【マンションウォッチ】平均価格上昇の裏で、本当に起きていること
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
9月に入り、朝晩は少しずつ秋の気配を感じるようになりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今月も2025年8月度(9月1日集計)の福山市中古マンション市場の動向をご報告いたします。
8月の市場データは、一見すると「平均価格が上昇しており、好調だ」と捉えてしまいがちですが、他のデータを詳しく見ると、より慎重な読み解きが必要な状況であることがわかります。
今回は、平均価格のデータだけでは見えてこない、市場で本当に起きていることを、データに基づいて丁寧に解説します。
1.【全体サマリー】2025年8月の主要データ
まずは、今月の主要な数値を一覧でご確認ください。
- 70㎡換算平均価格: 2,248万円(前月比 +4.2% 📈)
- 70㎡換算中央価格: 1,947万円(前月比 +1.3% 📈)
- 平均在庫日数: 258日(前月比 +6.7% 📈)
- 流通物件数: 158件(前月比 -2.5% 📉)
- 新規掲載件数: 16件
- 掲載終了件数: 21件
- 価格改定(値下げ)率: 14.6%
- 1件あたりの平均値下げ額: 132万円
2.【分析のポイント】なぜ、平均価格と実感にズレが生まれるのか?
今月のデータで最も注意すべき点は、「値下げ率・値下げ額ともに高い水準なのに、平均価格が+4.2%も上昇した」ことです。
これは、市場の二極化、つまり物件ごとの状況の違いがより大きくなっていることを示しています。
現在の市場には、2つの異なる力が働いていると考えられます。
① 価格調整の動き(値下げ)
市場に存在する物件の14.6%が、1ヶ月の間に平均132万円の価格調整(値下げ)を行っています。
これは、多くの物件が買い手の需要に合わせ、現実的な価格へと調整している動きです。
② 価格を牽引する動き(一部の物件)
一方で、この調整の動きを上回るほどの力で、全体の平均価格は上昇しました。
これは、一部の築浅・好立地といった条件の良い物件が高価格で新規に売りに出され、統計上の「平均価格」を押し上げたものと考えられます。
このように、平均価格は一部の高額物件の動きに影響されやすいという特徴があります。
3.市場の実態を映す「中央価格」と「在庫日数」
では、市場全体の本当の状況はどこで見ればよいのでしょうか。
注目すべきは「中央価格」と「在庫日数」です。
- ほぼ横ばいの「中央価格」
平均価格が+4.2%も上昇したのに対し、価格のちょうど真ん中の数値を示す中央価格の上昇は+1.3%に留まりました。
これは、市場の多くの物件の価格帯は、比較的落ち着いた動きをしていることを示唆しています。
- 長期化する「在庫日数」
条件の良い物件が成約していく一方で、市場には買い手が見つかるのを待っている物件も多く存在します。
8月は、この市場に滞留している物件が全体の平均在庫日数を258日へと押し上げました。
新規の供給が減っても販売期間が延びるのは、買い手が物件を慎重に選んでいることの表れです。
4.まとめ|今後の売却戦略に向けて
8月のデータは、福山市の中古マンション市場が、「一部の条件の良い物件が市場価格を牽引し、その他多くの物件は、買い手の需要に合わせた価格調整が必要となる」という、物件ごとの価値がより選別される局面に入っていることを示しています。
【売主様へ】
「平均価格が上がっているから」という一つのデータだけで、ご自身の物件の売却価格を判断するのは早計かもしれません。
より市場の実態に近い「中央価格」や、売却にかかる期間の目安となる「在庫日数」にも目を向けることが重要です。
ご自身の物件が、豊富な在庫の中で「選ばれる」ための戦略を、専門家と共に冷静に立てることが、売却成功の鍵となります。
【買主様へ】
新規の供給が落ち着いているため、選択肢が急激に増える状況ではありません。
しかし、長期間掲載されている物件の中には、交渉の余地があるものも含まれている可能性があります。
気になる物件は、価格の推移を注視すると良いでしょう。
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福山市の中古マンション市場は、全ての物件が一様に上がる時代から、物件の価値がより慎重に見極められる局面へと移行しつつあります。
この市場環境を乗りこなすためには、正確なデータに基づいた専門家の視点が不可欠です。
ご自身の資産を最大限に活かすためにも、ぜひ一度、宅建マイスターの杉野にご相談ください。
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