2025年記事一覧
プロは『議事録』まで読み込む!マンション売却で失敗しない調査術
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
中古マンションを売却する際、管理会社から取得する「重要事項調査報告書」は非常に重要な書類です。
ここに「管理費等の変更予定なし」と書かれていれば、誰もが安心するでしょう。
しかし、もしその記載だけを信じて取引を進めた結果、引き渡し直後に買主様から「話が違う!」とクレームが入ったら…?
本日は、そんな「隠れたリスク」から売主様と買主様を守る、プロの調査術についてお話しします。
この記事は、不動産流通の専門誌「アットホームタイム8月号」に掲載された裁判事例を参考に、私の実務経験を交えて解説いたします。
【裁判事例】引き渡し直後に管理費が値上げ!一体誰の責任?
最近、まさにこのようなトラブルが裁判にまで発展した事例がありました。
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状況: 不動産会社が取得した調査報告書には「管理費等の変更予定なし」と記載。その通りに買主へ説明。
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現実: 引き渡しの直後、管理費と修繕積立金が大幅に値上げ。
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買主の主張: 「値上げ予定があったのに説明しなかった!」として、売主と不動産会社を提訴。
驚くべきことに、裁判所は「報告書に基づいて説明した業者に、法的な説明義務違反はない」として、不動産会社の責任を認めませんでした。
法的にはセーフでも、買主様は納得いかず、後味の悪い取引になってしまいました。
私たち不動産のプロは、法的な義務を果たすだけでなく、このような「感情的なトラブル」をも未然に防ぐ責任があると考えています。
アットホームタイム8月号 No.524より引用
なぜ調査報告書だけでは不十分なのか?「予定なし」の裏側
実は、管理会社は「総会で正式に決議されるまで」は、たとえ理事会で値上げの議論が進行していても、調査報告書には「予定なし」と記載するのが一般的です。
つまり、水面下で値上げの検討が始まっていても、その「兆候」は調査報告書には現れないのです。
ここに、トラブルの種が潜んでいます。
【私の実体験】議事録から「未来のリスク」を読み解き、トラブルを未然に防いだ話
先日、私が担当したお客様の事例です。やはり、管理会社から取得した重要事項調査報告書には「修繕積立金の変更予定なし」と記載されていました。
しかし、私は念のため、管理組合の「理事会の議事録」まで取り寄せ、内容を精査しました。すると、そこには「将来的な積立金の値上げは避けられない」という、将来の値上げを示唆する議論の記録がはっきりと残っていたのです。
私は買主様に対し、正直にこうお伝えしました。
「公式な報告書は『管理費等の変更予定なし』ですが、議事録を見る限り、近い将来に値上げされる可能性が高いです。その点もご承知おきください。」
買主様は、その透明性の高い説明に大変納得され、「正直に教えてくれてありがとう」と、安心して契約に進んでくださいました。
もちろん、引き渡し後にトラブルは一切起きていません。
まとめ:不動産取引で本当に大切なこと
▶不動産会社の方へ:調査の「タイミング」が成否を分ける
重要事項調査報告書の取得タイミングについてです。
この報告書は数万円の費用がかかるため、「契約が決まるまでは取り寄せない」という会社があると聞きます。しかし、その判断には大きなリスクが伴います。
契約直前に取得した資料から、大規模修繕の一時金徴収など、買主様の判断に影響する思わぬ事実が判明したらどうでしょうか。また、契約間際では、たとえ資料を入手しても十分に読み込み、お客様に説明する時間がありません。これではプロの仕事とは言えません。
私たち不動産会社は、極力、売主様と媒介契約を締結したタイミングで速やかに調査報告書を取得するべきです。これが、リスク管理の第一歩です。
