【前編】契約解除リスクを激減させる「隣接地調査」というプロの仕事

“丸投げ”測量はもうやめませんか? 契約解除リスクを激減させる「隣接地調査」というプロの仕事

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

安全な不動産取引の実現に不可欠な「境界確定測量」。多くの実務者が頭を悩ませるこの業務には、実は契約を根底から揺るがしかねない大きなリスクが潜んでいます。

今回の記事は、そのリスクを未然に防ぐための極めて重要な手法である「隣接地所有者の事前調査」について、【前編】と【後編】の二部構成でお届けします。

  • 【前編】では、なぜ従来の「契約後の測量」が危険なのか、その具体的なリスクと、解決策としてなぜ「査定段階での調査」が有効なのか、その重要性を徹底解説します。
  • 【後編】では、私自身が実際に遭遇し、解決に導いた具体的なケーススタディを交えながら、専門家との連携を含めた実践的な対応策をご紹介します。

 

まずは【前編】で、皆様の日常業務に潜むリスクを再確認していきましょう。

【前編】なぜ「隣接地調査」が取引の成否を分けるのか

 

突然ですが、境界確定測量に関する実務、こんな「綱渡り」状態になっていませんか?

  • 境界確定測量は、土地家屋調査士に「お任せ」状態。
  • 測量する対象地の情報だけを送って、あとは報告待ち。
  • 引渡期日が迫る中、進捗状況を確認する電話を土地家屋調査士に毎日かけてしまう。
  • 決済に間に合わせるため、隣地所有者の都合を考えず、無理な日程で立会いを依頼してしまう。

もし一つでも心当たりがあれば、それは取引に重大なリスクを抱えているサインかもしれません。このような不安定な取引を防ぐ鍵こそが、私たち宅建業者自身による「隣接地所有者の事前調査」なのです。

 

1. 「契約後の境界確定測量」に潜む恐ろしい落とし穴

 

実務の慣習となっている「契約後の境界確定」には、取引全体を頓挫させかねない大きなリスクが潜んでいます。

  • 所有者不明・連絡不能問題: 隣接地の登記名義人が古く、相続登記が未了であったり、空き家で所有者の所在が不明であったりするケースは決して珍しくありません。
  • 時間的制約: 所有者の探索や相続人の確定には数ヶ月以上を要することもあり、引渡し期日に間に合わず、契約違反となる可能性があります。
  • 契約解除という最悪のシナリオ: 境界確定が不可能となれば、売買契約の特約事項に則って契約は白紙解除に。売主様・買主様双方に多大なご迷惑をおかけすることになります(契約後に測量を行う場合、白紙解除となる特約を設定することが一般的です)

この結果、何が起こるでしょうか?

  • 買主様は… 物件探しや住宅ローンの手続きに費やした膨大な時間と労力が水泡に帰します。「この物件のために他の優良物件を諦めたのに…」というやるせない思いを抱かせることになります。
  • 売主様は… 売却の機会を失い、測量費用という実損だけが残ります。精神的なご負担は計り知れません。
  • そして私たちは… お客様からの信頼を失い、プロとしての責任を問われることになりかねません。

 

2. 解決策は「査定段階」での先回り調査

 

この深刻なリスクを回避する唯一かつ最善の方法が、査定依頼を受けた段階で、対象不動産と同時に隣接地所有者の調査を行うことです。

【調査の3ステップ】

  1. 登記情報の取得: まずは対象地と全ての隣接地の登記情報を取得します。費用は多数取得したとしても数千円程度。これで登記上の所有者と住所が判明します。
  2. 現地での確認: 登記情報の住所と、現地の住宅の表札が一致しているかを確認します。空き家になっていないか、人の住んでいる気配があるかも重要なチェックポイントです。
  3. ヒアリング: もし登記情報と現況に相違があれば、売主様に隣人についてお話を伺います。必要であれば、個人情報保護に十分配慮しつつ、他のご近所の方にそれとなくお話を伺うことも有効です。

 

3. なぜ、この一手間が重要なのか

 

査定段階での隣接地調査は、単なるリスク回避に留まらず、取引に関わる全ての人にメリットをもたらします。

  • 売主様への貢献: 境界確定にまつわる内在リスクを顕在化させることで、課題解決に向けた具体的な手段を得るともに、安心して売却活動に臨んでいただけます。
  • 買主様への貢献: 安全な取引が保証され、契約後の白紙解除という最悪の事態を避けられます。
  • 宅建業者自身のメリット:
    • トラブルの未然防止という最大のリスクヘッジになります。
    • 「この人はプロだ」とお客様からの信頼が格段に向上します。
    • 私たち宅建業者には、専門家として高度な注意をもって業務を遂行する義務(善管注意義務)があります。この調査は、まさにその義務を能動的に果たす行為と言えるでしょう。

 

ここまで、なぜ査定段階での隣接地調査が不可欠なのか、その理由とメリットを解説してきました。しかし、「理屈は分かったが、具体的にどう動けばいいのか?」「所有者不明など、難しいケースに直面したらどうするのか?」という疑問が湧いてくるかと思います。

 

【後編】では、私自身が実際に遭遇し、解決に導いた具体的なケーススタディを交えながら、専門家との連携を含めた実践的な対応策を徹底解説します。ご期待ください。

【FMふくやま出演報告】10月24日放送「所有者の分からない空き家・空地の管理について」

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

先日、FMふくやまのラジオ番組「あさまる」にゲスト出演させていただきました。

今回の放送では、「近所にある空き家が草木で荒れていて心配」「建物が古くて倒れないか不安」といった、実際にいただいたご相談を基に、ご自身の所有ではない空き家や空き地の管理について、どう対処すればよいかをお話しさせていただきました。

 

実際の出演音声(20251024日放送分)はこちらからお聴きいただけます。

【番組の要点】近所の空き家・空き地で困ったら?

