2026年記事一覧
【マンションウォッチ】成約移動平均が示す「価格の底打ち」。9月以降の秋商戦に向けた戦略
朝夕の風に少しずつ秋の気配が感じられる季節となってまいりました。
さて、毎月恒例の「福山マンションウォッチ」、今回は2026年8月度(9月1日集計)の最新市場データをお届けします。
春先から続いた在庫過多と激しい価格調整を経て、前月(7月)には月間30件もの掲載終了・成約による「滞留在庫の一掃」が行われました。
8月度は、新たに導入した長短期の「成約価格移動平均(12ヶ月/3ヶ月)」の分析から、約10ヶ月に及んだ下落トレンドについに「底打ち」のサインがはっきりと確認できました。
この底打ちの兆候を受けて、本格的な秋の需要期(9月〜11月)に向けて市場がどのように変化していくでしょうか。
詳細なデータをもとに徹底解説します。

1.【全体サマリー】2026年8月度の主要データ
まずは当事務所で毎月定点観測している全体推移データをご覧ください。
- 平均在庫日数:308日📉(前月比-19日)
- 70㎡換算 平均価格:2,178万円📈(前月比+1.84%)
- 70㎡換算 中央価格:1,834万円📉(前月比-1.36%)
- 流通物件件数(在庫):157件📈(前月比+5件)
- 掲載終了件数(成約等):18件📉(前月比-12件)
- 新規売出件数:22件📈(前月比+8件)
- 平均 vs 中央 乖離幅:344万円📈(前月比+65万円)過去最大級
- 70㎡換算 単月成約平均:1,996万円📈(前月比+251万円)
- 成約12ヶ月移動平均:1,881万円 ➡(前月比±0万円)
- 成約3ヶ月移動平均:1,876万円📈(前月比+54万円)
- 価格改定件数:10件📉(前月比-4件)
- 値下げ単価:98万円📉(前月比-41万円)


2. 成約移動平均の分析:見えてきた「成約価格の底打ち」
8月度から新たに取り入れた重要指標が、「成約価格の12ヶ月/3ヶ月移動平均」です。
単月の成約平均(70㎡換算)は、その月に高額物件が決まったか、割安な築古物件が多かったかによって数百万円単位で乱高下します(8月は高額物件の成約で1,996万円へ急上昇しました)。
この月ごとのブレを平滑化し、市場の実勢トレンドを浮き彫りにするのが移動平均線です。
【成約トレンドの推移(70㎡換算)】
- 2025年10月:2,126万円(ピーク)
│
▼(約10ヶ月にわたる長期下落局面)
- 2026年 5月: 3ヶ月移動平均: 1,782万円(短期の底打ち)
- 2026年 6月: 3ヶ月移動平均:1,800万円 ── 12ヶ月 1,891万円
- 2026年 7月: 3ヶ月移動平均:1,822万円 ── 12ヶ月 1,881万円
- 2026年 8月: 3ヶ月移動平均:1,876万円 ── 12ヶ月 1,881万円(横ばい・底打ち)
① 長期トレンド(12ヶ月移動平均):下げ止まりの「底打ち」
2025年10月の2,126万円をピークに下がり続けていた12ヶ月移動平均は、7月の1,881万円から8月も「1,881万円(前月比±0万円)」と完全に横ばいになりました。10ヶ月近く続いた下落トレンドがついにストップし、底を打った形です。
② 短期トレンド(3ヶ月移動平均):5月を底に3ヶ月連続の反発
一方、直近3ヶ月の動きを反映する短期ラインは、2026年5月の1,782万円を底に、6月(1,800万円)→ 7月(1,822万円)→ 8月(1,876万円)と反発を見せています。
長期ライン(1,881万円)と短期ライン(1,876万円)の差はわずか5万円にまで縮まり、まさに相場の反転シグナルを形成しつつあります。
③ 実勢価格帯の収斂(1,830万〜1,880万円)
現在、「売出中央価格(1,834万円)」と「成約3ヶ月移動平均(1,876万円)」、「成約12ヶ月移動平均(1,881万円)」の3つが、1,850万円前後の非常に狭いレンジに収斂しています。
これは、福山市における買い手と売り手の合意形成ラインが「1,850万円前後」にしっかりと固まり、相場の土台が形成されたことを証明しています。

3. 在庫日数は308日へ改善も、広がる「価格ギャップ344万円」
8月度のもう一つの大きな変化は、過去最長を記録していた平均在庫日数(327日)が、308日(前月比-19日)へと反転短縮した点です。
■ なぜ滞留日数が短縮したのか?