さらに、本記事で述べたように、報告書だけでなく「直近の議事録」と「長期修繕計画書」まで精査することが求められます。特に長期修繕計画書は、その策定・改定時期を確認し、昨今の物価高や人件費上昇を鑑みて、計画が実態にそぐわないものになっていないかを見極める視点が不可欠です。私たちの仕事は、単に情報を流すことではなく、その背景を読み解き、未来のリスクを予見することです。
▶売主様へ:良い不動産会社の見極め方
安心して大切な資産を売却するためには、このような深い調査を実践してくれる不動産会社を選ぶことが重要です。
「調査報告書はいつ取得しますか?」「議事録や長期修繕計画書まで確認してくれますか?」と、ぜひ担当者に質問してみてください。その回答に、会社の姿勢が現れます。
▶買主様へ:安全な購入を目指すには
中古マンションの購入は、お部屋の見た目の良さや立地だけで決めてはいけません。
そのマンションが、将来にわたって資産価値を維持できるかどうかは、「管理が健全かどうか」に大きく左右されます。
その健全性をチェックする上で、特に重要な資料が「議事録」と「長期修繕計画書」です。
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議事録では、修繕積立金の値上げや、大規模修繕の計画が順調に進んでいるか、また住民間のトラブルなど、将来のリスクになりそうな問題が起きていないかを確認します。
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長期修繕計画書では、計画の策定・更新時期を必ず確認しましょう。もし何十年も前の計画のままだと、昨今の物価高や人件費の上昇が全く反映されておらず、将来、修繕積立金が大幅に不足して一時金が必要になる、といった事態に陥る可能性があります。
こういったマンションの「健康状態」は、これらの資料に記録されています。
気になる物件が見つかったら、必ず担当の不動産会社経由で取り寄せてもらい、内容を確認しましょう。誠実な担当者であれば、快く対応してくれるはずです。
当社は、表面的な情報だけでなく、その裏にある背景まで読み解き、すべての関係者が心から納得できる取引を目指しています。
不動産のご売却・ご購入でご不安な点がございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
経営理念と業績は両輪!セミナー参加で気づいた経営の原点
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
本日は「理念とは何か」について考える、5時間にわたるセミナーを聴講してまいりました。
今回は、そこで得た学びと気づきを共有させていただきます。
判断の軸となる経営理念と、日々の業務との間で感じた課題
当社は、「不動産を通して関わる全ての人に笑顔と人間愛を届ける」という経営理念を、昨年に策定しました。お客様や取引先様との関わりの中で自分自身の立ち居振る舞いに迷いが生じたときには、毎回この理念に立ち返って自分自身を見つめ直すようにしています。こうすることによって、毎回難しい局面で判断を迫られることがあっても、判断の軸がぶれることは少なくなったと感じています。
しかし、理念策定から約1年が経過する今、日々の業務に追われていると、目先の利益や短期的な成果を追い求めている自分がいるのではないかと思うときも出てきました。理念は変わりませんが、私自身を取り巻く環境やお客様の求めるニーズは日々変化します。そこで、再度理念について学びなおし、戦略にまで落とし込むことの大切さを感じ、今回の5時間セミナーに参加いたしました。
「経営なき理念はたわごと」 セミナーで突き刺さった言葉
5時間にわたるセミナーで講師が一貫して伝えていたのは、理念も大切だが、経営をしっかりやって業績向上を目指さないと意味がない、ということです。講師はこれを「経営なき理念はたわごと」という言葉で表現していました。経営=業績ととらえれば、業績が向上していないのに理念(夢や理想)を語っていては経営者として失格だということです。理想の姿を追い求め、なかなか成果の出ていない私に刺さる言葉でした。
それは本当に「お客様のため」か?独りよがりの理想への気づき