最近、「お隣や近所の空き家」に関するご相談が増えています。

草木が自宅の敷地まで伸びてきたり 、窓ガラスが割れていたり 、瓦が落ちそうになっていたり と、危険な状態になっているケースも見受けられます。

こうした所有者が分からない、あるいは管理されていない不動産は社会問題にもなっており 、2040年には所有者不明の土地をすべて合わせると北海道に匹敵する面積になるという試算もあるほどです。

では、実際に近所の空き家でお困りの場合、どうすればよいのでしょうか。番組でお話しした主な対処法のステップをご紹介します。

 

ステップ1:まずは所有者を調べる(相談先:法務局)

何よりもまず、その空き家や空き地の所有者が誰なのかを調べることが第一歩です。

所有者の情報は、法務局で「登記簿謄本(登記事項証明書)」を取得すれば確認できます。

これは誰でも取得可能で、手数料(窓口で600円程度)を払えば、所有者のお名前やご住所がわかります。

ステップ2:所有者へコンタクトを試みる

所有者の住所がわかったら、手紙で連絡を試みます。

その際、届いたかどうかを確認できる「書留郵便」を利用するのがおすすめです。

もし、時々管理に来ている可能性があるなら、郵便ポストに手紙を入れておくのも一つの方法です。

 

  • 注意点:勝手に草木を切るのはNG

「雑草だから」「敷地に入ってきているから」といって、勝手に切ったり抜いたりすると、後で所有者の方とトラブルになる可能性があります。

まずは必ずコンタクトを取ることを優先してください。

ステップ3:危険な状態なら行政へ相談(相談先:福山市 建築指導課など)

もし建物が倒壊しそう、ブロック塀が崩れそうなど、明らかに危険な状態である場合は、福山市役所(建築指導課など)へ相談してみましょう。

市には「管理不全空き家」として、所有者へ管理するよう通知を出す制度があります。

ただし、これには法的な強制力がないため、必ずしも改善が保証されるわけではありません。

ステップ4:専門家へ相談する(相談先:司法書士など)

登記簿を調べても所有者がわからなかったり、相続が繰り返されていて特定が難しかったりする場合、専門家への相談が必要になります。

「所有者不明土地管理人制度」という、裁判所に申し立てて管理人を選んでもらう制度があり、これにより土地の管理や購入などが可能になる場合があります。

こうした法的な手続きについては、司法書士や弁護士が窓口となります。

 

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空き家・空地問題は、ご近所トラブルに発展しやすく、早めの対応が肝心です。

当社でも、こうした不動産に関するお困りごとのご相談を随時受け付けております。

行政や専門家への橋渡しも含めてサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。

 

なぜ、良い中古住宅ほど市場に出回らないのか?~経済学が解き明かす不動産市場のナゾ~

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

先日「既存住宅(中古住宅)の未来」を考える、日本不動産学会のシンポジウムに参加してきました。

そこでは、多くの方が抱えるであろう、こんな疑問を解き明かすヒントが数多く議論されていました。

  • 「大切に住んできた我が家。リフォームもしたのに、なぜ査定価格に反映されにくいのだろう?」
  • 「中古住宅の購入を考えているけれど、品質が不安…」

 

今回は、その専門的な議論の中から、皆様の不動産売却・購入に直接関わる重要なポイントを、プロの視点から分かりやすくお伝えします。

1.中古住宅市場に潜む「レモンの原理」

シンポジウムでは、中古住宅市場が抱える根本的な課題として「情報の非対称性」が挙げられました 。

これは「売り手は家のことをよく知っているが、買い手はその情報を十分に持っていない」という情報のアンバランス状態を指します 。経済学において、「レモンの原理」として古くから知られている経済理論です

レモンの原理とは、「品質の悪い商品(レモン)が、品質の良い商品(ピーチ)を市場から駆逐してしまう」という経済理論です。

買い手は、欠陥のある「レモン」を買ってしまうことを恐れるあまり、本当に良い「ピーチ」に対しても高い価格を払うことを躊躇します。結果として、売り手は「どうせ正当に評価されないなら」と、質の良い「ピーチ」を市場に出さなくなり、市場には「レモン」ばかりが溢れてしまうのです。

まさにこの「レモンの原理」が、中古住宅市場で起きている問題の核心と言えます。

2.なぜ、理想の取引は生まれないのか?