その立役者は、長期間動かなかった物件の売主様による「大幅な歩み寄り」です。
- 販売期間542日の長期滞留物件(西部エリア)が、600万円の値下げによって成約。
- 販売期間379日の築浅物件(中心部)が、3,500万円で決着。
1年以上滞留していた物件が成約したことに加え、これまで目詰まりが酷かった「築10〜15年未満」の在庫日数が414日→295日(-28.8%)へ、「築15〜20年未満」が335日→207日(-38.3%)へと大きく改善しました。
■ 警戒すべき「344万円の価格ギャップ」
ただし、手放しで市場回復と喜ぶことはできません。
8月度は、70㎡換算の「平均価格(2,178万円)」が上昇したのに対し、「中央価格(1,834万円)」は下落し、その差(ギャップ)は過去最大級の344万円にまで広がりました。
中央価格の下落は、実際の買い手が1,800万円前後の現実的な実需物件しか買っていない現実を示しています。
それにもかかわらず平均価格が上がっているのは、相場全体が上がったのではなく、「築5年未満(平均価格5,063万円/在庫22件)」といった超高額帯が売れ残って平均を吊り上げている構造的な歪みによるものです。
4. 価格改定の沈静化:嵐のあとの様子見ムード
6月(値下げ単価172万円)、7月(値下げ単価139万円)と続いた激しい損切りラッシュですが、8月度は価格改定件数が10件(改定率6.4%)、値下げ単価は98万円と大幅に沈静化しました。
お盆休みの時期特有の様子見姿勢に加え、「これ以上の値下げは避けたい」という売主様の心理的抵抗線が現れています。
春から夏にかけての価格競争が一服し、市場はいったん呼吸を整えた状態です。
5. まとめ:これから秋の市場に臨む戦略
2026年8月度は、これまでの長い下落トンネルを抜け、「実勢価格の底打ちと反発の兆候」が確認された月となりました。
- 売主様へ:
市場のリアルな重心は「成約移動平均1,881万円/売出中央値1,834万円」にあります。秋の需要期はライバル物件も増えます。選ばれるためには、底値ライン(1,850万〜1,880万円)を意識した現実的な価格設定と、物件の強みを際立たせる露出戦略が必須です。
- 買主様へ:
成約データが示す通り、実勢相場の底値圏が固まりつつあります。条件の良い適正価格物件は足が早くなる傾向があります。一方で、平均在庫日数が300日を超えている長期滞留物件に対しては、データに基づいた合理的な価格交渉が通りやすい状況が続いています。秋の新規物件と既存の滞留物件をじっくり見比べながら、賢い選択をしていきましょう。
秋の需要期に入り、市況が「反発・活性化」へ向かうのか、それとも「高額在庫の滞留による再度の膠着」へ向かうのか。
9月以降の動きを今後もどこよりも早くウォッチし、正確なデータとともにお届けしてまいります。
福山市内の中古マンションのご売却・ご購入に関するご相談は、ぜひ杉野伸不動産事務所までお気軽にお寄せください。
【FMふくやま出演報告】相続した実家の処分、どうする?今からできる実家じまいのポイント
8月28日、FMふくやま(77.7MHz)の朝の番組「あさまる」内のコーナーにゲスト出演させていただきました。
例年、お盆時期は比較的落ち着いていることが多いのですが、今年は例年になくお盆前・お盆期間中・そしてお盆明けに至るまで、相続されたご実家や空き家の今後に関するご相談が非常に多く寄せられました。
親族が集まるお盆の機会に「親が高齢になって施設に入所した後の実家をどうするか」「相続したけれど誰も住んでいない実家をどう維持・処分すべきか」といった、いわゆる「実家じまい」について話し合われたご家庭も多かったようです。
そこで今回は、ラジオでお話しした「実家じまいを考える上で押さえておきたい重要ポイント」を分かりやすくまとめました。
▼ 実際の出演音声(2026年8月28日放送分)
実家じまいで絶対に押さえておきたい「3年」という期間
実家の処分や活用を考えるにあたり、まず頭に入れておきたい重要な数字が「3年」です。
① 相続登記の義務化(3年以内)
2024年4月より、相続登記が法律で義務化されています。
実家を相続した場合、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内」に名義変更(相続登記)を行わなければなりません。
正当な理由なく放置すると、過料の対象となる可能性があります。
② 売却時の税制優遇(相続空き家の3,000万円特別控除など)
相続した実家を売却する場合、要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円が控除される特例措置などがありますが、これらにも「相続発生から3年目の年末まで」といった明確な期限が設けられています。
「まだ先でいいか」と放置してしまうと、手続きが複雑化したり、使えるはずだった税制上の優遇措置が使えなくなったりするため、早めの行動が大切です。
実家じまいを先送り・放置する3大リスク
「とりあえずそのままにしておこう」と放置された空き家は、想像以上の負担やトラブルを引き起こします。
- 特定空き家・管理不全空き家への指定による増税
適切な管理がされず放置されると、行政から「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定され、住宅用地の固定資産税軽減特例(最大6分の1)が解除され、税負担が一気に跳ね上がるリスクがあります。
- 建物の劣化・近隣トラブル
雑草や樹木の越境、屋根瓦や外壁の崩落、害虫・害獣の発生など、近隣住民の方に迷惑や危険を及ぼす恐れがあります。
- 権利関係の複雑化
名義人(親など)が認知症になったり、相続人が亡くなって次の世代に引き継がれたりすると、売却や処分に同意を得る関係者が増え、身動きが取れなくなってしまいます。
「実家じまい」を進めるための基本ステップ
実家の処分・整理をスムーズに進めるためには、以下の手順で進めるのがおすすめです。
- 家族間での意思確認・方向性の共有
「残して活用するのか」「売却するのか」「解体して更地にするのか」、親が元気なうちに家族で意向を共有しておくことがトラブル防止の第一歩です。