つい先日も別の勉強会の機会があり、企業の差別化とは何かを考えたことがあります。それは、「自分の考えている差別化は本当にお客様にとっての差別化になっているのか」という問いです。この時の問いと照らし合わせると、私が理想と思ってお客様に提案する商品やサービスがお客様のニーズに合致していないと、理念だけを追いかけて成果に繋がらないという事態が起こりえます。まさに「たわごと」を言っているに過ぎない、ということです。
おごりを捨て、真にお客様の課題解決に向き合う決意
今回のセミナーによって、自社の理念が本当にお客様の課題解決に繋がっているのか、そして業績向上に繋がっているのかを改めて確認する必要があると痛感いたしました。どこか、「理念を作って最高のサービスを提供しているのだから、これでお客様の支持も得られるだろう」というような、おごりや慢心があったのかもしれません。これではいけないと、改めて感じました。
もう一度私自身の立ち居振る舞いに問題がないかどうか、学びが足りているのかどうかを再確認しながら、最も大切なお客様の課題解決に向けて、自社の商品・サービス内容の見直しを進めていきたいと思います。
今回のセミナーは今の私にとって、まさに受けるべくして受けることのできた貴重なセミナーでした。ありがとうございました。
川口町一丁目・解体更地渡しですぐに家づくりを始められる売土地
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
本日は『川口町一丁目・売土地』を掲載いたしました。
日当たりの良い角地に立地しており、建物解体更地渡しですぐに家づくりをスタートできます。
建築条件は有りませんので、お好きな住宅会社様での建築が可能です。
生活便利な福山市南部エリアで、快適な生活を送りませんか。
詳しい物件情報は、こちらのページからご覧いただくことができます。
↓↓物件紹介ページ↓↓
【川口町一丁目・解体更地渡しですぐに家づくりを始められる売土地】
→その他物件情報はこちらからご覧いただけます。
※物件情報は2025年7月27日現在のものです。すでに売約済みの場合にはご容赦くださいませ。
不動産業の未来を拓く、AIと人のベストマッチング
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
先日7月23日(水)、一般社団法人不動産流通プロフェッショナル協会が主催する未来講座に参加しました。
本講座のテーマは、ずばり「生成AIが拓く、不動産流通事業の未来!」。
文章生成やデータ分析など、私も普段からAIの恩恵を受けていますが、今回の講座はそれを遥かに超える、業界の根幹を揺るがすほどの衝撃と可能性に満ちていました。
AIが「制作コストをゼロ」にする時代の到来
講座で特に印象的だったのが、GOGEN株式会社 和田浩明さんの「生成AIは制作のコストをほぼゼロにする」 という言葉です。
プロライターが作成したような文章や、高精度な画像を瞬時に作れる生成AIは、クリエイティブな活動への心理的なハードルを大きく下げてくれた、と実感されている方も多いのではないでしょうか。
さらに、不動産業の業務の約45%はAIで代替可能というデータも示され、業界が大きな変革期にあることを改めて痛感しました。
この変革の核となるのが、私が最も注目した「属人性の高い業務の可視化」です。
AIを活用することで、これまで個人の経験や勘に頼りがちだった業務を標準化し、お客様へより満足度の高いサービスを提供できる未来が見えてきました。
「声」を会社の資産に変えるAIの力
具体的にどういうことか。それは、お客様との商談を音声や動画で記録し、AIで分析するというアプローチです。
これまでの私の発想では、録音データを一つひとつ聞き返すのは、非常に手間のかかる非効率的な作業でした。
しかし、今やAIを使えば、瞬時に文字起こしされ、議事録が完成します。それだけではありません。
AIは、その商談内容を中立的な観点で評価し、改善点まで示唆してくれます。
講座では、ある営業担当者の実際の商談を録音した音声をAIが分析した結果、「お客様の話を深く聞く傾聴と共感の姿勢」や、「こまめに『いかがですか?』と問いかけ理解度を確認している点」が信頼関係の構築に繋がっていると、具体的に評価されていました。これは驚くべきことです。
トップ営業パーソンの無意識のスキルが言語化・マニュアル化され、組織全体の資産になるのです。
