令和8年度 |
|
中心部 |
+2.1% |
+4.3% |
+5.1% |
+5.4% |
+5.2% |
|
南部 |
+1.8% |
+3.0% |
+3.5% |
+4.0% |
+3.9% |
|
東部 |
+0.5% |
+1.6% |
+2.2% |
+2.5% |
+2.4% |
|
西部 |
-0.5% |
-0.3% |
+0.6% |
+1.1% |
+1.1% |
|
北部 |
-0.7% |
-0.4% |
-0.3% |
-0.2% |
-0.1% |
※各年度の、対前年度変動率を記載

1. 福山道路の「全線事業化」と産業軸の強化
2026年4月、国土交通省により福山道路の未着手区間であった「笠岡西〜長和(13.2km)」が新規事業化され、ついに全線事業化が達成されました。
さらに、明神町交差点の慢性的な渋滞を解消し福山港へと直結する「都市計画道路 神辺水呑線(明神町〜曙町)」の事業化も決定したことで、東部・臨海部の物流利便性向上への期待が一気に高まり、前述の工業地の上昇率拡大へと直結しました。
2. 福山沼隈道路の進捗と「草戸町」「瀬戸町」の躍進
工事が目に見えて進む福山沼隈道路の起点側である草戸町4丁目(+4.20%)や、福山道路との結節点となる長和ICを抱える瀬戸町地頭分(+3.30%)では、交通利便性の向上を先取りする形で高い地価上昇が続いています。
なお、先日9月6日には草戸町に新たな市民交流拠点「大和建設まちテラスふくやま」が開設されました。
今回の基準地価(7月1日時点)の調査後であるため数値への直接反映は限定的ですが、子育て・地域活動の拠点として、草戸町周辺の住環境評価を長期的に支える好材料となることは間違いありません。
3. インフラ効果の陰に潜む「光と影」
その一方で、大きな課題も浮き彫りになっています。
福山沼隈道路の終点側である沼隈町(常石:-3.50%、上山南:-1.50%)や、内海町(内海町字ロ:-3.70%、内ノ浦:-2.80%)では、依然として厳しい下落が続いています。
道路開通によるアクセス向上への期待よりも、人口減少や高齢化のペースが勝っており、道路ができることでかえって中心部へ人口や購買力が流出する「ストロー効果」を懸念する声すらあります。
インフラの進展が、皮肉にも地域間の格差を鮮明に浮き彫りにしています。
実勢データ(成約事例)から見る不動産取引のリアル
基準地価という公的な指標だけでなく、私たちが日々取り扱う「実際の売買データ」を見ると、現場ではさらにシビアな二極化が進んでいます。
- 中心部・南部平坦地(新涯・沖野上・多治米・川口・西町など):
坪単価30万円〜40万円台(商業地近接では50万円前後)の物件であっても、実需層からの引き合いが非常に強く、売り出しからわずか15日〜70日程度でスピード成約する事例が多数見られます。価格交渉もほとんど入らず、満額での成約が目立ちます。 - 西部平坦地(松永駅周辺・今津・高西など):
坪単価20万円〜25万円前後で着実に成約しており、中心部に比べて手頃な価格帯を求める子育て世代の受け皿として機能しています。 - 郊外・市街化調整区域:
坪単価数万円〜10万円前後の物件であっても、反響が極めて限定的です。成約までに300日〜1,000日以上(約1〜3年)を要する長期滞留事例が増加しており、最終的に数百万円単位の大幅な値下げを行ってようやく成約に至るという厳しいケースが散見されます。
建築資材の高騰によって「建物の建築費」が高止まりしている現在、マイホームを検討する買い手のエンド総予算(土地代+建物代+借入可能額)には明確な限界があります。
そのため、「予算をかけてでも資産価値と利便性が落ちない中心・南部平坦地を選ぶ」か、「建物の費用を確保するために郊外の格安な土地を選ぶ」かという二者択一が進み、中間的な郊外住宅地が最も苦戦を強いられる構図となっています。
まとめ:2026年秋以降の不動産売買に向けて
2026年の基準地価は、福山市の根強い産業力と利便地の実需を証明する一方で、「価格上昇のピークアウト(高原状態)」と「エリア選別の激化」という時代の曲がり角を明確に告げています。
この市場環境を踏まえ、売主様・買主様へのアドバイスをお伝えします。
【ご売却を検討されている皆様へ】
地価上昇の勢いが高値圏の「高原状態」にある現在は、まさに絶好の売り時であることに変わりはありません。
しかし、これまでのような「強気な価格設定でも時間が経てば追いついて売れる」という右肩上がりの相場は終わりを告げつつあります。
相場から乖離した高値設定をしてしまうと、買い手から早期に見限られ、長期間売れ残った末に大幅な値下げを強いられるリスクが高まります。
「今、市場で実際にいくらで動いているか」というリアルな実勢データを基に、最初から適正な価格設定を行うスピード感が、これからの売却成功の絶対条件です。
【ご購入を検討されている皆様へ】
住宅ローン金利の先高観や建築費の高止まりなど、購入のハードルを感じる場面もあるかもしれません。
しかし、需要が集中する人気エリアの優良な土地は、今後も大きく値崩れする可能性は低く、出た瞬間に買い手がつく状況が続いています。