- 権利関係・名義の確認
土地・建物だけでなく、以前の放送でも取り上げた「私道の共有持分の登記漏れ」などがないか、法務局の登記情報をしっかり確認します。
- 家財・荷物の片付け
室内に荷物が残ったままだと、査定や解体・売却の検討が進みにくくなります。
まずは不要なものの仕分けから少しずつ始めましょう。
- 専門家(不動産コンサルティングマスター、宅建マイスター)への早期相談
立地や建物の状態、地域の需要に合わせた最適な売却・活用プランを地域の不動産会社やプロ(不動産コンサルティングマスタ、宅建マイスター)と一緒に検討します。
まとめ:実家のお悩みは抱え込まず、早めにご相談ください
実家の処分や活用は、「売る」「貸す」「片付ける」といった実務だけでなく、ご家族の思い出や感情も絡むデリケートな問題です。
株式会社杉野伸不動産事務所では、単に物件を売買するだけでなく、相続登記の準備や荷物の整理、権利関係の調査まで、不動産コンサルティングマスター・宅建マイスターとして親身に寄り添いサポートいたします。
「何から手をつけていいか分からない」という段階でも全く問題ありません。
お気軽にご相談ください。
【マンションウォッチ】在庫一掃の7月!30件退出で在庫減も、滞留日数「327日」と価格ギャップ「279万円」が示す市場の歪み
本格的な夏を迎えた2026年7月度、福山市の中古マンション市場は大きな節目を迎えました。
春先から続いていた「在庫の山積み」と「市場の目詰まり」に対し、月間30件もの掲載終了・成約が確認され、在庫件数は前月の167件から152件へと大幅に減少(前月比-15件)したのです。
まさに「滞留在庫の一掃処分」が進んだ1ヶ月となりましたが、データを詳細に紐解くと、単純に「市況が回復した」とは言えない複雑な現実が浮き彫りになってきました。
今回は、7月度に動いた物件の特徴と、市場に生じている「数字のねじれ」の正体を分かりやすく解説します。

1.【全体サマリー】2026年7月の主要データ
まずは、当事務所で毎月集計・分析を行っている主要指標の推移をご覧ください。
- 平均在庫日数:327日📈 (前月比 +18日)過去最長更新
- 70㎡換算 平均価格:2,138万円📈 (前月比 +0.83%)
- 70㎡換算 中央価格:1,859万円📉 (前月比 -2.63%)2024年9月度以来の水準
- 流通物件件数(在庫):152件📉 (前月比 -15件)
- 掲載終了件数(成約等):30件📈 (前月比 +6件)
- 新規売出件数:14件📉 (前月比 -6件)
- 価格改定件数:14件📉 (前月比 -5件)
- 平均 vs 中央 乖離幅:279万円📈 (前月比 +68万円)格差拡大
4月に記録した過去最多在庫(174件)から始まった調整局面は、6月の大幅な値下げラッシュ(値下げ総額3,275万円)を経て、7月に「30件の成約・掲載終了」という形で大きく結実しました。


2. 7月に「動いた物件(30件)」の正体とは?
市場から退出した30件の内訳を詳細に分析すると、大きく4つの傾向に分かれます。
① 1年〜2年超の「長期滞留物件」の損切り・最終決着
販売開始から400日〜700日以上が経過していた長期滞留物件において、大幅な価格調整や売却条件の見直しによる成約、または売却取り下げの動きが相次ぎました。
- 駅前エリアの築浅高額タワー物件(販売開始から2年超)の成約
- 北部・東部エリアの築古リフォーム済み物件(販売期間500〜700日超)の成約・掲載終了
- 賃貸中オーナーチェンジ物件(販売期間600日超)の掲載終了
② 実需ボリュームゾーン(1,500万円〜2,500万円)の消化
ファミリー層が現実的に住宅ローンを組みやすい価格帯で、実勢相場に見合った物件は極めてスムーズに成約に至っています。
- 神辺・北部エリアの人気築浅ファミリー物件(2,000万円台前半)
- 南部・東部エリアの生活利便性に優れた中堅マンション(1,600万〜2,100万円台)
- 中心部近郊で適正水準まで価格改定された物件(成約価格1,600万〜1,700万円台)
③ 1,000万円以下の「低価格・築古物件」の回転
- 昭和〜平成初期築の1,000万円未満物件において、買取再販業者の仕入れや投資用・低予算実需層の成約が活発化しました(300万〜900万円台)。
④ 販売長期化による「売却取り下げ・棚卸し」
- 反響の長期停滞に伴う一般売主様の売却中止や、買取再販業者による販売計画の一時見直しなど、無理な高値売却を取り下げる動きが見られました。
3. なぜ「在庫が減ったのに、在庫日数は過去最長(327日)」なのか?
ここで一つの疑問が生じます。
「30件もの物件が成約・終了して在庫が減ったのに、なぜ平均在庫日数は309日 → 327日へと伸び、過去最長を更新したのか?」
理由は主に2点あります。
- 新規物件の供給減(14件)による「鮮度の低下」 日数の浅い新規物件の流入ペースが落ちたため、市場に残った既存物件(152件)の日数がそのまま1ヶ月分(+30日)上乗せされました。
- 「超長期滞留の重石」が依然として居座っている
- 築40年以上:平均在庫日数 475日(19件)
- 築35〜40年未満:平均在庫日数 405日(25件)
- 築10〜15年未満:平均在庫日数 414日(9件)
駅前タワー物件の一部や築古の割高物件など、販売開始から1年以上(中には3年以上)経過しても動かない「超長期在庫」が依然として市場に残り続けているため、全体の平均値を大きく押し上げています。
4. 価格指標のねじれ:平均価格上昇 vs 中央価格下落
7月度のデータで最も警戒すべきポイントは、「平均価格」と「中央価格」が完全に逆行している点です。
- 70㎡換算 平均価格:2,121万円 → 2,138万円(+0.83% 上昇)
- 70㎡換算 中央価格:1,910万円 → 1,859万円(-2.63% 下落)
- 価格ギャップ:211万円 → 279万円(過去最大級の開き)
実需層が好む1,800万〜2,400万円台の適正価格物件が成約して市場から抜けたことで、中央値(真ん中の価格)は1,859万円へと下がりました。
