福山中古マンションウォッチ(2025年7月)
投稿日:2025.07.06
こんにちは。
宅建マイスターの杉野です。
7月1日、広島国税局から2025年の路線価(1月1日時点)が発表されました。
価格は1平方メートルあたり51万円で、前年から4万円(8.5%)も上昇。
このように、土地の価値を示す「路線価」は力強い動きを見せています。
では、実際の「中古マンション」の売買市場は、この追い風を受けてどのように動いているのでしょうか。
今回は、最新である2025年6月度の市場データと合わせて、福山の不動産の「今」を徹底解説します。
1.【全体サマリー】2025年6月の主要データ
まずは、今月の主要な数値を一覧でご確認ください。
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70㎡換算 平均価格: 2,211万円(前月比 -2.2% 📉)
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70㎡換算 中央価格: 1,933万円(前月比 +0.3% ↔️)
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平均在庫日数: 259日(前月比 変動なし ↔️)
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流通物件数: 154件(前月比 変動なし ↔️)
2.【価格動向の深掘り】なぜ平均価格と中央価格の差が縮まったのか?
6月の最も注目すべき点は、下落する平均価格と、底堅さを見せる中央価格の動きにより、両者の価格差が縮小したことです。
これは、「一部の高額物件が相場を牽引する流れが落ち着き、市場のボリュームゾーンである中間価格帯の物件が安定してきた」ことを示唆しています。
その根拠を、次に解説する「築年帯別」のデータから探っていきましょう。
3.【築年帯別】市場動向の詳細分析 ― トレンド変化の主役はどこか
6月の市場トレンドの変化は、特定の築年帯の動きによってもたらされました。
主なポイント(2025年6月時点)
▶トレンド①:高価格帯の調整
これまで市場を牽引してきた築5年未満(-0.74%)、築10~15年(-2.38%)といった高価格帯の物件が価格調整に入りました。これが、全体の「平均価格」を引き下げた最大の要因です。
▶トレンド②:中間層の健闘と築古の反発
一方で、築15~20年(+2.92%)、築30~35年(+5.11%)、築40年以上(+5.36%)といった、中間層や築年数が経過した物件の価格が力強く上昇。これが「中央価格」の底堅さを支えました。
▶在庫日数の変化
築15~25年の物件は、価格が上昇しつつも在庫日数が大幅に短縮(-24%前後)しており、需要の強さが際立っています。まさに今、市場で最も活発に動いているカテゴリーと言えるでしょう。
築年帯別データ詳細(2025年6月)
年代 | 在庫日数(日) | 70㎡換算(万円) | 物件数 | 前月比(価格) | 前月比(日数) | 市場割合 |
全体平均 | 258.88 | 2210.72 | 154 | -2.25% | -0.23% | 100% |
5年未満 | 246.40 | 4160.92 | 25 | -0.74% | 23.92% | 20% |
5~10年未満 | 247.50 | 2901.64 | 4 | 2.11% | 30.26% | 3% |
10~15年未満 | 184.60 | 3134.32 | 15 | -2.38% | -14.57% | 7% |
15~20年未満 | 224.00 | 2245.21 | 15 | 2.92% | -23.99% | 8% |
20~25年未満 | 164.08 | 2104.88 | 13 | -5.08% | -24.18% | 6% |
25~30年未満 | 344.15 | 1761.30 | 13 | 1.77% | 13.08% | 10% |
30~35年未満 | 264.32 | 1514.77 | 37 | 5.11% | 4.24% | 27% |
35~40年未満 | 284.95 | 1398.71 | 19 | -4.21% | -13.55% | 10% |
40年以上 | 368.23 | 865.02 | 13 | 5.36% | 4.27% | 8% |
4.【供給動向】需給は均衡状態へ
市場全体の流通物件数は154件と、前月から横ばいでした。
新規売出26件に対し、掲載終了が29件と、需要と供給が釣り合っており、市場が新たな均衡点を探っている状況がうかがえます。
※過去に掲載終了していた物件が再掲載される場合があるため、流通物件数が変動しないことが有ります。
5.まとめ|2025年6月市場のポイントと今後の展望
2025年6月の市場動向から、以下の3点が明らかになりました。
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地価と建物価格の「温度差」: 路線価に見られる駅前の力強い地価上昇と、中古マンション市場全体の価格動向には少し「温度差」があります。地価の上昇が、必ずしも全ての中古マンション価格に直結しているわけではありません。
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二極化から多極化へ: これまでの「一部の築浅・高額物件が牽引する市場」から、「中間層や築古物件が価格を下支えする」という、より複雑で多極的な市場へと構造が変化し始めています。
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「築15年以降」の物件に注目: 今回のデータでは、特に築15年を超えた物件の価格が堅調でした。市場の評価軸が変化している可能性があり、今後の動向を注視する必要があります。
【売主様へ】
路線価上昇のニュースは心強いですが、それに惑わされず、ご所有マンションの「築年帯」が今どのような評価を受けているかを正確に把握することが重要です。
特に築15年以上の物件をお持ちの場合、現在の市場は追い風となる可能性があります。
【買主様へ】
これまで高値だった築浅物件の価格が調整され、狙いやすくなっています。
一方で、リノベーション前提で探されることの多い築古物件の価格は上昇傾向にあるため、予算計画には注意が必要です。
ご自身の希望する築年帯の「今」の動きを知ることが、賢い購入への第一歩です。
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