大切なのは、単に土地の価格だけで判断するのではなく、将来のインフラ整備(福山道路など)や資産価値の維持しやすさ、そして建物代を含めた総返済計画を冷静に見極めることです。
条件に合致する物件が出た際に素早く決断できるよう、資金計画の事前準備を万全にしておきましょう。
福山市の不動産市場は、地域ごとの個性とインフラの進展によって、かつてないほど複雑で繊細な動きを見せています。
「所有している実家や土地の本当の価値を知りたい」
「今の相場で売却を進めるべきか、タイミングを相談したい」
そのようなお悩みがございましたら、ぜひ一度、当社の不動産査定・個別相談をご利用ください。
データと現場実務の両面から、お客様お一人おひとりのご事情に寄り添い、人間愛をもってお応えいたします。
皆様からのお問い合わせを、心よりお待ちしております。
顧客がAIを使う時代、不動産業の価値はどう変わるのか?~MMCサマーセミナー受講レポート~
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
先日9月2日(水)、私が所属する宅建マイスターメンバーズクラブ主催のサマーセミナーをオンラインで受講いたしました。
今回のテーマは、「顧客がAIを使う時代、不動産業の価値はどう変わるのか ~実例に学ぶ宅建マイスターのAI突破法~」(講師:株式会社流導 代表取締役 木村圭志 氏)です。
ちょうど昨年の7月にも「生成AIが拓く、不動産流通事業の未来!」と題した講座に参加し、当ブログでもレポートさせていただきました。
当時は「制作コストがゼロになる」「業務の効率化」といった未来の技術に対する驚きと可能性が中心でしたが、それから約1年が経過した今、AIは「使わないシーンがない」ほど日常へ急速に浸透しています。
今回のセミナーで提示された問いは、不動産業者がAIを使うこと以上に、「お客様自身がAIを使いこなす時代に、私たち不動産会社や宅建マイスターの存在意義はどこにあるのか」という、極めて本質的なものでした。
現場で日々お客様と接する中で感じている実感も交えながら、今回のセミナーの学びと今後の取り組みについてお伝えいたします。
「AIでおすすめされたので問い合わせました」という新しい動き
最近、実際の現場でも「AIで調べたらおすすめされたので問い合わせました」というお声をいただく機会が増えてきました。
従来の物件探しや不動産売却といえば、ポータルサイトで条件を絞り込んだり、一括査定サイトに情報を入力したりして、各社からの連絡を待つスタイルが一般的でした。
しかし現在では、お客様ご自身が生成AIを活用し、来店や問い合わせの前にすでに相場や物件の絞り込み、専門知識の調査を終えているケースが増加しています。
セミナーの中で特に興味深かったのが、「AI検索は、大手資本の会社よりも、小規模で専門性や地域密着の情報を持つ会社を推薦しやすい傾向がある」という点です。
その背景には、お客様の検索行動の変化があります。 現在のお客様は、単に「福山 不動産 売却」といった大まかな単語ではなく、次のような具体的な文章でAIに相談されています。
「私は福山市○○町に相続した実家を持っています。県外に住んでいるため管理ができません。まだ名義も変わっていないのですが、どこに相談したらよいでしょうか?」
広く浅く定型的な情報を発信する大手企業よりも、個別の複雑な状況に寄り添える「地域密着の確かな知見」や「専門性」を明確に発信している会社ほど、AIのアルゴリズムにおいても高い精度でマッチングされ、選ばれやすくなっているのです。
「サービスの均質化」が進む中、人にしか語れない価値とは
AIの普及によって、物件の提案書や査定書、画像加工などは、誰でも瞬時に及第点(80点レベル)のものが作成できるようになりました。
しかし、これは裏を返せば、どの会社でも似たような提案書や綺麗な文章が作れる「サービスの均質化」が進んでいることを意味します。
AIが参照するデータやツールが同じであれば、出力される結果の差はお客様には見分けがつきません。
だからこそ問われるのが、AIには決して代替できない「人の価値」「人にしか語れない言葉」です。
セミナー講師の木村氏が強調されていたのは、以下の3つの要素(信頼の三角形)でした。
- 正確なデータ(AIや客観的指標の活用)
- 人の知見(現場で見て・聞いて・蓄積した一次情報や法的判断)
- 共感(お客様の暮らしや想いに寄り添う対話)
どれだけAIの出力精度が上がっても、AIの答えはあくまで「たたき台」に過ぎません。
不動産の売買は、お客様の人生において非常に大きな決断です。
法的な根拠を確認し、最終的な責任を持って背中を後押しすること、複雑な利害関係を調整すること、そして何より「引き渡した後の暮らしの幸せ」まで一緒に想像して伴走することは、生身の人間にしかできません。
宅建マイスターとしての今後の取り組み
今回の学びを経て、私はAIを「最高のアシスタント」としてさらに深く実務へ組み込んでまいります。
- 情報収集・分析の高度化:
地域の市場データや複雑な法規の調査・整理をAIにサポートさせ、より論理的でお客様にわかりやすい資料(図解や分かりやすい解説)を迅速に整えます。
- お客様との対話と説明責任への集中:
調査や書類の下書きといったバックオフィス業務をAIに任せることで生まれた時間と余力を、お客様一人ひとりとじっくり向き合う時間へと充当します。
難解な不動産取引において、お客様が本当に納得して安心できるよう、専門家としてとことんお付き合いする。
その姿勢にこそ、宅建マイスターとしての真の付加価値があると確信しております。
テクノロジーの進化を味方につけながらも、最後にお届けするのは「人と人との温もりと責任」です。
福山市および近隣地域で不動産の売却や相続、購入をご検討の際は、どうぞ安心してご相談ください。
【マンションウォッチ】成約移動平均が示す「価格の底打ち」。9月以降の秋商戦に向けた戦略
朝夕の風に少しずつ秋の気配が感じられる季節となってまいりました。
さて、毎月恒例の「福山マンションウォッチ」、今回は2026年8月度(9月1日集計)の最新市場データをお届けします。
春先から続いた在庫過多と激しい価格調整を経て、前月(7月)には月間30件もの掲載終了・成約による「滞留在庫の一掃」が行われました。
8月度は、新たに導入した長短期の「成約価格移動平均(12ヶ月/3ヶ月)」の分析から、約10ヶ月に及んだ下落トレンドについに「底打ち」のサインがはっきりと確認できました。
この底打ちの兆候を受けて、本格的な秋の需要期(9月〜11月)に向けて市場がどのように変化していくでしょうか。
詳細なデータをもとに徹底解説します。

1.【全体サマリー】2026年8月度の主要データ
まずは当事務所で毎月定点観測している全体推移データをご覧ください。
- 平均在庫日数:308日📉(前月比-19日)
- 70㎡換算 平均価格:2,178万円📈(前月比+1.84%)
- 70㎡換算 中央価格:1,834万円📉(前月比-1.36%)
- 流通物件件数(在庫):157件📈(前月比+5件)
- 掲載終了件数(成約等):18件📉(前月比-12件)
- 新規売出件数:22件📈(前月比+8件)
- 平均 vs 中央 乖離幅:344万円📈(前月比+65万円)過去最大級
- 70㎡換算 単月成約平均:1,996万円📈(前月比+251万円)
- 成約12ヶ月移動平均:1,881万円 ➡(前月比±0万円)
- 成約3ヶ月移動平均:1,876万円📈(前月比+54万円)
- 価格改定件数:10件📉(前月比-4件)
- 値下げ単価:98万円📉(前月比-41万円)


2. 成約移動平均の分析:見えてきた「成約価格の底打ち」
8月度から新たに取り入れた重要指標が、「成約価格の12ヶ月/3ヶ月移動平均」です。
単月の成約平均(70㎡換算)は、その月に高額物件が決まったか、割安な築古物件が多かったかによって数百万円単位で乱高下します(8月は高額物件の成約で1,996万円へ急上昇しました)。
この月ごとのブレを平滑化し、市場の実勢トレンドを浮き彫りにするのが移動平均線です。
【成約トレンドの推移(70㎡換算)】
- 2025年10月:2,126万円(ピーク)
│
▼(約10ヶ月にわたる長期下落局面)
- 2026年 5月: 3ヶ月移動平均: 1,782万円(短期の底打ち)
- 2026年 6月: 3ヶ月移動平均:1,800万円 ── 12ヶ月 1,891万円
- 2026年 7月: 3ヶ月移動平均:1,822万円 ── 12ヶ月 1,881万円
- 2026年 8月: 3ヶ月移動平均:1,876万円 ── 12ヶ月 1,881万円(横ばい・底打ち)
① 長期トレンド(12ヶ月移動平均):下げ止まりの「底打ち」
2025年10月の2,126万円をピークに下がり続けていた12ヶ月移動平均は、7月の1,881万円から8月も「1,881万円(前月比±0万円)」と完全に横ばいになりました。10ヶ月近く続いた下落トレンドがついにストップし、底を打った形です。
② 短期トレンド(3ヶ月移動平均):5月を底に3ヶ月連続の反発
一方、直近3ヶ月の動きを反映する短期ラインは、2026年5月の1,782万円を底に、6月(1,800万円)→ 7月(1,822万円)→ 8月(1,876万円)と反発を見せています。
長期ライン(1,881万円)と短期ライン(1,876万円)の差はわずか5万円にまで縮まり、まさに相場の反転シグナルを形成しつつあります。
③ 実勢価格帯の収斂(1,830万〜1,880万円)
現在、「売出中央価格(1,834万円)」と「成約3ヶ月移動平均(1,876万円)」、「成約12ヶ月移動平均(1,881万円)」の3つが、1,850万円前後の非常に狭いレンジに収斂しています。
これは、福山市における買い手と売り手の合意形成ラインが「1,850万円前後」にしっかりと固まり、相場の土台が形成されたことを証明しています。

3. 在庫日数は308日へ改善も、広がる「価格ギャップ344万円」
8月度のもう一つの大きな変化は、過去最長を記録していた平均在庫日数(327日)が、308日(前月比-19日)へと反転短縮した点です。
■ なぜ滞留日数が短縮したのか?