一方で、成約に至らない6,000万〜8,000万円台の駅前超高額物件が在庫として居座っているため、計算上の平均価格だけが不自然に吊り上げられているのが実態です。
福山市の中古マンション市場の実勢は、「売れる物件が抜けて、高値で動かない物件と安価な築古物件が取り残された結果、相場の二極化と歪みが発生している」というのが客観的な事実です。
5. まとめ:これからの戦略
7月度は、これまでの在庫過多による目詰まりが一歩解消へ向かった反面、「実勢価格(1,800万円台)と高額滞留在庫(平均の歪み)」のギャップが279万円まで広がった月でした。
相場の表面的な数値だけに惑わされず、市場の構造変化を正しく見極めることが重要です。
・売主様へ:実勢の相場感は「1,800万円台(中央値)」
7月に動いた物件が証明しているように、買い手が納得する適正価格にアジャストされた物件から順番に決まっています。
大切な資産を塩漬けにしないためにも、机上の査定額ではなく「直近の成約データ」に基づいた勇気ある価格設定が不可欠です。
・買主様へ:適正価格の優良物件は足が早い
「買い手市場だからじっくり待とう」と考えていると、条件の良い実需向け物件(1,500万〜2,500万円台)は掲載後すぐに成約してしまいます。
一方で、300日以上滞留している物件については、売主様側が価格交渉に柔軟に応じるケースが増えています。
物件価格の妥当性に加え、将来の修繕積立金の値上げリスクなども総合的に精査した上で、賢く交渉を進めましょう。
福山市の中古マンション売却・購入に関する資金計画や具体的な売買戦略は、ぜひ杉野伸不動産事務所までお気軽にご相談ください。
【FMふくやま出演報告】「上昇する住宅ローン金利への備え」宅建マイスターが伝える賢い資金計画
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
先日7月24日、FMふくやま(77.7MHz)の朝の番組「あさまる」内のコーナーにゲスト出演させていただきました。
連日、福山市内でも猛暑が続いておりますが、不動産業界で同じように“熱”を帯びているのが「住宅ローン金利の上昇」に関する話題です。
今回は、金利上昇局面においてどのように住宅ローンと向き合い、後悔のない住まいづくりを進めるべきか、宅建マイスターの視点でお話ししてきた内容をまとめました。
▼ 実際の出演音声(2026年7月24日放送分)
「借りられる額」と「返せる額」は違う(年収負担率の落とし穴)
金利上昇が続く中、最も注意したいのが住宅ローンの資金計画です。
例えば、福山市の平均世帯年収(約479万円)でシミュレーションすると、計算上は毎月約11万円の返済額までローン枠を組むことができてしまいます。
しかし、実際の生活費や今後の金利上昇リスクを考慮すると、上限ギリギリまで借り入れるのは非常に危険です。
- 返済額の目安: 手取り年収の25%以内に抑える計画を推奨しています。
- 福山市の平均世帯年収での理想像: 毎月の返済額を7万円台に抑えることで、将来的に金利が上昇した場合でも返済に行き詰まらない「余白」を残すことができます。
見落としがちな「維持管理・修繕費用」の積み立て
住宅購入後に思わぬ負担となるのが、設備の故障や建物の維持管理費用です。
- 給湯器などの突然の故障: 例えば給湯器の寿命は10年〜15年程度とされており、築10年前後の中古住宅を購入した場合、入居後すぐに交換が必要になるケースもあります。
- 物価高騰の影響: 近年の物価高により、設備機器本体や工事費用自体も高額化しています。
ローン返済だけでなく、将来の修繕費として毎月5,000円〜1万円程度を積み立てていける資金的なゆとりを持つことが、安心して暮らし続けるポイントです。
フルローンリスクと「自己資金(頭金)」の重要性
低金利時代には「頭金ゼロのフルローン」や「控除を活用した上限いっぱいの借入」が主流でした。
しかし、住宅ローン控除率の変動(0.7%への縮小)や金利の上昇が重なる現在、フルローンでのギリギリの計画はアクシデントに弱くなります。
- 自己資金の用意: 物件価格の1割程度でも自己資金(頭金)を用意し、総借入額を減らすのが安全です。
- リスクヘッジ: 共働き(2馬力)での返済計画も、万が一どちらかが働けなくなった場合を想定し、無理のないプランを立てておくことが大切です。
- 贈与の活用: 親御様からの資金援助(非課税枠の活用)なども有効な手段ですが、援助があるからといって借入限度額まで借りてしまわないよう注意が必要です。
宅建マイスターとしてお伝えしたいこと
金利や物件価格の上昇が続く今、不動産購入において重要なのは「勢いではなく、事前のしっかりとした資金計画」です。
良い物件に出会うとどうしても焦りがちですが、事前にライフシミュレーションを行い、ご自身の適正な借入額を知っておくことで、金利変動にも揺らがない安全な住まいづくりが可能になります。
「自分たちの年収だと、いくらまで借りるのが安全?」「変動と固定、どちらを選ぶべき?」など、具体的な資金計画や事前審査のご相談も随時承っております。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
【マンションウォッチ】平均172万円の価格リセット。売買価格を直撃する「修繕積立金値上げ」の壁
2026年6月度(7月1日集計)の福山市内中古マンションの市場動向データがまとまりました。
先月(5月度)の市場分析では、全体の平均在庫日数が過去最長の313日(約10ヶ月半)まで延び、「市場の目詰まり」が深刻化している実態をお伝えしました。
今月は在庫日数が309日とわずかに減少したものの、水面下では売主様の「ある決断」によって市場が大きく動き始めています。
その決断の背景にあるのが、買い手側の心理をダイレクトに支配し始めた「管理コスト(修繕積立金)上昇の壁」です。
データから見るリアルな市場の現在地を解説します。

1.【全体サマリー】2026年6月の主要データ
まずは全体の主要数値から振り返ります。
- 平均在庫日数: 309日📉 (前月比 -4日)
- 70㎡換算平均価格: 2,121万円📉 (前月比 -34万円)