この「レモンの原理」が働く市場の構造を、シンポジウムで紹介された下の表で見てみましょう。

これは、売り手と買い手の行動の組み合わせによって、お互いの満足度がどう変わるかを示したものです。

表の解説

  • 右下のマス (2.0 / 2.0): 売り手はしっかり家を維持管理し(ピーチを供給)、買い手もそれをきちんと調べて価値を認めるケースです。これが双方にとって最も満足度の高い、理想的な取引です。

ではなぜ、市場は理想的な「右下のマス」に簡単には向かわないのでしょうか?それは、お互いが相手を信頼できず、損をすることを恐れるからです。

  • 売り手の不安(左下のマス 0.0 / 1.0): 「せっかくお金をかけて家を良くしても(ピーチ)、買い手が調べてくれなければ価値を認めてもらえず、投資した分だけ大損してしまう。」
  • 買い手の不安(右上のマス 1.0 / 0.0): 「お金をかけて調べたのに、家の維持レベルが低かったら(レモン)、調査費用が無駄になるだけだ。」

このように、お互いが損をすることを恐れるあまり、結局「何もしない」という左上の選択(質の低い物件が、よく調べられないまま取引される)に落ち着きがちになってしまうのです。

これが、質の良い中古住宅が市場で正しく評価されず、流通しにくくなるメカニズムです。

 

3.「レモン市場」を脱却する鍵「シグナリング」

この悩ましい状況を打破し、理想的な「右下のマス」の取引を実現するための鍵が「シグナリング」です。

これは、専門家による客観的な評価や情報を「信頼の証」として買い手に提示することを指します。

具体的には、以下のような制度がこれにあたります。

  • 建物状況調査(インスペクション): 専門家が建物の状態を客観的に調査・報告します。
  • 住宅性能表示制度: 耐震性や省エネ性などを客観的な等級で示します。

シンポジウムでは、客観的な情報に加え、宅建業者が品質を保証するリフォームが、物件の信頼性を高める有効なシグナルとなることが強調されました。私たちが専門知識を持って介在することで、物件の信頼性は格段に向上し、それが価格にも反映されます。

逆に言えば、一般の売主が行う表面的なリフォームでは、宅建業者によるリフォーム物件ほどの信頼性は担保されず、結果として価格に反映されにくい実態があります。

大切なご自宅の価値を正確に伝え、買い手の不安を解消するためには、こうした「信頼できる情報」を積極的に活用することが何よりも重要です。

 

4.住宅ローンと「金利」の話。今、知っておくべきこと。

話は金融の側面にも及びました。日本の金融機関は、どうしても融資期間を長く設定できる新築住宅を重視しがちで、中古住宅の性能を向上させるリフォームへの融資がまだ活発とは言えない現状が報告されました。

また、消費者動向として、住宅ローン利用者の多くが「変動金利」を選んでいますが、将来の金利上昇リスクを正しく理解している方は決して多くない、というデータも示されました。

低金利時代が長く続きましたが、経済状況は刻々と変化します。不動産のプロとして、売却や購入のタイミングだけでなく、こうした金融に関する知識の重要性も、お客様にお伝えしていく責務があると痛感しています。

5.未来への視点:より良い住環境と社会を目指して

最後に、なぜ今これほど「中古住宅の性能向上」が叫ばれているのか。その背景には、2050年の「脱炭素社会の実現」という大きな目標があります。

実は、建物を新築する際には多くのCO2が排出されます。一方で、既存の住宅を断熱改修するなどして性能を向上させる大規模リフォームは、建て替えに比べてCO2排出量を約半分にまで削減できるという研究結果が報告されました。

質の高い中古住宅をきちんと評価し、次の世代へ住み継いでいくことは、個人の利益だけでなく、地球環境にも貢献する賢い選択なのです。

そして、こうした取り組みは、国が示す国土交通省の住生活基本計画とも軌を一にしています。安全で質の高い住宅ストックを形成し、豊かな住環境を構築していく。この共通理念を持つことで、私たち事業者と消費者が一体となって、より良い未来を築いていけると信じています。

まとめ:私たち不動産のプロフェッショナルが果たすべき役割

今回のシンポジウムを通じて、私たち専門家の使命は、物件の価値を客観的な情報(シグナル)をもって証明し、売り手様と買い手様の間の情報のアンバランスを解消することにあると、改めて認識いたしました。

そして、不動産流通に関わる私たちの役割は、単に物件を仲介するという側面だけではなく、質の高い住宅ストックを次世代へ繋ぎ、より良い社会や環境を作っていく一端を担っているのだと確信しました。

 