その立役者は、長期間動かなかった物件の売主様による「大幅な歩み寄り」です。
- 販売期間542日の長期滞留物件(西部エリア)が、600万円の値下げによって成約。
- 販売期間379日の築浅物件(中心部)が、3,500万円で決着。
1年以上滞留していた物件が成約したことに加え、これまで目詰まりが酷かった「築10〜15年未満」の在庫日数が414日→295日(-28.8%)へ、「築15〜20年未満」が335日→207日(-38.3%)へと大きく改善しました。
■ 警戒すべき「344万円の価格ギャップ」
ただし、手放しで市場回復と喜ぶことはできません。
8月度は、70㎡換算の「平均価格(2,178万円)」が上昇したのに対し、「中央価格(1,834万円)」は下落し、その差(ギャップ)は過去最大級の344万円にまで広がりました。
中央価格の下落は、実際の買い手が1,800万円前後の現実的な実需物件しか買っていない現実を示しています。
それにもかかわらず平均価格が上がっているのは、相場全体が上がったのではなく、「築5年未満(平均価格5,063万円/在庫22件)」といった超高額帯が売れ残って平均を吊り上げている構造的な歪みによるものです。
4. 価格改定の沈静化:嵐のあとの様子見ムード
6月(値下げ単価172万円)、7月(値下げ単価139万円)と続いた激しい損切りラッシュですが、8月度は価格改定件数が10件(改定率6.4%)、値下げ単価は98万円と大幅に沈静化しました。
お盆休みの時期特有の様子見姿勢に加え、「これ以上の値下げは避けたい」という売主様の心理的抵抗線が現れています。
春から夏にかけての価格競争が一服し、市場はいったん呼吸を整えた状態です。
5. まとめ:これから秋の市場に臨む戦略
2026年8月度は、これまでの長い下落トンネルを抜け、「実勢価格の底打ちと反発の兆候」が確認された月となりました。
- 売主様へ:
市場のリアルな重心は「成約移動平均1,881万円/売出中央値1,834万円」にあります。秋の需要期はライバル物件も増えます。選ばれるためには、底値ライン(1,850万〜1,880万円)を意識した現実的な価格設定と、物件の強みを際立たせる露出戦略が必須です。
- 買主様へ:
成約データが示す通り、実勢相場の底値圏が固まりつつあります。条件の良い適正価格物件は足が早くなる傾向があります。一方で、平均在庫日数が300日を超えている長期滞留物件に対しては、データに基づいた合理的な価格交渉が通りやすい状況が続いています。秋の新規物件と既存の滞留物件をじっくり見比べながら、賢い選択をしていきましょう。
秋の需要期に入り、市況が「反発・活性化」へ向かうのか、それとも「高額在庫の滞留による再度の膠着」へ向かうのか。
9月以降の動きを今後もどこよりも早くウォッチし、正確なデータとともにお届けしてまいります。
福山市内の中古マンションのご売却・ご購入に関するご相談は、ぜひ杉野伸不動産事務所までお気軽にお寄せください。
【FMふくやま出演報告】相続した実家の処分、どうする?今からできる実家じまいのポイント
8月28日、FMふくやま(77.7MHz)の朝の番組「あさまる」内のコーナーにゲスト出演させていただきました。
例年、お盆時期は比較的落ち着いていることが多いのですが、今年は例年になくお盆前・お盆期間中・そしてお盆明けに至るまで、相続されたご実家や空き家の今後に関するご相談が非常に多く寄せられました。
親族が集まるお盆の機会に「親が高齢になって施設に入所した後の実家をどうするか」「相続したけれど誰も住んでいない実家をどう維持・処分すべきか」といった、いわゆる「実家じまい」について話し合われたご家庭も多かったようです。
そこで今回は、ラジオでお話しした「実家じまいを考える上で押さえておきたい重要ポイント」を分かりやすくまとめました。
▼ 実際の出演音声(2026年8月28日放送分)
実家じまいで絶対に押さえておきたい「3年」という期間
実家の処分や活用を考えるにあたり、まず頭に入れておきたい重要な数字が「3年」です。
① 相続登記の義務化(3年以内)
2024年4月より、相続登記が法律で義務化されています。
実家を相続した場合、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内」に名義変更(相続登記)を行わなければなりません。
正当な理由なく放置すると、過料の対象となる可能性があります。
② 売却時の税制優遇(相続空き家の3,000万円特別控除など)