- 70㎡換算中央価格: 1,910万円📉 (前月比 -28万円)
- 流通物件数(在庫): 167件➡️ (前月比 横ばい)
- 掲載終了件数(成約等): 24件📉 (前月比 -2件)
- 価格改定件数: 19件📉 (前月比 -1件)
- 合計値下げ額: 3,275万円📈 (前月比 +1,365万円)
- 値下げ単価: 172万円📈 (前月比 +76万円)
今月最も注目すべきは、価格改定の件数自体は前月とほぼ変わらないにもかかわらず、「値下げ単価」が172万円へと跳ね上がった点です。
これは、売主様が大胆な価格リセットを断行し始めたことを物語っています。
その結果、平均価格(2,121万円)と中央価格(1,910万円)のギャップが縮まりつつあり、市場全体が一般の実需層が手の届く「現実的な価格帯」へと収斂しています。


2. 全国で進む「管理コスト増大」の背景
なぜ、これほどまでに大胆な価格リセットが必要とされているのでしょうか。
そのヒントは、昨年12月に当事務所へご相談いただいた案件にあります。
この物件は間もなく築10年を迎えるタイミングで、2027年から修繕積立金が月額2万円近くまで一気に上昇することが決定していました。
実はこうした修繕積立金の大幅な値上げは、福山に限らずいま全国のマンションで深刻化しています。
その背景にはいくつかの大きな要因があります。
- 建築資材の高騰と人件費の上昇:近年の歴史的な物価高に加え、建設業界の深刻な人手不足により、大規模修繕工事にかかるコストそのものが数年前とは比較にならないほど膨れ上がっています。
- デフレ期における「甘い見通し」のツケ:多くのマンション(特に10〜20年前に建築されたもの)は、物価や人件費が上がらないデフレ環境を前提とし、新築時の販売をスムーズにするために初期の積立金を極端に安く設定していました。この見通しの甘さが、今になって急激な値上げとなってツケを回しているのです。
- 金利上昇に伴う資金調達の負担増:最近の金利上昇も、将来的な修繕計画や組合の資金運用、さらには買い手側の住宅ローン返済負担感に大きな影を落としています。
実需層の多くは、物件価格そのものだけでなく、「住宅ローンの毎月返済額 + 管理費 + 修繕積立金 = 月々の支払総額」で予算を組み立てます。
仮に修繕積立金が1万円〜1.5万円値上がりすると、買い手側にとっては「毎月のローン返済額をそれだけ減らさなければならない」ことと同義になります。
これは、ローンの借入可能額(=物件の購入価格)も引き下げなければならないという心理的ブレーキを生むのです。
いくら立地が良く、中身が綺麗であっても、「維持費が高い」という事実は売買価格に直接反映され、売主様側がその分を物件価格から差し引かない限り、今の買い手市場では選ばれなくなっています。
6月度の「値下げ単価172万円」という数字は、まさに売主様がこの維持費の増大という現実に直面し、歩み寄りを迫られた結果と言えます。
3. 年代別の二極化:維持費高騰リスクを警戒する実需層
年代別の詳細データを見ると、この管理コストの影響が市場の動きに関連していることが示唆されています。
- 築30年〜35年未満(最多在庫:34件) / 平均在庫日数:228.6日
在庫件数が最も多いこの築古実需ゾーンですが、平均価格は1,400万円台まで下がっています。2回目・3回目の大規模修繕や積立金高騰リスクを織り込み、売主様が早期に価格を下げて実需層の予算に合わせているため、長すぎない期間で正常に成約へと至っています。 - 築10年〜20年未満(目詰まりゾーン)/ 平均在庫日数:317.8日〜365.2日
ちょうど先ほどの相談事例のように、過去の段階増額プランによって修繕積立金が跳ね上がる(あるいはそれを間近に控えている)時期の物件たちです。平均価格は2,600万〜2,800万円台と高額を維持していますが、高額な物件価格に高い維持費がダブルで乗るため、買い手側の心理がフリーズし、平均で1年近く目詰まりを起こしています。
4. まとめ:これからの戦略
6月度のデータは、単に「値下げ額が増えた」という話ではなく、「買い手のリアルな毎月の維持費負担」を無視した売り出し価格は通用しなくなっているという市場の構造変化を示しています。
- 売主様へ:
ご自身のマンションの修繕積立金が現在いくらで、今後どう変わる計画なのかを今一度ご確認ください。1年以内に値上げが控えている場合、買い手はそのリスクを確実に計算しています。ランニングコストまで含めた「適正価格への早期リセット」が不可欠です。 - 買主様へ:
物件価格が安く見えても、購入直後に修繕積立金が急騰する計画がないか、管理組合の協議事項を記録した議事録や、長期修繕計画案を必ずチェックしてください。「目先の物件価格」と「将来の管理コスト」のバランスを慎重に見極める目が求められます。
データに基づいた具体的な売却・購入戦略や、ランニングコストを考慮した資金計画については、ぜひ杉野までお気軽にご相談ください。
公認不動産コンサルティングマスター認定のご報告と今後の抱負
この度、2026年6月30日付で、公益財団法人不動産流通推進センターより「公認不動産コンサルティングマスター」に正式に認定されたことをご報告いたします。
不動産コンサルティングマスターとは、宅地建物取引士としての実務経験を5年以上(または3年以上経験し、必要な研修を受けたもの)積み、同財団が主催する技能試験に合格した者が認定される、日本で唯一の不動産コンサルティングに関する認定資格です。

不動産の売買や賃貸といった枠組みにとどまらず、相続、有効活用、その他複雑な権利関係の調整や資産の整理など、多角的な視点から「不動産コンサルティング業務」を担い、お客様の真の利益を叶えるプロフェッショナルとしての活躍が期待されています。
当社では、2024年に上級宅建士の資格である「宅建マイスター」の認定を受け、不動産の隠れたリスクを見抜き、安心安全な取引を実現することに全力を注いでまいりました。
今回認定された「不動産コンサルティングマスター」は、いわば不動産を含めた資産活用の総合プロデューサーという位置づけです。
