【マンションウォッチ】過去最長を記録した滞留日数の真実

こんにちは。

宅建マイスターの杉野です。

 

20265月度(61日集計)の福山市内中古マンションの市場動向データがまとまりました。

今月のデータは、一見すると「市場の回復」を思わせる数値が出ていますが、その裏側を詳細に分析すると、「今後への警戒を強めシグナル」が隠されていることが分かりました。

データの表面だけにとらわれない、リアルな市場の現在地を解説します。

1.【全体サマリー】2026年5月の主要データ

まずは全体の主要数値から振り返ります。

  • 平均在庫日数:313日📈(前月比 +14日)過去2年間で最長を更新
  • 70㎡換算平均価格:2,155万円➡️(ほぼ横ばい)
  • 70㎡換算中央価格:1,938万円➡️(ほぼ横ばい)
  • 流通物件数(在庫):167件📉(前月比 -7件)
  • 掲載終了件数(成約等):26件📈 (前月比 +13件)
  • 新規登録件数:18件📉(前月比 -5件)

先月(4月)は成約が13件まで落ち込み、市場が「消化不良」を起こしていましたが、5月は掲載終了が26件へと倍増。

新規登録が抑えられたこともあり、在庫件数は174件から167件へと減少しました。

これだけを見ると「在庫調整が進み、市場が再び回り始めた」ように見えます。

しかし、注目すべきは全体の平均在庫日数が「313日(約10ヶ月半)」と、過去最長を大きく更新した点です。

物件が減ったのに、なぜ滞留期間は延びているのでしょうか?

2. 在庫減少の「罠」:特定高額ゾーンの集団離脱

この矛盾の答えは、マンション別・年代別の詳細データにありました。

今月起きた「掲載終了26件」の大部分を占めていたのは、実は一般の実需層が動いたものではなく、「駅前のランドマーク的な超高額・築浅ゾーン」における、特定物件の一斉な掲載終了(市場引き揚げ)でした。

長期滞留していた数千万円クラスの新古品・築浅物件が、ポータルサイトから一斉に姿を消したことで、全体の在庫件数は表面的に「7件減少」しました。

これらは一般の買主様が見つかった「成約」というよりも、売り出し側(業者等)が長期滞留に耐えかねて損切り処分したか、販売戦略の見直しで賃貸募集に切り替えたり、掲載を取り下げたりした可能性が高いと考えられます。

つまり、「一部の特殊な高額物件の動きによって、全体の在庫数が引き下げられただけ」というのが、5月の在庫減少の正体です。

3. 唯一動いた「実需ゾーン」

高額な築浅物件が一部抜けたにもかかわらず、全体の在庫日数が313日に延びた理由は、市場の底に「売れない長期滞留物件」が強烈に沈殿し続けているからです。

事実、築35年〜40年未満の平均在庫日数は417、築40年以上に至っては502日(約14ヶ月)を超えており、市場全体の足を引っ張っています。

また、動いていないのは築古だけでなく、4,000万円〜8,000万円クラスの築浅高級ゾーンも、平均334日と完全にフリーズしたままです。

そんな中で、今月唯一「リアルな実需(一般の成約)」として機能していたのが、30年前後(1,000万円台)のゾーンでした。

このゾーンでは、今月なんと4件に1件(改定率27.3%)という非常に高い割合で売主様が価格改定を断行。

実需層が手の届くラインまで価格を引き下げた物件だけが、正常に成約へと至っています。

4. まとめ:これからの戦略

5月のデータは、「成約件数が戻ったから安心」という楽観論がいかに危険であるかを教えてくれています。

実態は、「値下げを受け入れた実需物件だけが細々と動き、高額ゾーンや一部の築古は、過去最長レベルの目詰まりを起こしている」という二極化です。

売主様へ:

市場の平均滞留期間が10ヶ月半を超えているという現実を直視する必要があります。

「駅前の人気マンションだから」「まだ築浅だから」と高値で様子見を続けている物件すら、1年〜3年近く売れ残るケースが福山市場でも常態化しつつあります。

現在の狭き門をくぐるためには、「今月動いた築30年層」のように、データに基づいた早期の適正価格への見直しと、他社に埋もれない強力な露出戦略への切り替えが不可欠です。

買主様へ:

物件数は167件と高水準を維持しており、歴史的な「買い手市場」であることに変わりはありません。

ただし、一部の高級マンションのように「売り出されてから何百日も経っている物件」の中には、価格と価値が見合っていないものも多く混ざっています。

「売り急いでいる物件」と「放置されて滞留している物件」をデータから見極め、将来も資産価値を維持できる本物の物件を慎重に選ぶ目が求められます。

 

市場が「消化不良」から「麻痺」へ向かうのか、それとも適正価格へのリセットが進むのか。

福山市の不動産売買に関する不安や、データに基づいた具体的な売却・購入戦略については、ぜひ私、杉野までお気軽にご相談ください。

 

【データ訂正とお詫び】

過去に公開いたしました市場動向データにおいて、2025年9月度以降の「70㎡換算金額(平均・中央)」の算出計算式に一部誤りがあることが判明いたしました。

これに伴い、本記事内から該当数値を最新の正確なデータへと訂正・更新しております。

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