相続した実家を売却する場合、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円が控除される特例措置などがありますが、これらにも「相続発生から3年目の年末まで」といった明確な期限が設けられています。
「まだ先でいいか」と放置してしまうと、手続きが複雑化したり、使えるはずだった税制上の優遇措置が使えなくなったりするため、早めの行動が大切です。
実家じまいを先送り・放置する3大リスク
「とりあえずそのままにしておこう」と放置された空き家は、想像以上の負担やトラブルを引き起こします。
- 特定空き家・管理不全空き家への指定による増税
適切な管理がされず放置されると、行政から「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定され、住宅用地の固定資産税軽減特例(最大6分の1)が解除され、税負担が一気に跳ね上がるリスクがあります。
- 建物の劣化・近隣トラブル
雑草や樹木の越境、屋根瓦や外壁の崩落、害虫・害獣の発生など、近隣住民の方に迷惑や危険を及ぼす恐れがあります。
- 権利関係の複雑化
名義人(親など)が認知症になったり、相続人が亡くなって次の世代に引き継がれたりすると、売却や処分に同意を得る関係者が増え、身動きが取れなくなってしまいます。
「実家じまい」を進めるための基本ステップ
実家の処分・整理をスムーズに進めるためには、以下の手順で進めるのがおすすめです。
- 家族間での意思確認・方向性の共有
「残して活用するのか」「売却するのか」「解体して更地にするのか」、親が元気なうちに家族で意向を共有しておくことがトラブル防止の第一歩です。
- 権利関係・名義の確認
土地・建物だけでなく、以前の放送でも取り上げた「私道の共有持分の登記漏れ」などがないか、法務局の登記情報をしっかり確認します。
- 家財・荷物の片付け
室内に荷物が残ったままだと、査定や解体・売却の検討が進みにくくなります。
まずは不要なものの仕分けから少しずつ始めましょう。
- 専門家(不動産コンサルティングマスター、宅建マイスター)への早期相談
立地や建物の状態、地域の需要に合わせた最適な売却・活用プランを地域の不動産会社やプロ(不動産コンサルティングマスタ、宅建マイスター)と一緒に検討します。
まとめ:実家のお悩みは抱え込まず、早めにご相談ください
実家の処分や活用は、「売る」「貸す」「片付ける」といった実務だけでなく、ご家族の思い出や感情も絡むデリケートな問題です。
株式会社杉野伸不動産事務所では、単に物件を売買するだけでなく、相続登記の準備や荷物の整理、権利関係の調査まで、不動産コンサルティングマスター・宅建マイスターとして親身に寄り添いサポートいたします。
「何から手をつけていいか分からない」という段階でも全く問題ありません。
お気軽にご相談ください。
【マンションウォッチ】在庫一掃の7月!30件退出で在庫減も、滞留日数「327日」と価格ギャップ「279万円」が示す市場の歪み
本格的な夏を迎えた2026年7月度、福山市の中古マンション市場は大きな節目を迎えました。
春先から続いていた「在庫の山積み」と「市場の目詰まり」に対し、月間30件もの掲載終了・成約が確認され、在庫件数は前月の167件から152件へと大幅に減少(前月比-15件)したのです。
まさに「滞留在庫の一掃処分」が進んだ1ヶ月となりましたが、データを詳細に紐解くと、単純に「市況が回復した」とは言えない複雑な現実が浮き彫りになってきました。
今回は、7月度に動いた物件の特徴と、市場に生じている「数字のねじれ」の正体を分かりやすく解説します。

1.【全体サマリー】2026年7月の主要データ
まずは、当事務所で毎月集計・分析を行っている主要指標の推移をご覧ください。
- 平均在庫日数:327日📈 (前月比 +18日)過去最長更新
- 70㎡換算 平均価格:2,138万円📈 (前月比 +0.83%)
- 70㎡換算 中央価格:1,859万円📉 (前月比 -2.63%)2024年9月度以来の水準
- 流通物件件数(在庫):152件📉 (前月比 -15件)
- 掲載終了件数(成約等):30件📈 (前月比 +6件)
- 新規売出件数:14件📉 (前月比 -6件)
- 価格改定件数:14件📉 (前月比 -5件)
- 平均 vs 中央 乖離幅:279万円📈 (前月比 +68万円)格差拡大
4月に記録した過去最多在庫(174件)から始まった調整局面は、6月の大幅な値下げラッシュ(値下げ総額3,275万円)を経て、7月に「30件の成約・掲載終了」という形で大きく結実しました。


2. 7月に「動いた物件(30件)」の正体とは?