さらに、商談状況をリアルタイムで分析し、お客様との信頼を築くための最適な言葉選び、クロージングのタイミングや話法に至るまで、AIが指示を出してくれるというのですから驚きです。
実は、この講座での学びに感銘を受け、早速弊社でもこの取り組みを始めています。お客様にご承諾をいただいた上で商談を録音し、AIで分析する。
何より、自分では気づけなかった商談の進め方の癖や改善点をAIが客観的に示してくれるため、自身のスキルアップにも繋がると確信しています。
これまで多額の費用をかけて外部コンサルに依頼していた本格的な営業マニュアルが、自社のデータから、低コストかつスピーディーに作成できる時代が来たのです。
AI時代に「人」がすべきこと
もちろん、AIが全ての業務を代替するわけではありません。
講座でも繰り返し語られていたのは、「AIをベースに、人が伝えていく」というこれからのスタンダードです。
AIが作った完璧なマニュアルも、それを渡すだけで人が育つわけではありません。
大切なのは、AIが可視化してくれた「教えるべきポイント」を基に、指導者である人間が、現場の空気感やお客様の表情といった生きた情報と合わせて伝えていくことです。
「何を」伝えるか以上に、「誰が」伝えるかが重要になる。この言葉に、これからのAIと人との関わり方のヒントを得た気がします。
今回の講座を通じ、AIという画期的な技術が静かに、しかし確実に私たちの日常業務を変えつつあることに驚くと共に、「今まさに取り組まなければ、これからの不動産業界で生き残れない」という良い意味での危機感を抱きました。
特に、私たちのような中小企業こそ、しがらみがなく新しい挑戦ができるチャンスがあります。
AIの分析力と、人が本来持つ経験や共感力。この二つの「ベストマッチング」を追求し、それによって生まれた時間で「人にしかできない価値」をお客様に提供していく。非常に学びの多い、素晴らしい講座でした。
地域の皆様により良いサービスと安心をお届けできるよう、私自身も今回の学びを実践し、未来への一歩を踏み出してまいります。
【後編】なぜ成約までの期間や価格に差が出るのか?データで見る市場の現実
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
【前編】では、福山市の中古住宅市場で「取引は活況なのに平均価格は下落している」謎を解き明かし、その背景に「コストパフォーマンスを重視する購入者の、中心部から郊外への大移動」があることを解説しました。
では、需要が旺盛な市場で、全ての物件が順調に売れているのでしょうか?
今回の【後編】では、「成約日数」と「価格変動」に関するデータを基に、物件ごとに成約までの道のりに差が生まれている、市場のもう一つの側面に焦点を当てます。
1.【データが示す現実】成約までの期間と価格変動の実態
現実①:売却期間の長期化傾向
まず、売れるまでの期間です。
下の表は、成約までにかかった日数をまとめたものです。
成約日数 | 2023年度 | 2024年度 | 増加率 |
90日未満(3ヶ月未満) | 72件 | 88件 | +22% |
90日以上180日未満(3ヶ月以上6ヶ月未満) |
46件 | 54件 | +17% |
180日以上(6ヶ月以上) | 66件 | 130件 | +97% |
データが示す通り、3ヶ月以内に早く成約する物件も堅調に増えています。
しかし、それ以上に売却に半年以上を要した物件が、+97%と顕著に増加していることが分かります。
現実②:価格調整を経て成約する物件の増加
次に、売出価格と成約価格の差、つまり価格の変動率(値下げ率)を3つの区分で見てみましょう。
値下げ率 | 2023年度 | 2024年度 | 増加率 |
5%未満 | 106件 | 119件 | +12% |
5%未満10%以上 | 18件 | 32件 | +78% |
10%以上 | 60件 | 121件 | +102% |
「5%未満」の、ほぼ価格を変えずに成約した物件の伸びは+12%に留まる一方、価格調整を経て成約した物件、特に「10%以上」の調整が行われた物件が倍増していることが、より鮮明になりました。
2.【考察】なぜ、成約までの道のりに差が生まれるのか?