不動産取引におけるリスクを徹底的に排除する「宅建マイスター」の確かな眼(守り)と、資産の価値を最大限に引き出す「不動産コンサルティングマスター」の柔軟な提案力(攻め)。
この2つの専門性を「車の両輪」として深く噛み合わせることで、不動産の購入、管理・運用、そして売却・承継に至るまで、より高い次元でトータルプロデュースできる体制が整いました。
所有者不明土地、管理不全空き家、農地山林の処分など、現在の不動産を取り巻く課題はますます複雑化し、お客様のニーズも多種多様なものとなっています。
私はこれからも、これら2つのマイスター・マスターの資格に慢心することなく、福山市の地域の皆様が抱えるお困りごとを一つずつ丁寧に解決し、より良い未来を切り開くことができるよう、日々の業務と自己研鑽に努めてまいる所存です。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
【マンションウォッチ】過去最長を記録した滞留日数の真実
こんにちは。
宅建マイスターの杉野です。
2026年5月度(6月1日集計)の福山市内中古マンションの市場動向データがまとまりました。
今月のデータは、一見すると「市場の回復」を思わせる数値が出ていますが、その裏側を詳細に分析すると、「今後への警戒を強めシグナル」が隠されていることが分かりました。
データの表面だけにとらわれない、リアルな市場の現在地を解説します。

1.【全体サマリー】2026年5月の主要データ
まずは全体の主要数値から振り返ります。
- 平均在庫日数:313日📈(前月比 +14日)※過去2年間で最長を更新
- 70㎡換算平均価格:2,155万円➡️(ほぼ横ばい)
- 70㎡換算中央価格:1,938万円➡️(ほぼ横ばい)
- 流通物件数(在庫):167件📉(前月比 -7件)
- 掲載終了件数(成約等):26件📈 (前月比 +13件)
- 新規登録件数:18件📉(前月比 -5件)


先月(4月)は成約が13件まで落ち込み、市場が「消化不良」を起こしていましたが、5月は掲載終了が26件へと倍増。
新規登録が抑えられたこともあり、在庫件数は174件から167件へと減少しました。
これだけを見ると「在庫調整が進み、市場が再び回り始めた」ように見えます。
しかし、注目すべきは全体の平均在庫日数が「313日(約10ヶ月半)」と、過去最長を大きく更新した点です。
物件が減ったのに、なぜ滞留期間は延びているのでしょうか?
2. 在庫減少の「罠」:特定高額ゾーンの集団離脱
この矛盾の答えは、マンション別・年代別の詳細データにありました。
今月起きた「掲載終了26件」の大部分を占めていたのは、実は一般の実需層が動いたものではなく、「駅前のランドマーク的な超高額・築浅ゾーン」における、特定物件の一斉な掲載終了(市場引き揚げ)でした。
長期滞留していた数千万円クラスの新古品・築浅物件が、ポータルサイトから一斉に姿を消したことで、全体の在庫件数は表面的に「7件減少」しました。
これらは一般の買主様が見つかった「成約」というよりも、売り出し側(業者等)が長期滞留に耐えかねて損切り処分したか、販売戦略の見直しで賃貸募集に切り替えたり、掲載を取り下げたりした可能性が高いと考えられます。
つまり、「一部の特殊な高額物件の動きによって、全体の在庫数が引き下げられただけ」というのが、5月の在庫減少の正体です。
3. 唯一動いた「実需ゾーン」
高額な築浅物件が一部抜けたにもかかわらず、全体の在庫日数が313日に延びた理由は、市場の底に「売れない長期滞留物件」が強烈に沈殿し続けているからです。
事実、築35年〜40年未満の平均在庫日数は417日、築40年以上に至っては502日(約1年4ヶ月)を超えており、市場全体の足を引っ張っています。
また、動いていないのは築古だけでなく、4,000万円〜8,000万円クラスの築浅高級ゾーンも、平均334日と完全にフリーズしたままです。
そんな中で、今月唯一「リアルな実需(一般の成約)」として機能していたのが、築30年前後(1,000万円台)のゾーンでした。
このゾーンでは、今月なんと4件に1件(改定率27.3%)という非常に高い割合で売主様が価格改定を断行。
実需層が手の届くラインまで価格を引き下げた物件だけが、正常に成約へと至っています。
4. まとめ:これからの戦略
5月のデータは、「成約件数が戻ったから安心」という楽観論がいかに危険であるかを教えてくれています。
実態は、「値下げを受け入れた実需物件だけが細々と動き、高額ゾーンや一部の築古は、過去最長レベルの目詰まりを起こしている」という二極化です。
■ 売主様へ:
市場の平均滞留期間が10ヶ月半を超えているという現実を直視する必要があります。
「駅前の人気マンションだから」「まだ築浅だから」と高値で様子見を続けている物件すら、1年〜3年近く売れ残るケースが福山市場でも常態化しつつあります。
現在の狭き門をくぐるためには、「今月動いた築30年層」のように、データに基づいた早期の適正価格への見直しと、他社に埋もれない強力な露出戦略への切り替えが不可欠です。
■ 買主様へ:
物件数は167件と高水準を維持しており、歴史的な「買い手市場」であることに変わりはありません。
ただし、一部の高級マンションのように「売り出されてから何百日も経っている物件」の中には、価格と価値が見合っていないものも多く混ざっています。
「売り急いでいる物件」と「放置されて滞留している物件」をデータから見極め、将来も資産価値を維持できる本物の物件を慎重に選ぶ目が求められます。
市場が「消化不良」から「麻痺」へ向かうのか、それとも適正価格へのリセットが進むのか。
福山市の不動産売買に関する不安や、データに基づいた具体的な売却・購入戦略については、ぜひ私、杉野までお気軽にご相談ください。
【データ訂正とお詫び】
過去に公開いたしました市場動向データにおいて、2025年9月度以降の「70㎡換算金額(平均・中央)」の算出計算式に一部誤りがあることが判明いたしました。
これに伴い、本記事内から該当数値を最新の正確なデータへと訂正・更新しております。
【FMふくやま出演報告】相続登記のうっかり忘れに注意!私道(共有持分)の登記漏れを防ぐには?