市場から退出した30件の内訳を詳細に分析すると、大きく4つの傾向に分かれます。
① 1年〜2年超の「長期滞留物件」の損切り・最終決着
販売開始から400日〜700日以上が経過していた長期滞留物件において、大幅な価格調整や売却条件の見直しによる成約、または売却取り下げの動きが相次ぎました。
- 駅前エリアの築浅高額タワー物件(販売開始から2年超)の成約
- 北部・東部エリアの築古リフォーム済み物件(販売期間500〜700日超)の成約・掲載終了
- 賃貸中オーナーチェンジ物件(販売期間600日超)の掲載終了
② 実需ボリュームゾーン(1,500万円〜2,500万円)の消化
ファミリー層が現実的に住宅ローンを組みやすい価格帯で、実勢相場に見合った物件は極めてスムーズに成約に至っています。
- 神辺・北部エリアの人気築浅ファミリー物件(2,000万円台前半)
- 南部・東部エリアの生活利便性に優れた中堅マンション(1,600万〜2,100万円台)
- 中心部近郊で適正水準まで価格改定された物件(成約価格1,600万〜1,700万円台)
③ 1,000万円以下の「低価格・築古物件」の回転
- 昭和〜平成初期築の1,000万円未満物件において、買取再販業者の仕入れや投資用・低予算実需層の成約が活発化しました(300万〜900万円台)。
④ 販売長期化による「売却取り下げ・棚卸し」
- 反響の長期停滞に伴う一般売主様の売却中止や、買取再販業者による販売計画の一時見直しなど、無理な高値売却を取り下げる動きが見られました。
3. なぜ「在庫が減ったのに、在庫日数は過去最長(327日)」なのか?
ここで一つの疑問が生じます。
「30件もの物件が成約・終了して在庫が減ったのに、なぜ平均在庫日数は309日 → 327日へと伸び、過去最長を更新したのか?」
理由は主に2点あります。
- 新規物件の供給減(14件)による「鮮度の低下」 日数の浅い新規物件の流入ペースが落ちたため、市場に残った既存物件(152件)の日数がそのまま1ヶ月分(+30日)上乗せされました。
- 「超長期滞留の重石」が依然として居座っている
- 築40年以上:平均在庫日数 475日(19件)
- 築35〜40年未満:平均在庫日数 405日(25件)
- 築10〜15年未満:平均在庫日数 414日(9件)
駅前タワー物件の一部や築古の割高物件など、販売開始から1年以上(中には3年以上)経過しても動かない「超長期在庫」が依然として市場に残り続けているため、全体の平均値を大きく押し上げています。
4. 価格指標のねじれ:平均価格上昇 vs 中央価格下落
7月度のデータで最も警戒すべきポイントは、「平均価格」と「中央価格」が完全に逆行している点です。
- 70㎡換算 平均価格:2,121万円 → 2,138万円(+0.83% 上昇)
- 70㎡換算 中央価格:1,910万円 → 1,859万円(-2.63% 下落)
- 価格ギャップ:211万円 → 279万円(過去最大級の開き)
実需層が好む1,800万〜2,400万円台の適正価格物件が成約して市場から抜けたことで、中央値(真ん中の価格)は1,859万円へと下がりました。
一方で、成約に至らない6,000万〜8,000万円台の駅前超高額物件が在庫として居座っているため、計算上の平均価格だけが不自然に吊り上げられているのが実態です。
福山市の中古マンション市場の実勢は、「売れる物件が抜けて、高値で動かない物件と安価な築古物件が取り残された結果、相場の二極化と歪みが発生している」というのが客観的な事実です。
5. まとめ:これからの戦略
7月度は、これまでの在庫過多による目詰まりが一歩解消へ向かった反面、「実勢価格(1,800万円台)と高額滞留在庫(平均の歪み)」のギャップが279万円まで広がった月でした。
相場の表面的な数値だけに惑わされず、市場の構造変化を正しく見極めることが重要です。
・売主様へ:実勢の相場感は「1,800万円台(中央値)」
7月に動いた物件が証明しているように、買い手が納得する適正価格にアジャストされた物件から順番に決まっています。
大切な資産を塩漬けにしないためにも、机上の査定額ではなく「直近の成約データ」に基づいた勇気ある価格設定が不可欠です。
・買主様へ:適正価格の優良物件は足が早い
「買い手市場だからじっくり待とう」と考えていると、条件の良い実需向け物件(1,500万〜2,500万円台)は掲載後すぐに成約してしまいます。
一方で、300日以上滞留している物件については、売主様側が価格交渉に柔軟に応じるケースが増えています。
物件価格の妥当性に加え、将来の修繕積立金の値上げリスクなども総合的に精査した上で、賢く交渉を進めましょう。
福山市の中古マンション売却・購入に関する資金計画や具体的な売買戦略は、ぜひ杉野伸不動産事務所までお気軽にご相談ください。