これらのデータから見えてくるのは、活況な市場の中にも、「スムーズに成約に至る物件」と「時間を要し、価格調整を経て成約に至る物件」という、二つの異なる流れが存在するということです。
この差が生まれる最大の要因は、「売出価格と、現在の市場が求める価格との調和」にあると考えられます。
購入者の目が厳しくなっている現在、市場の相場観と近い「適正な価格」で売り出された物件は、多くの購入者の目に留まり、スムーズな成約へと向かいます。
一方で、売主様の期待を込めた価格設定が、市場の相場観と少し離れている場合、購入者の選択肢から外れやすくなり、結果として時間をかけて価格を調整していく過程が必要になるのです。
3.【最終提言】今後のトレンドを見据えた、後悔しない不動産戦略
これまでのデータ分析で、現在の福山市の不動産市場が「コストパフォーマンスを重視する郊外シフト」と「初期価格設定が重要な二極化市場」であることが明らかになりました。
では、今後予測される「地価の上昇」「継続的な物価上昇」「賃金の上昇」という3つの大きな経済トレンドは、この市場にどのような影響を与えるのでしょうか。それを踏まえ、皆様への最終的な提言をまとめます。
地価・物価の上昇 → 郊外物件の魅力が相対的に高まる
今後、福山市全体で地価や物価が上昇し続けると、中心部の不動産はさらに高嶺の花となります。
結果として、価格が手頃な郊外エリアの物件を求める流れは、一過性のものではなく、さらに加速すると予測されます。
賃金の上昇 → 購入者の購買意欲と決断スピードが上がる
賃金の上昇は、住宅ローンの返済能力を高め、人々の購買意欲を刺激します。
しかし、同時に物価や不動産価格も上昇するため、「良い物件があれば、早く決断しないと買えなくなる」という心理が働きます。
これにより、市場の流動性はさらに高まり、優良物件の売却スピードは一層速まるでしょう。
この2つのトレンドが組み合わさることで、「適正価格の優良物件」と「そうでない物件」の格差、すなわち「二極化」は、今後さらに鮮明になっていくと考えられます。
【購入をご検討の方へ】求められるのは「決断力」と「柔軟な視野」
- 「時間」を味方につける準備を。
賃金上昇を待っていては、それ以上に不動産価格が上昇してしまう可能性があります。「良い物件が出たら、すぐに動ける」状態を作っておくことが、これまで以上に重要です。具体的には、信頼できる不動産会社をパートナーとし、資金計画(ローン事前審査など)を予め済ませておくこと。これが、競争に勝つための最低条件となります。
- エリアの「固定観念」を捨てる。
今回のデータが示す通り、魅力的な物件は中心部だけに存在するわけではありません。「郊外エリア」にまで視野を広げることで、予算内で理想の暮らしを実現できる可能性が大きく広がります。
【売却をご検討の方へ】鍵は「スピード」と「戦略的価格設定」
- 「高値チャレンジ」の幻想を捨てる。
今後の市場では、売れ残った物件は競合物件との価格差がますます広がり、より不利な状況に陥ります。「少し高く出して様子を見る」という戦略は、できる限り避けるべき選択です。いたずらに時間をかけることは、売却機会の損失に直結します。
- 「3ヶ月以内の成約」を目標とした価格設定を。
今回の分析が示す最も重要な教訓は、「初期の価格設定が、売却の成否をほぼ決定づける」という事実です。豊富なデータを基に「市場が今、本当に求めている価格」を正確に把握し、戦略的に売却活動をスタートさせることが、結果的にご自身の利益を最大化する、最も確実な近道となります。
最後に
私は宅建マイスターとして、このような複雑な市場のデータを多角的に分析し、お客様一人ひとりのご事情やご希望に寄り添いながら、最適な戦略をご提案することを使命としています。
複雑な市場だからこそ、信頼できるパートナーと共に、後悔のない不動産取引を実現しましょう。
売却のご用命、査定のご相談、各種お問い合わせはこちらからどうぞ。
【FMふくやま出演報告】7月18日放送で深掘り!福山市不動産市場、路線価と中古住宅の意外な関係
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
7月18日(金)、FMふくやま朝の番組「あさまる」のコーナーに、ゲスト出演させていただきました。