宅建マイスターとして、専門知識を最大限に活用し、皆様の大切な資産が市場で正当に評価されるよう、全力でサポートすることをお約束します。

不動産の売却・購入に関するご不安やお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

【マンションウォッチ】在庫日数は過去最長の274日へ。しかし、その裏で起きている“ある変化”とは

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

10月に入り、秋も本番といった気候になりました。不動産市場も、秋の繁忙期を迎えています。

さて、今月も20259月度(101日集計)の福山市中古マンション市場の動向をご報告いたします。

9月の市場データは、一見すると非常に厳しい数字が並びました。

 平均在庫日数が過去1年間で最長となる「274日」に達し、マンション売却が本格的な「長期化の時代」に突入したことを示しています。

しかし、その水面下では、今後の売却戦略を考える上で、希望とも言える非常に重要なある変化が起きています。

今回は、この変化の正体を深掘りし、売却の長期化時代を乗りこなすための具体的なヒントを解説します。

1.【全体サマリー】20259月の主要データ

まずは、今月の主要な数値を一覧でご確認ください。

  • 平均在庫日数: 274日(前月比 +6.2% 📈)【過去最長】
  • 70㎡換算平均価格: 2,229万円(前月比 -0.8% 📉)
  • 70㎡換算中央価格: 1,957万円(前月比 +0.5% 📈)
  • 流通物件数: 150件(前月比 -5.1% 📉)
  • 新規掲載件数: 16
  • 掲載終了件数: 27
  • 価格改定(値下げ)率: 14.0%
  • 1件あたりの平均値下げ額: 118万円

2.【核心】「274日」という数字の裏側で起きていること

9月の市場で最も深刻に受け止めるべきは、平均在庫日数がついに274に達したことです。

これは「売りに出してから成約まで、平均で9ヶ月以上かかる」という重い現実を示しています。

この長期化の最大の要因は、買い手の厳しい選別によって「売れる物件」と「売れ残る物件」の二極化が進行し、「売れ残る物件」が市場に滞留し続けているためです。

しかし、本当に注目すべきは、この平均値の内訳です。

9月に市場から退出した物件を詳しく分析すると、驚くべき事実が見えてきました。

 

  • 【成約した物件】の平均販売日数:137日(約4.5ヶ月)
  • 【成約以外で掲載終了した物件】の平均日数:228日(約7.5ヶ月)

 

この2つの数字の差こそが、現在の市場の本質を物語っています。

3.【希望の兆し】成約物件の販売日数が、劇的に短縮している

過去のデータと比較すると、この変化はさらに鮮明になります。

成約物件

成約以外の

掲載終了物件

7月 360日 333日
8月 227日 211日
9月 137日 228日

 

7月、8月は、成約する物件も、そうでない物件も、同じように長い期間がかかっていました。

しかし9月に入り、成約する物件の販売期間だけが、1ヶ月で約3ヶ月も短縮されるという劇的な変化が起きたのです。

これは、「価格や条件が適正な物件に対して、買い手は以前よりも早く決断するようになっている」ことを意味します。

市場が停滞しているわけではなく、むしろ「選ばれる物件」にとっては、好機が訪れているのです。

4. まとめ|売却の長期化時代に、売主様が取るべき戦略

9月のデータが示すのは、福山市の中古マンション市場が、「売れ残れば平均9ヶ月以上かかる厳しい現実」と、「選ばれれば平均4.5ヶ月で成約できる希望」が共存する、これまで以上にメリハリのついた市場へと変化したという事実です。

 

【売主様へ】

今、売主様の前には2つの道がはっきりと示されています。

9ヶ月以上かけても売れず、最終的に売却を断念する道」か、4.5ヶ月でスムーズに成約する道」か。

その運命を分ける最大の要因は、「売り出し初期の価格設定」です。

周辺の競合物件の動向や、ご自身の物件が持つ強みと弱みを客観的に分析し、買い手の需要に合った現実的な価格でスタートを切ることができれば、この長期化時代の中でも、十分に早期売却を目指すことが可能です。

 

274日」という全体の平均値に惑わされず、ご自身の物件が「選ばれる側」に入るための戦略を立てることが、今、何よりも重要です。

 

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売却の長期化は、売主様にとって精神的にも、経済的(維持費など)にも大きな負担となり得ます。

この厳しい市場環境の中にも存在する「希望の兆し」を掴むためには、正確なデータに基づいた専門家の視点が不可欠です。

ご自身の資産を最大限に活かすためにも、ぜひ一度、宅建マイスターの杉野にご相談ください。 

 

売却のご用命、査定のご相談、各種お問い合わせはこちらからどうぞ。

〈査定相談専用フォーム〉

東陽台二丁目、72坪の整形地。建築条件無し・更地渡し

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

本日は『東陽台二丁目・売土地』掲載いたしました。

土地面積72.53坪の整形地、建築条件はございません。

現存する建物は売主様の費用負担で解体し、更地の状態でお引き渡しします。

境界確定測量も完了済みのため、土地の範囲が明確です。

福山市ハザードマップにおいて、洪水・土砂災害・津波の想定区域外となっています。

詳しい物件情報は、こちらのページからご覧いただくことができます。






 

↓↓物件紹介ページ↓↓

【東陽台二丁目、72坪の整形地。建築条件無し・更地渡し】

→その他物件情報はこちらからご覧いただけます。

 

※物件情報は2025年10月10日現在のものです。すでに売約済みの場合にはご容赦くださいませ。

法定研修会にて最新知識を習得してまいりました。

こんにちは。 

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

この度、9月25日に広島県宅地建物取引業協会が主催する「令和7年度 第1回法定研修会」に参加いたしました。

この法定研修会は、宅地建物取引業者として、最新の法改正や社会情勢の変化に対応し、お客様へより質の高いサービスを提供するため、定期的な受講が義務付けられております。例年9月と2月に開催されており、今回は令和7年度の第1回目として実施されました。