【FMふくやま出演報告】「上昇する住宅ローン金利への備え」宅建マイスターが伝える賢い資金計画
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
先日7月24日、FMふくやま(77.7MHz)の朝の番組「あさまる」内のコーナーにゲスト出演させていただきました。
連日、福山市内でも猛暑が続いておりますが、不動産業界で同じように“熱”を帯びているのが「住宅ローン金利の上昇」に関する話題です。
今回は、金利上昇局面においてどのように住宅ローンと向き合い、後悔のない住まいづくりを進めるべきか、宅建マイスターの視点でお話ししてきた内容をまとめました。
▼ 実際の出演音声(2026年7月24日放送分)
「借りられる額」と「返せる額」は違う(年収負担率の落とし穴)
金利上昇が続く中、最も注意したいのが住宅ローンの資金計画です。
例えば、福山市の平均世帯年収(約479万円)でシミュレーションすると、計算上は毎月約11万円の返済額までローン枠を組むことができてしまいます。
しかし、実際の生活費や今後の金利上昇リスクを考慮すると、上限ギリギリまで借り入れるのは非常に危険です。
- 返済額の目安: 手取り年収の25%以内に抑える計画を推奨しています。
- 福山市の平均世帯年収での理想像: 毎月の返済額を7万円台に抑えることで、将来的に金利が上昇した場合でも返済に行き詰まらない「余白」を残すことができます。
見落としがちな「維持管理・修繕費用」の積み立て
住宅購入後に思わぬ負担となるのが、設備の故障や建物の維持管理費用です。
- 給湯器などの突然の故障: 例えば給湯器の寿命は10年〜15年程度とされており、築10年前後の中古住宅を購入した場合、入居後すぐに交換が必要になるケースもあります。
- 物価高騰の影響: 近年の物価高により、設備機器本体や工事費用自体も高額化しています。
ローン返済だけでなく、将来の修繕費として毎月5,000円〜1万円程度を積み立てていける資金的なゆとりを持つことが、安心して暮らし続けるポイントです。
フルローンリスクと「自己資金(頭金)」の重要性
低金利時代には「頭金ゼロのフルローン」や「控除を活用した上限いっぱいの借入」が主流でした。
しかし、住宅ローン控除率の変動(0.7%への縮小)や金利の上昇が重なる現在、フルローンでのギリギリの計画はアクシデントに弱くなります。
- 自己資金の用意: 物件価格の1割程度でも自己資金(頭金)を用意し、総借入額を減らすのが安全です。
- リスクヘッジ: 共働き(2馬力)での返済計画も、万が一どちらかが働けなくなった場合を想定し、無理のないプランを立てておくことが大切です。
- 贈与の活用: 親御様からの資金援助(非課税枠の活用)なども有効な手段ですが、援助があるからといって借入限度額まで借りてしまわないよう注意が必要です。
宅建マイスターとしてお伝えしたいこと
金利や物件価格の上昇が続く今、不動産購入において重要なのは「勢いではなく、事前のしっかりとした資金計画」です。
良い物件に出会うとどうしても焦りがちですが、事前にライフシミュレーションを行い、ご自身の適正な借入額を知っておくことで、金利変動にも揺らがない安全な住まいづくりが可能になります。
「自分たちの年収だと、いくらまで借りるのが安全?」「変動と固定、どちらを選ぶべき?」など、具体的な資金計画や事前審査のご相談も随時承っております。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
【マンションウォッチ】平均172万円の価格リセット。売買価格を直撃する「修繕積立金値上げ」の壁
2026年6月度(7月1日集計)の福山市内中古マンションの市場動向データがまとまりました。
先月(5月度)の市場分析では、全体の平均在庫日数が過去最長の313日(約10ヶ月半)まで延び、「市場の目詰まり」が深刻化している実態をお伝えしました。
今月は在庫日数が309日とわずかに減少したものの、水面下では売主様の「ある決断」によって市場が大きく動き始めています。
その決断の背景にあるのが、買い手側の心理をダイレクトに支配し始めた「管理コスト(修繕積立金)上昇の壁」です。
データから見るリアルな市場の現在地を解説します。

1.【全体サマリー】2026年6月の主要データ
まずは全体の主要数値から振り返ります。
- 平均在庫日数: 309日📉 (前月比 -4日)
- 70㎡換算平均価格: 2,121万円📉 (前月比 -34万円)
- 70㎡換算中央価格: 1,910万円📉 (前月比 -28万円)
- 流通物件数(在庫): 167件➡️ (前月比 横ばい)
- 掲載終了件数(成約等): 24件📉 (前月比 -2件)
- 価格改定件数: 19件📉 (前月比 -1件)