先日発表された路線価の上昇と福山市内の中古住宅の市場について、その意外な関係性についてお話しさせていただきました。物価上昇が続く中、不動産市場も変化の時を迎えています。
番組でお話しした主要なポイントを、私のこれまでのデータも基にして簡潔にまとめました。
▼出演時の音声はこちらからお聴きいただけます。
番組内容の要約
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路線価上昇の「真実」:
福山市内、特に福山駅前通り西側(三之丸町)の路線価は、前年比8.5%増と中国地方で2番目に高い伸び率を示し、4年連続で上昇しています。しかし、路線価はあくまで相続税などの税金を算定するための基準であり、実際の売買価格(実勢価格)とは異なる点に注意が必要です。路線価が上がっているからといって、必ずしも高く売れるわけではありません。
- 中古住宅市場の「郊外へのシフト」:
福山市の中古住宅市場では、取引件数が1.5倍に増加する一方で、平均価格は約180万円下落するという現象が起きています。これは、新築住宅の価格高騰により、「広い建物(100㎡以上)と広い土地(150㎡以上)」を求めるファミリー層(30代前半から半ば)が、予算的に手頃な郊外エリア(西部・北部)へと移り住んでいる「郊外へのシフト」が背景にあります。最も売れているのは1500万円以下の物件で、これらは福山市の西部や北部に多く見られます。
- 中古住宅の価値変化:
建物は築年数とともに価値が下がりますが、築30年程度の中古住宅の場合、建物の価値はすでに大きく下がっているため、購入後の「価値の目減り」は新築住宅に比べて小さいと考えられます。現在のライフプランと将来の計画をしっかり見据えた結果、中古住宅を選択する方が増えています。
まとめ:変化する市場で賢く動くために
福山市の不動産市場は、表面的な路線価の上昇とは異なる、様々な構造的変化が進行しています。
このような複雑な市場において、感覚に頼るのではなく、客観的なデータと市況の深い理解に基づいた不動産戦略が不可欠です。
不動産の購入、売却に関するご相談は無料です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
【前編】福山市の中古住宅、価格下落の真相。データが示す「中心部から郊外へ」静かなる大移動
こんにちは。
福山市の宅建マイスター、杉野です。
さて、現在の福山市の中古住宅市場で起きている、「取引件数は1.5倍に増える活況ぶりなのに、平均価格は逆に約180万円も下落している」という、一見すると矛盾した現象について、皆様はどのようにお考えでしょうか。
今回の【前編】では、このパラドックスを解き明かす鍵となる「購入者たちの静かなる大移動」に焦点を当て、データからその実態を解き明かしていきます。
1.【出発点】求められる「理想の暮らし」のサイズ
全ての物語は、人々のシンプルな願望から始まります。
新築住宅の価格高騰や物価上昇を背景に、中古住宅市場に目を向けたファミリー層。
彼らが求めるのは、新築で叶えたかったであろう「ゆとりのある暮らし」です。
その結果、市場では「広い建物(100㎡以上)」と、それを支える「広い土地(150㎡以上)」への需要が、データで明確に示されるほど高まっています。
データで見る「広さ」への需要 | 2023年度 | 2024年度 | 増加率 |
建物面積100㎡以上150㎡未満 |
78件 |
142件 |
+82% |
土地面積150㎡以上 |
136件 |
216件 |
+59% |
ファミリー層に最適な「100㎡~150㎡」の建物や、「150㎡以上」の広い土地を持つ物件の成約が、市場全体の増加率(+48%)を大きく上回って増加しています。
2.【必然の選択】エリア別データが示す「中心部から郊外へ」の明確な流れ
では、「広い土地に建つ、広い家」という理想の住まいは、福山市のどこにあるのでしょうか。
ここで、今回の「エリア別の地価(坪単価)」データが、購入者の行動を雄弁に物語ります。
エリア |
2024年度 平均坪単価 |
2024年度 成約件数 |
成約件数増加率 (前年比) |
中部 |
35.0万円 |
15件 |
-25% |
南部 |
33.6万円 |