今回の研修で得た知見の中から、特に皆様の不動産取引にも関連の深い重要なポイントをいくつかご紹介させていただきます。

研修では主に、以下のテーマについて学びました。

 

最近の法令改正と重要事項説明について

  • 近年多発する水害リスクに備え、ハザードマップを用いた説明がより一層重要視されています。お客様が物件の災害リスクを正確に把握できるよう、説明方法の再確認を行いました。
  • 事務所に掲示する業者票の様式変更など、宅建業法の施行規則改正について学びました。

高齢者の不動産取引の基礎知識と具体的な手法について

  • 高齢化社会が進む中、ご高齢者様が安心して不動産取引を行えるよう、ご本人の意思能力の確認の重要性について改めて学びました。意思能力が確認できない場合、契約が無効になる可能性があるため、慎重な対応が求められます。
  • 認知症などによる判断能力の低下に備えるための「成年後見制度」や、ご家族に財産管理を託す「民事(家族)信託」、プライベート・カンパニーといった、将来の資産管理手法についても知識を深めました。

 

 

私たち不動産の専門家は、こうした研修を通じて常に知識を刷新し、お客様一人ひとりの状況に合わせた最善のご提案ができるよう日々研鑽を積んでいます。

今回の研修で得た最新の知識を業務に活かし、皆様の大切な財産である不動産の取引を、安全かつ円滑に進められるよう、誠心誠意サポートしてまいる所存です。

 

不動産に関するご相談やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【2025年基準地価】福山市の地価は上昇継続!西部の躍進が顕著に

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

2025916日、国土交通省から令和7年度の基準地価が発表されました。

全国の全用途平均が4年連続で上昇するなど、景気の緩やかな回復を背景とした地価上昇のサイクルが続いています。

ここ広島県でも、県内の商業地が4年連続、住宅地は2年連続で上昇しました。

今回の記事では、この基準地価の動向について「福山市」に焦点を当てて詳しく解説していきます。

福山市全体の動向:上昇傾向がさらに鮮明に

2025年の福山市の基準地価は、全体の平均で対前年比+2.3%となり、昨年度の+2.0%からさらに上昇幅が拡大しました。

調査対象となった市内の62地点のうち、価格が上昇または横ばいだったのは51地点で、昨年の49地点から2地点増加。

このことからも、福山市内で地価の上昇がより広がりを見せていることが分かります。

用途別の詳細分析

用途別に見ると、宅地見込地を除いた住宅地、商業地、工業地で前年を上回るような上昇率となっており、不動産市場の好調さがうかがえます。

 

住宅地 宅地見込地 商業地 工業地 合計
調査地点数 40 1 17 4 62

平均価格

(/㎡)

47,300円

(46,200円)

14,100円

(14,300円)

135,600円

(128,800円)

45,200円

(44,000円)

70,800円

(68,200円)

対前年度

変動率

+1.3%

(+1.0%)

-1.4%

(-1.4%)

+4.7%

(+4.7%)

+2.6%

(+2.0%)

+2.3%

(+2.0%)

出典:広島県ホームページ『令和7年 広島県地価調査の結果について』より作成

※(括弧)内数字は前年度調査

 

  • 住宅地は、昨年の+1.0%から+1.3%へと上昇が加速しています。利便性の高いエリアを中心に、住宅需要の根強さが地価を押し上げています。
  • 商業地は、+4.7%と高い上昇率を維持しています。なお、福山市で最も価格が高かったのは「福山市東桜町3-3」で、1平方メートルあたり454千円でした。
  • 工業地+2.6%と、昨年の+2.0%から上昇幅が拡大しており、産業活動の活発化が地価に反映されています。

 

エリア別の動向:中心部が全体をけん引

市内を5つのエリアに分けて見ると、地価の動向には違いが見られます。

エリア

令和4年度

令和5年度 令和6年度 令和7年度

中心部

+2.1%

+4.3%

+5.1% +5.4%

南部

+1.8%

+3.0%

+3.5% +4.0%

東部

+0.5%

+1.6%

+2.2% +2.5%

西部

-0.5%

-0.3%

+0.6% +1.1%

北部

-0.7%

-0.4%

-0.3% -0.2%

※各年度の、対前年度変動率を記載

 

今年も中心部エリア+5.4%と最も高い上昇率で全体をけん引しています。

再開発が進む福山駅周辺や利便性の高い中心市街地への需要が集中している形です。南部・東部も着実に上昇を続けています。

一方で、北部エリア-0.2%とわずかながら下落が続いています。しかし、下落率は年々縮小しており、底堅さも見られます。

このように、マンション需要の高い都市部と、人口減少が進む郊外とで地価の二極化が進む傾向は、広島県全体の動きとも一致しています。

 

住宅地における上位10地点の動向:西部エリアの躍進が際立つ

さらに詳細なデータとして、住宅地における変動率の上位10地点を見てみましょう。

 