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
本日、FMふくやま(77.7MHz)の朝の番組「あさまる」にゲスト出演させていただきました。
今回は、最近実際に私どものところへご相談があった「相続登記のうっかり忘れ(特に私道の持分)」をテーマにお話しした内容を、ブログでも詳しくご紹介します。
▼出演時の音声はこちらからお聴きいただけます。
目の前の「私道」が亡くなった親の名義のままに…
先日、ご相続された土地を売却したいというお客様からご相談をいただきました。
さっそく現地や登記の内容を調査したところ、土地の目の前にある「私道」の相続登記が漏れており、お亡くなりになった親御様の名義のまま残ってしまっていることが判明したのです。
実は、ご自身で相続登記の手続きをされた場合、こうした「私道部分の登記漏れ」という"うっかりミス"が時々起こります。
「土地の登記はちゃんと変えたから大丈夫」と思っていても、目の前の私道の登記を忘れてしまうと、いざ売却しようとしたときに大変なデメリットが生じてしまいます。
私道の登記が漏れていることによる主なリスク
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土地の評価額が下がってしまう
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買い手が住宅ローン(融資)を組めなくなる可能性がある(第三者の敷地を通行して土地に入らなければならない状態とみなされるため)
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結果的に、売りたくても売れない土地になってしまう(さらに相続が進むことで、相続登記そのものが困難になるケースも有ります)
今回は売却活動に入る前にこの事実が発覚したため、まずは私道部分の相続登記を完全に済ませ、ご自身が正しい所有者であることを証明してから売りに出すという形で、無事に解決へと進めることができました。
固定資産税の納税通知書には載らない?登記漏れを防ぐ「2つの制度」
なぜ、私道の相続登記をうっかり忘れてしまうのでしょうか?
その大きな理由は、「固定資産税の納税通知書」に載ってこない場合があるからです。
私道や共有地などで土地の評価額が低い場所は、非課税となり、毎年届く納税通知書の課税明細から除外されていることが多々あります。
そのため、ご自身で登記手続きをする際に「ここに自分の土地がある」ということ自体に気づかず、登記漏れが起きてしまうのです。
こうした「うっかり忘れ」を防ぎ、ご自身が所有している不動産を一元的に把握するためには、公的な制度を活用するのがおすすめです。
1. 名寄帳(なよせちょう)の確認
福山市などの各市区町村に申請することで、その所有者が持つ土地・建物を一覧化した「名寄帳」を取得できます。
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注意点:市区町村ごとの管理となるため、福山市で取得できるのは福山市内の不動産のみです。もし尾道市など隣接する別の市にも土地がある場合は、それぞれの役所で申請する必要があります。
2. 所有不動産記録証明制度(2026年2月スタートの新制度)
法務局に対して、特定の人が所有者として記録されている不動産の一覧を証明する書面の交付を請求できる制度です。
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メリット:こちらは「全国版の名寄帳」とも言える制度で、名前や住所から全国の所有不動産を一元的に検索・リスト化することができます。福山市、尾道市、府中市などに不動産が点在していても、一つの窓口でまとめて把握できるため非常に便利です。
まとめ:不動産の相続登記は専門家への相談がお勧めです
不動産を「売りたい」「誰かに貸したい」となった段階で初めて登記漏れに気づくと、手続きに余計な時間や労力、そして精神的な負担がかかってしまいます。
せっかく自力で頑張って登記をしたのに、後から「失敗した…」と後悔するのはもったいないですよね。
大切な資産の出口戦略をスムーズに進めるためにも、まずは「固定資産税の通知書に載っていない不動産」がないかを、新制度なども活用して早い段階で確認し、時には司法書士や不動産会社といった専門家へ相談することをお勧めします。
「自分の持っている土地がどうなっているか分からない」「相続登記について専門家に相談したい」といったお困りごとや、不動産に関するお悩み・売却のご相談がございましたら、いつでもお気軽に株式会社杉野伸不動産事務所までお問い合わせください。
宅地建物取引業協会の定時総会に参加してまいりました
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
昨日、所属している宅地建物取引業協会の令和8年度定時総会へ参加してまいりました。
県内各地から多くの会員が集まり、昨年度の事業報告や今年度の事業計画について、慎重な審議が行われました。
総会の冒頭では、岡本会長より今年度の重点施策として、特に以下の2点に注力していくことが宣言されました。
- リスキリング(学び直し)による専門性の向上
- 地域社会における空き家対策の推進
いずれも、近年の空き家問題や相続問題の深刻化を背景に、安心・安全な不動産取引を円滑に進める上で、非常に重要なテーマとなっています。

今回の総会にあたり、私は「専門性の向上(リスキリング)に関する施策」と、「拠点運営の効率化・活性化に向けた取り組み」の2点について、質問をさせていただく機会をいただきました。
特に実務者のリスキリングに関しては、現在、国土交通省が推進している「不動産コンサルティングの普及・促進」に向け、当協会として「地域ワーキンググループ(地域WG)」への登録や、コンサルティング勉強会の実施などをどのように考えておられるか、という質問を投げかけました。