19件 |
0% |
東部 |
21.1万円 |
63件 |
+43% |
西部 |
14.2万円 |
69件 |
+123% |
北部 |
9.9万円 |
106件 |
+51% |
地価が高く、坪単価が30万円を超える中部・南部エリアでは、成約件数が停滞、あるいは減少しています。
一方で、地価が手頃な西部・北部エリアの成約件数が爆発的に増加しているのです。
3.【決定的証拠】価格帯データが示す「市場の重心」の変化
そして、この一連の動きを最終的に証明するのが、「どの価格帯の物件が売れているか」というデータです。
成約価格帯 | 2023年度 | 2024年度 | 増加率 |
1500万円未満 | 97件 | 155件 | +60% |
1500万円以上 | 87件 | 117件 | +34% |
市場全体 | 184件 | 272件 | +48% |
ご覧の通り、市場の成長を牽引しているのは、明らかに「1500万円未満」の価格帯です。
この価格帯の取引は+60%という、市場全体の増加率(+48%)を大きく上回る勢いで増加しています。
この3つのデータを重ね合わせることで、購入者の行動原理が明確になります。
「同じ予算なら、少しでもコストパフォーマンスの良い選択をしたい」
地価の高い中心部を避け、坪単価が半分以下である郊外の西部・北部エリアを選ぶことで、購入者は「広い土地」と「広い家」という理想の暮らしを手に入れています。
つまり、平均価格の下落は、個々の家の価値が下がったのではなく、コストパフォーマンスを追求する人々が、価格が手頃な郊外エリアの物件を活発に取引した結果、市場の“取引の重心”が完全にシフトしたことによる、必然の帰結だったのです。
【後編へ続く】
さて、【前編】では「郊外シフト」という大きな人の流れが、データによって証明されました。
しかし、この活況な市場の裏側で、全ての物件が順調に売れているわけではありません。
次回の【後編】では、最新の「成約日数」と「値下げ率」のデータから、物件ごとに成約までの道のりに差が生まれている、市場のもう一つの現実に迫ります。
どうぞご期待ください。
お客様のために、もっと良い不動産のプロへ。業界の先進事例から学んだ大切なこと。
先日お客様へのサービスをさらに向上させるため、広島県宅建協会福山支部が主催する研修会に参加してまいりました 。
今回の講師は、不動産賃貸管理業を日本で初めて事業化したと言われる、三好不動産の三好孝一氏 。
業界の第一線を走るリーダーから、「これからの不動産業」について多くの学びを得ることができました 。
その中でも特に、私がお客様のために実践していきたいと感じた3つのポイントをご紹介します。
データに基づいた、的確なご提案
不動産の世界にはたくさんのデータが眠っています 。
例えば、どのような広告がお客様の目に留まりやすいのか、物件を探す方が何を重視しているのか、といった情報です。
これらのデータを一つひとつ集計し丁寧に分析することで、物件を「売りたい」「貸したい」お客様にはより効果的な広告戦略を、
「買いたい」「借りたい」お客様にはより精度の高いご提案が可能になります 。
感覚だけに頼るのではなく、データという客観的な事実に基づいてお客様の成功をサポートすること。これが私の目指すプロの姿です。
物件の魅力を最大限に。「オープンハウス」の新しい考え方
オープンハウス(現地販売会)というと、「家を売るためのイベント」というイメージが強いかもしれません 。
しかし、今回学んだのは、それだけではない新しい視点です。
それは、オープンハウスを「ご近所の皆様との信頼関係を築く機会」と捉えること 。
販売前はもちろん、無事に買主様が決まった後にも、ご近所の皆様に「おかげさまでご成約となりました」とご挨拶に伺うというお話がありました 。
実際に物件が売れたという事実が伝わることで、「うちも売却を相談してみようかな」という新たなご縁に繋がる効果があるそうです 。
デジタルが主流の時代だからこそ、こうしたアナログで丁寧な活動が、お客様の安心と信頼に繋がるのだと改めて感じました 。
すべては「人」から。従業員への投資という約束
研修の最後に、講師の「不動産会社の社長は従業員に教育のための投資をしていない」という言葉が耳に残りました。