エリア

調査地点

令和7年度

中部

北吉津町三丁目

+4.9%

南部

多治米町四丁目

+4.7%

中部

木之庄町一丁目

+4.6%

南部

西新涯町二丁目

+4.5%

西部

松永町三丁目

+4.5%

中部

草戸町四丁目

+4.4%

東部

東深津町三丁目

+4.0%

西部

松永町二丁目

+3.9%

西部

高西町川尻

+3.8%

西部

瀬戸町大字地頭分

+3.7%

 

特に注目すべきは、西部エリアの躍進です。

昨年度、変動率の上位にランクインした西部エリアの地点は1つでしたが、今年度は4地点に増えています

これは地価上昇の波が、市内の西部エリアへもしっかりと及んできていることを示しています。

まとめ

2025年の基準地価からは、福山市の不動産市場が確かな上昇基調にあることが確認できました。

利便性の高い中心部や南部での地価上昇が引き続き市場をけん引しています。

さらに今年は、これまで上昇が緩やかだった西部エリア+1.1%と上昇基調に転じただけでなく、市内の住宅地上昇率トップ104地点がランクインするなど、地価上昇が本格化している様子がうかがえます。

 

この市場動向は、不動産の売却を検討されている方、そして購入を検討されている方、双方にとって重要な意味を持ちます。

最後に、それぞれの立場の方へ向けたアドバイスで、この記事を締めくくりたいと思います。

 

【不動産のご売却を検討されている皆様へ】

地価が上昇している今は、売却にとって「追い風」が吹いている状況と言えます。

需要が高まっているため、条件の良い物件はスムーズな売却が期待できるでしょう。

しかし、そんな時期だからこそ、以下の2点を心がけることが重要です。

  • 「適正価格」での売却開始が成功の鍵

市場が活発だからと相場を大きく超える価格で売り出すと、買い手の興味を失い、かえって売却が長期化する恐れがあります。

最新の取引事例に基づいた客観的な査定を行い、適正な価格設定をすることが、結果的に最も高く、早く売るための近道です。

  • 第一印象を大切に

購入希望者は、多くの物件を比較検討しています。

売出開始や内覧の前に清掃・整理整頓を行い、物件の魅力を最大限に引き出す準備をすることが、より良い条件での売却に繋がります。

 

【不動産のご購入を検討されている皆様へ】

地価上昇のニュースを見ると焦りを感じるかもしれませんが、冷静な判断が何よりも大切です。以下の心構えをお持ちください。

  • 冷静な視点を保ち、焦らないこと

まず最も大切なのは、「地価が上がっているから」と焦って購入を急がないことです。

基準地価はあくまで特定の地点の価格であり、市場で実際に取引される価格は物件の状態や、「買いたい人」と「売りたい人」の需給バランスによって決まります。

地価が上昇しているエリアであっても、個々の物件を見れば価格が妥当なもの、割安なものも存在します。

大切なのは、報道や全体の雰囲気に流されず、ご自身のライフプランと予算に合った物件をじっくりと見極める慎重さです。

  • 「準備」こそが最大の武器

「良い物件が出たらすぐに動ける」状態を作っておくことが成功の秘訣です。

住宅ローンの事前審査や諸費用を含めた資金計画、希望条件の整理を万全に行い、来るべき時に備えましょう。

  • 信頼できるパートナーを見つける

情報が溢れる中で、何が本当に価値のある物件なのかを見極めるのは簡単ではありません。

地域の情報に精通し、お客様の立場に立って客観的なアドバイスをくれる不動産会社をパートナーに選ぶことが、後悔のない購入を実現します。

 

不動産の売買は、皆様の人生における大きな決断です。

その大切な場面で、私たちが専門家として皆様に寄り添い、最適な選択ができるよう全力でサポートさせていただきます。

 

 

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不動産の売却を検討されている方は、ぜひ一度当社の査定サービスをご利用ください。

お客様のご期待に、不動産売却のコンシェルジュ杉野が、人間愛をもってお応えします。

皆様にお会いできることを心より楽しみにしております。

 

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不動産取引の落とし穴、「申込の順番」トラブルを回避する三者の心得

はじめに:不動産取引の第一歩「買付証明書」とは?

 

理想の物件が見つかったとき、その購入意思を売主様に正式に伝える第一歩が「買付証明書(購入申込書)」の提出です。

この書面には、希望購入価格や引渡しの時期、住宅ローンの利用といった契約の前提となる条件を記載します。

これにより、売主様と買主様が正式契約の前に条件をすり合わせ、円滑に交渉を進めることが可能になります。

 

しかし、この「申込みの順番」をめぐり、買主様の期待が裏切られたり、売主様が本来得られるはずだった利益を失ったりするトラブルが後を絶ちません。

今回は、不動産取引に関わるすべての方に知っていただきたい「買付申込」の正しい知識と、トラブル回避のポイントを専門家の視点から解説します。

 

【買主様へ】「一番手なら安心」は大きな誤解です

 