岡本会長は、(公財)不動産流通推進センターが国土交通省と連携して設置した 「良質な不動産コンサルティングの普及・定着に向けた検討委員会」の委員も務められているため、トップとしてのお考えを直接伺いたいと考えた次第です。
回答としては、「現状の組織体制や運用面を考慮すると、協会主導での即座の登録や組織化は容易ではない」という見解でした。
コンサルティングマスター技能試験が県内でも開催され、重点事業として専門性の向上が掲げられている一方で、登録者がノウハウを共有したりネットワークを構築したりする具体的な一歩としては、少し慎重な姿勢に留まった印象があり、その点は今後の進展に期待したいところです。
とはいえ、このように総会の場で直接発言をし、現場の実務者が直面している課題や声を理事の方々に届けられたことは、非常に貴重な経験となりました。
私たちは日々の実務を通じて、地域のお客様の暮らしを支えています。
今後もより良い不動産流通の普及と発展を目指し、現場での課題解決に努めながら、組織に対しても建設的な提案を続けてまいりたいと思います。
【セミナー参加レポート】「全国不動産コンサルティングフォーラム2026」から見る、空き家対策と不動産コンサルティングの未来
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
2026年5月15日(金)、昨年に続き第2回目となる「全国不動産コンサルティングフォーラム2026」が開催され、当社もオンラインにて参加いたしました。
本フォーラムは、国土交通省が推進する「不動産業による空き家対策推進プログラム」の一環として、公益財団法人不動産流通推進センター(不動産コンサルティング中央協議会)が主催するものです。
全国から集まったコンサルティングの優秀事例の表彰や実践報告、各地域のワーキンググループによる独自の取り組みなどが発表され、非常に実り多い時間となりました。
今回は、フォーラムを通じて感じた「これからの時代の不動産会社に求められる役割」と、お客様に深く関わる「新しい安心の仕組み」について、皆様にご紹介いたします。
1. 地域課題の解決に挑む「地域の不動産会社」の役割
フォーラムの基調講演や事例発表を通じて、何度も繰り返し強調されていたキーワードが、「不動産の専門家(地域の不動産会社)が核となり、地域課題の解決を牽引していく」という視点でした。
現在、全国で増加し続けている「放置空き家」や「所有者不明土地」といった問題は、ますます複雑化・高難度化しています。これらは、一個人や一つの事業主だけで解決できるものではなく、弁護士や税理士、建築士といった各専門家、そして地域社会との「緊密な連携」が欠かせません。
発表された先進事例の中には、行政とタッグを組んで「空き家になる前の対策セミナー」を地域で定期開催している報告もありました。
ちなみに当社におきましても過去、福山市と密に連携し、所在の分からない土地の管理者特定から境界の立ち会い、さらには将来を見据えた活用プランの策定までを一貫して手がけた実績がございます。
こうした実務を通じて、所有者不明土地や空き家問題という地域課題の解決に向け、その一端を担わせていただいた経験は、私共の大きな財産となっております。
地域の不動産会社が行政や他士業と深くつながり、信頼関係を築いていくことこそが、少しずつでも着実に、地域の不動産課題を根本から解決していく確かな一歩になると強く確信しております。
2. 「不透明」から「安心」へ。コンサルティング報酬と契約書の明確化
とりわけ、本フォーラムにおいて私が最も注目したのは、不動産コンサルティング業務における契約書および支援ツールの拡充についてです。
これまでの日本の不動産取引は、「売買や賃貸の仲介(媒介)」が主流でした。
そのため、不動産コンサルティング業務は「仲介業務との境界線」が消費者から見えにくく、「どこまでが無料相談で、どこから報酬が発生するのかが分かりにくい」「なんとなく敷居が高い、不透明だ」と感じられる一因になっていました。
この課題を打開するため、一昨年(令和6年)6月には国土交通省により通達が改正され、仲介手数料とは別に「コンサルティング報酬」を明確に受領できる仕組みが現場に実装され始めています。
さらに先月(2026年4月)には、同推進センターの検討委員会から「中間取りまとめ」が公表されました。
現在、現場で活用できる「標準的な契約書の雛型」や「具体的な報酬算定のガイドライン(目安)」、さらに実務マニュアルの作成・整備が具体的に進められています。
これにより、業務内容や費用がオープンでクリアになり、お客様がより一層安心してコンサルティングサービスを利用できる環境が整いつつあります。
3. 公認不動産コンサルティングマスターとして、お客様の信頼に応える
私自身、現在「公認不動産コンサルティングマスター」の登録作業を進めておりますが、実務において仲介業務とコンサルティング業務の区分や、お客様へのご説明の仕方に悩む場面があったのも事実です。
しかし、今回のように国や業界を挙げて明確な規定やガイドラインの策定が進むことは、私たち実務家にとっても非常に大きな追い風となります。
業務内容と費用を事前に分かりやすく明示し、お客様への「説明責任」をしっかり果たせるようになることは、お客様との強固な信頼関係の構築に直結します。
また、不動産コンサルタントという存在の正しい理解の醸成にもつながっていくと、大きな期待を寄せています。
おわりに
不動産は、大切な資産であると同時に、地域の未来を形作る重要な要素です。
当社も、空き家や空き地の流通・利活用を担う一事業者として、今回の学びを日々の実務にしっかりと還元し、これまで以上に「安全で健全、そしてお客様の未来に寄り添う不動産流通」に努めてまいります。
空き家や相続した土地の処分・活用方法にお悩みの方は、ぜひお気軽に当社までご相談ください。
誠心誠意、サポートさせていただきます。
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