【マンションウォッチ】低すぎる改定率と積み上がる在庫の正体

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

2月に入り、暦の上では春を迎えましたが、福山の不動産市場は依然として「厳しい寒波」の中にいるような膠着状態が続いています。

今回のマンションウォッチでは、20261月度の最新データを分析しました。

過去最高水準に迫る在庫を抱えながら、なぜ価格改定(値下げ)が進まないのか。その裏側に隠れた「タイムラグ」の正体に迫ります。

1.【全体サマリー】20261月の主要データ

まずは、今月の主要な数値をご確認ください。

  • 平均在庫日数: 299(前月比 -1日)
  • 70㎡換算平均価格: 2,337万円(前月比 +1.27% 📈
  • 70㎡換算中央価格: 2,041万円(前月比 +3.12% 📈
  • 平均と中央の価格差: 296万円(前月 329万円から縮小)
  • 価格改定率: 10.1%(前月 12.7%から低下 📉)
  • 流通物件数: 159(前月比 +1 📈) 過去2年間で2番目の高水準
  • 新規掲載件数: 15
  • 掲載終了件数: 17

一言で表すと、「在庫は溢れているが、売り手は価格を下げずに粘り強く様子を見ている」という、極めて膠着したスタートとなりました。

2.直近のトレンド:際立つ「価格改定」の減少

今月の最も注目すべき動きは、価格改定率が10.1%まで低下したことです。

これは昨年同月の21.5%と比較して半分以下の水準であり、過去1年間の平均的な推移(1415%)と比べても極めて低い数値です。

通常、在庫が159件という過去最多水準(最高は162件)に達すれば、価格競争による値下げが活発化するのが市場の原理です。

しかし、現状は「在庫は増えているのに、価格改定は減る」という、データ上の逆相関が起きています。

 

3.在庫と価格改定に潜む「3ヶ月のタイムラグ」

なぜこれほど在庫があるのに、価格が下がらないのでしょうか。

当事務所で過去2年間のデータを詳細に分析したところ、市場特有の「タイムラグ」が見えてきました。

「在庫増」から「値下げ」までは3ヶ月かかる

統計データによると、在庫件数が増加してから価格改定率が上昇するまでには、約3ヶ月の遅れがあることが分かりました。

  • 在庫増加直後(01ヶ月): 売主様は「まだ売出したばかり」「この価格で反応を見たい」という心理が強く働き、値下げを控える傾向があります(現在の10.1%という低改定率はまさにこの状態です)。
  • 在庫増加から3ヶ月目: 案内数や引き合いの少なさを実感し始め、ようやく「価格改定」という次のステップに踏み切る売主様が増え始めます。

現在の在庫159件というピークは、昨年末からの積み上がりが要因です。

タイムラグ分析を当てはめると、20262月から3月にかけて、溜まっていた在庫に対する「価格改定の波」が一気に訪れる可能性が極めて高いと予測されます。

 

4.まとめ:2月以降の戦略

データが示す現在の姿は、嵐の前の静けさのような「我慢比べ」の状態です。

  • 売主様へ: 統計上、周囲が「我慢」している今はライバル物件の価格も高止まりしています。しかし、3ヶ月のタイムラグを経て、春先には一斉に値下げ競争が始まるリスクがあります。競合が動き出す前の「今」こそ、戦略的な価格設定で先手を打つことが早期成約の鍵となります。
  • 買主様へ: 現在は売り手の価格維持姿勢が強いですが、在庫日数(平均299日)という現実は無視できません。今後、タイムラグを経て価格調整が入る物件が増えてくるため、じっくりと比較検討しつつ、交渉のチャンスを見極めるべき時期と言えるでしょう。

 

膠着した市場だからこそ、データに基づいた「根拠のある売却戦略」が重要です。

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