多くの方が、「一番に申込みをすれば、その物件を買えるはず」と考えてしまいがちですが、これは誤解です。

買付証明書は、あくまで「交渉の申入れ」であり、法的な拘束力を持つ「契約」ではありません。

 

たとえ申込が一番手であっても、売主様はより良い条件を提示した他の申込者を選ぶ権利を持っています。

価格はもちろん、現金購入か住宅ローン利用か、引渡しの時期など、総合的に判断されるのです。

 

したがって、買主様におかれましては、以下の2点を心に留めておくことが重要です。

  • 一番手でも契約が確定したわけではないと理解する
  • 仮に二番手になっても、交渉の権利がなくなるわけではないため、諦めずに売主様の最終判断を待つことも有効である

 

【売主様へ】売却先を「選ぶ権利」を持っています

 

ご自身の不動産を売却するにあたり、売主様は申込の順番に縛られる必要はありません。

ご自身の意向に最も沿う買主様を最終的に選ぶ権利があります。

 

ただし、その選択がトラブルに発展しないよう、以下の点を意識すると良いでしょう。

  • 全ての申込みの報告を受ける権利があることを知る

たとえ希望価格に満たない指値の申込みであっても、それは市場の反応を示す重要な情報です。

仲介を依頼している宅建業者には、書面の有無にかかわらず、全ての申込みや具体的な商談について、遅滞なく報告する義務があります。

  • 公平性を保つためのルール作りを不動産会社と相談する

複数の申込みが予想される場合、「〇月〇日まで申込みを受け付け、その中から検討します」というように、事前にルールを決めておくと、より公平性が高く、買主様の納得感も得られやすい取引になります。

 

【宅建業者向け】その対応、重大なコンプライアンス違反です!許されない「申込操作」の手口

私たち宅建業者は、取引の専門家として、常に公正・中立な立場でなければなりません。

しかし、残念ながら、自社の利益や都合を優先し、売主様の利益を損なう悪質な行為が見受けられます。

次に掲げる事例は、宅建業法に違反する重大なコンプライアンス違反です。

<違反事例1:両手仲介のための「有利な申込の隠蔽」> 

自社で売主様から依頼を受け、自社で見つけた買主様から申込み(住宅ローン利用)が入った後、他社から現金・満額という、一番手より有利な申込みが入ったにもかかわらず、その事実を売主様に報告しない。

これは自社での取引を優先させることで、売主様からも買主様からも仲介手数料をいただけるいわゆる両手取引のチャンスがあるために、二番手の申込を意図的に隠ぺいする非常に悪質なケースです。

<違反事例2:「申込みが入った」を理由に、他の内見を一方的に断る> 

買主から購入申込書が提出された後、まだ売主様が契約相手を最終決定していないにもかかわらず、他の不動産会社からの内見依頼に対し、「すでに申込みが入りましたので、ご紹介は終了しました」と伝え、独断ですべて断る。

この行為は、売主様がより良い条件の買主様に出会う機会を、宅建業者が一方的に奪ってしまう「機会損失」を生じさせます。

申込みが入った後に内見や他の申込みを受け付けるかどうかの決定権は、あくまで売主様にあります。

<違反事例3:勝手な判断による「指値申込の握り潰し」> 

売出価格より低い指値での申込みに対し、「この価格では売主は売らないだろう」と勝手に判断し、売主様に報告しない。

この事実を後から知った売主様は、申込みが有れば値下げを検討しようと考えていたため大きなクレームとなり、不動産会社は信用を失うこととなりました。

 

これらの行為は、売主様がより良い条件で売却できる機会や、正常な意思決定をするための判断材料を奪う行為であり、宅地建物取引業法第31条が定める「信義を旨とし、誠実にその業務を行なわなければならない」という信義誠実の原則に明確に違反します

特に重要なのは、宅建業者には「報告義務」(宅建業法第34条の2・媒介契約)があるという点です。

たとえ希望価格に満たない指値の申込みであっても、それは市場の反応を示す売主様にとっての重要な情報です。

どのような内容であれ、受け付けた申込みはすべて遅滞なく売主様に報告し、最終的な判断を委ねなければなりません。

自社の利益追求のために売主様の不当な損失につながる行為は、決して許されません。

私たち専門家には、常に高い倫理観と職業意識が求められています。

 

結論:公正な取引のために、すべての関係者が心掛けるべきこと

 

不動産取引は、信頼関係の上に成り立つものです。

買主様と売主様は、買付証明書の位置づけを正しく理解し、仲介を依頼する宅建業者と密にコミュニケーションを取ることが大切です。

そして私たち宅建業者は、常に高い倫理観と職業意識を持ち、目先の利益に惑わされることなく、客観的な事実を正確に当事者へ伝えるという責務を全うしなければなりません。

透明性の高い、誠実な業務こそが、お客様からの信頼を得て、業界全体の健全な発展につながる唯一の道であると確信しています。

広々6DK・庭付きの和風邸宅で、心豊かな暮らしを。

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

本日は『神辺町新湯野・売戸建』掲載いたしました。

人気の神辺町新湯野エリアに佇む、陽光あふれる6DKの和風住宅。

手入れされた庭では四季折々のガーデニングを楽しみ、陽が差し込む広縁で穏やかな時間が流れます。

スーパーやドラッグストアも徒歩圏内に揃う利便性を備えながら、落ち着いた暮らしが実現できます。

ゆとりのある空間は二世帯での利用や、自分好みのリフォームのベースにも最適です。

 