- 合計値下げ額: 3,275万円📈 (前月比 +1,365万円)
- 値下げ単価: 172万円📈 (前月比 +76万円)
今月最も注目すべきは、価格改定の件数自体は前月とほぼ変わらないにもかかわらず、「値下げ単価」が172万円へと跳ね上がった点です。
これは、売主様が大胆な価格リセットを断行し始めたことを物語っています。
その結果、平均価格(2,121万円)と中央価格(1,910万円)のギャップが縮まりつつあり、市場全体が一般の実需層が手の届く「現実的な価格帯」へと収斂しています。


2. 全国で進む「管理コスト増大」の背景
なぜ、これほどまでに大胆な価格リセットが必要とされているのでしょうか。
そのヒントは、昨年12月に当事務所へご相談いただいた案件にあります。
この物件は間もなく築10年を迎えるタイミングで、2027年から修繕積立金が月額2万円近くまで一気に上昇することが決定していました。
実はこうした修繕積立金の大幅な値上げは、福山に限らずいま全国のマンションで深刻化しています。
その背景にはいくつかの大きな要因があります。
- 建築資材の高騰と人件費の上昇:近年の歴史的な物価高に加え、建設業界の深刻な人手不足により、大規模修繕工事にかかるコストそのものが数年前とは比較にならないほど膨れ上がっています。
- デフレ期における「甘い見通し」のツケ:多くのマンション(特に10〜20年前に建築されたもの)は、物価や人件費が上がらないデフレ環境を前提とし、新築時の販売をスムーズにするために初期の積立金を極端に安く設定していました。この見通しの甘さが、今になって急激な値上げとなってツケを回しているのです。
- 金利上昇に伴う資金調達の負担増:最近の金利上昇も、将来的な修繕計画や組合の資金運用、さらには買い手側の住宅ローン返済負担感に大きな影を落としています。
実需層の多くは、物件価格そのものだけでなく、「住宅ローンの毎月返済額 + 管理費 + 修繕積立金 = 月々の支払総額」で予算を組み立てます。
仮に修繕積立金が1万円〜1.5万円値上がりすると、買い手側にとっては「毎月のローン返済額をそれだけ減らさなければならない」ことと同義になります。
これは、ローンの借入可能額(=物件の購入価格)も引き下げなければならないという心理的ブレーキを生むのです。
いくら立地が良く、中身が綺麗であっても、「維持費が高い」という事実は売買価格に直接反映され、売主様側がその分を物件価格から差し引かない限り、今の買い手市場では選ばれなくなっています。
6月度の「値下げ単価172万円」という数字は、まさに売主様がこの維持費の増大という現実に直面し、歩み寄りを迫られた結果と言えます。
3. 年代別の二極化:維持費高騰リスクを警戒する実需層
年代別の詳細データを見ると、この管理コストの影響が市場の動きに関連していることが示唆されています。
- 築30年〜35年未満(最多在庫:34件) / 平均在庫日数:228.6日
在庫件数が最も多いこの築古実需ゾーンですが、平均価格は1,400万円台まで下がっています。2回目・3回目の大規模修繕や積立金高騰リスクを織り込み、売主様が早期に価格を下げて実需層の予算に合わせているため、長すぎない期間で正常に成約へと至っています。 - 築10年〜20年未満(目詰まりゾーン)/ 平均在庫日数:317.8日〜365.2日
ちょうど先ほどの相談事例のように、過去の段階増額プランによって修繕積立金が跳ね上がる(あるいはそれを間近に控えている)時期の物件たちです。平均価格は2,600万〜2,800万円台と高額を維持していますが、高額な物件価格に高い維持費がダブルで乗るため、買い手側の心理がフリーズし、平均で1年近く目詰まりを起こしています。
4. まとめ:これからの戦略
6月度のデータは、単に「値下げ額が増えた」という話ではなく、「買い手のリアルな毎月の維持費負担」を無視した売り出し価格は通用しなくなっているという市場の構造変化を示しています。
- 売主様へ:
ご自身のマンションの修繕積立金が現在いくらで、今後どう変わる計画なのかを今一度ご確認ください。1年以内に値上げが控えている場合、買い手はそのリスクを確実に計算しています。ランニングコストまで含めた「適正価格への早期リセット」が不可欠です。 - 買主様へ:
物件価格が安く見えても、購入直後に修繕積立金が急騰する計画がないか、管理組合の協議事項を記録した議事録や、長期修繕計画案を必ずチェックしてください。「目先の物件価格」と「将来の管理コスト」のバランスを慎重に見極める目が求められます。
データに基づいた具体的な売却・購入戦略や、ランニングコストを考慮した資金計画については、ぜひ杉野までお気軽にご相談ください。
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