詳しい物件情報は、こちらのページからご覧いただくことができます。


 

↓↓物件紹介ページ↓↓

【広々6DK・庭付きの和風邸宅で、心豊かな暮らしを。】

→その他物件情報はこちらからご覧いただけます。

 

※物件情報は2025年9月6日現在のものです。すでに売約済みの場合にはご容赦くださいませ。

【マンションウォッチ】平均価格上昇の裏で、本当に起きていること

こんにちは。

福山市の宅建マイスター、杉野です。

 

9月に入り、朝晩は少しずつ秋の気配を感じるようになりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

さて、今月も20258月度(91日集計)の福山市中古マンション市場の動向をご報告いたします。

8月の市場データは、一見すると「平均価格が上昇しており、好調だ」と捉えてしまいがちですが、他のデータを詳しく見ると、より慎重な読み解きが必要な状況であることがわかります。

今回は、平均価格のデータだけでは見えてこない、市場で本当に起きていることを、データに基づいて丁寧に解説します。

1.【全体サマリー】20258月の主要データ

まずは、今月の主要な数値を一覧でご確認ください。

  • 70㎡換算平均価格: 2,248万円(前月比 +4.2% 📈)
  • 70㎡換算中央価格: 1,947万円(前月比 +1.3% 📈)
  • 平均在庫日数: 258日(前月比 +6.7% 📈)
  • 流通物件数: 158件(前月比 -2.5% 📉)
  • 新規掲載件数: 16
  • 掲載終了件数: 21
  • 価格改定(値下げ)率: 14.6%
  • 1件あたりの平均値下げ額: 132万円

 

2.【分析のポイント】なぜ、平均価格と実感にズレが生まれるのか?

今月のデータで最も注意すべき点は、「値下げ率・値下げ額ともに高い水準なのに、平均価格が+4.2%も上昇した」ことです。

これは、市場の二極化、つまり物件ごとの状況の違いがより大きくなっていることを示しています。

現在の市場には、2つの異なる力が働いていると考えられます。

 

① 価格調整の動き(値下げ)

市場に存在する物件の14.6%が、1ヶ月の間に平均132万円の価格調整(値下げ)を行っています。

これは、多くの物件が買い手の需要に合わせ、現実的な価格へと調整している動きです。

 

② 価格を牽引する動き(一部の物件)

一方で、この調整の動きを上回るほどの力で、全体の平均価格は上昇しました。

これは、一部の築浅・好立地といった条件の良い物件が高価格で新規に売りに出され、統計上の「平均価格」を押し上げたものと考えられます。

このように、平均価格は一部の高額物件の動きに影響されやすいという特徴があります。

3.市場の実態を映す「中央価格」と「在庫日数」

では、市場全体の本当の状況はどこで見ればよいのでしょうか。

注目すべきは「中央価格」と「在庫日数」です。

 

  • ほぼ横ばいの「中央価格」

平均価格が+4.2%も上昇したのに対し、価格のちょうど真ん中の数値を示す中央価格の上昇は+1.3%に留まりました。

これは、市場の多くの物件の価格帯は、比較的落ち着いた動きをしていることを示唆しています。

 

  • 長期化する「在庫日数」

条件の良い物件が成約していく一方で、市場には買い手が見つかるのを待っている物件も多く存在します。

8月は、この市場に滞留している物件が全体の平均在庫日数を258日へと押し上げました。

新規の供給が減っても販売期間が延びるのは、買い手が物件を慎重に選んでいることの表れです。

 

4.まとめ|今後の売却戦略に向けて

8月のデータは、福山市の中古マンション市場が、「一部の条件の良い物件が市場価格を牽引し、その他多くの物件は、買い手の需要に合わせた価格調整が必要となる」という、物件ごとの価値がより選別される局面に入っていることを示しています。

 

【売主様へ】

「平均価格が上がっているから」という一つのデータだけで、ご自身の物件の売却価格を判断するのは早計かもしれません。

より市場の実態に近い「中央価格」や、売却にかかる期間の目安となる「在庫日数」にも目を向けることが重要です。

ご自身の物件が、豊富な在庫の中で「選ばれる」ための戦略を、専門家と共に冷静に立てることが、売却成功の鍵となります。

 

【買主様へ】

新規の供給が落ち着いているため、選択肢が急激に増える状況ではありません。

しかし、長期間掲載されている物件の中には、交渉の余地があるものも含まれている可能性があります。

気になる物件は、価格の推移を注視すると良いでしょう。

 

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福山市の中古マンション市場は、全ての物件が一様に上がる時代から、物件の価値がより慎重に見極められる局面へと移行しつつあります。

この市場環境を乗りこなすためには、正確なデータに基づいた専門家の視点が不可欠です。

ご自身の資産を最大限に活かすためにも、ぜひ一度、宅建マイスターの杉野にご相談ください。

 

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