私のような一人で営む会社では、サービスの品質は、私自身の知識や人間性に直結します。
だからこそ、お客様にとって最高のパートナーであるために、外部の研修や勉強会へ積極的に参加し、常に自分自身を磨き続けることが何よりも大切だと考えています。
絶えず学び続けること。それが、お客様に対する私の最も大切な約束です。
最後に
講師の三好氏が経営する会社も、最初は6名の小さな規模から始まり、一つひとつの取り組みを積み重ねてこられたそうです。
会社の規模に関係なく、お客様のために「良い」と思ったことは、まず実践してみる。
講師はこれを「知覚動考(ともかくうごこう)」という言葉で表現されていました。
この学びに感謝し、お客様への貢献という形で応えていけるよう、私自身、より一層努力してまいります。
福山中古マンションウォッチ(2025年7月)
こんにちは。
宅建マイスターの杉野です。
7月1日、広島国税局から2025年の路線価(1月1日時点)が発表されました。
価格は1平方メートルあたり51万円で、前年から4万円(8.5%)も上昇。
このように、土地の価値を示す「路線価」は力強い動きを見せています。
では、実際の「中古マンション」の売買市場は、この追い風を受けてどのように動いているのでしょうか。
今回は、最新である2025年6月度の市場データと合わせて、福山の不動産の「今」を徹底解説します。
1.【全体サマリー】2025年6月の主要データ
まずは、今月の主要な数値を一覧でご確認ください。
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70㎡換算 平均価格: 2,211万円(前月比 -2.2% 📉)
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70㎡換算 中央価格: 1,933万円(前月比 +0.3% ↔️)
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平均在庫日数: 259日(前月比 変動なし ↔️)
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流通物件数: 154件(前月比 変動なし ↔️)
2.【価格動向の深掘り】なぜ平均価格と中央価格の差が縮まったのか?
6月の最も注目すべき点は、下落する平均価格と、底堅さを見せる中央価格の動きにより、両者の価格差が縮小したことです。
これは、「一部の高額物件が相場を牽引する流れが落ち着き、市場のボリュームゾーンである中間価格帯の物件が安定してきた」ことを示唆しています。
その根拠を、次に解説する「築年帯別」のデータから探っていきましょう。
3.【築年帯別】市場動向の詳細分析 ― トレンド変化の主役はどこか
6月の市場トレンドの変化は、特定の築年帯の動きによってもたらされました。
主なポイント(2025年6月時点)
▶トレンド①:高価格帯の調整
これまで市場を牽引してきた築5年未満(-0.74%)、築10~15年(-2.38%)といった高価格帯の物件が価格調整に入りました。これが、全体の「平均価格」を引き下げた最大の要因です。
▶トレンド②:中間層の健闘と築古の反発
一方で、築15~20年(+2.92%)、築30~35年(+5.11%)、築40年以上(+5.36%)といった、中間層や築年数が経過した物件の価格が力強く上昇。これが「中央価格」の底堅さを支えました。
▶在庫日数の変化
築15~25年の物件は、価格が上昇しつつも在庫日数が大幅に短縮(-24%前後)しており、需要の強さが際立っています。まさに今、市場で最も活発に動いているカテゴリーと言えるでしょう。
築年帯別データ詳細(2025年6月)
年代 | 在庫日数(日) | 70㎡換算(万円) | 物件数 | 前月比(価格) | 前月比(日数) | 市場割合 |
全体平均 | 258.88 | 2210.72 | 154 | -2.25% | -0.23% | 100% |
5年未満 | 246.40 | 4160.92 | 25 | -0.74% | 23.92% | 20% |
5~10年未満 | 247.50 | 2901.64 | 4 | 2.11% | 30.26% | 3% |
10~15年未満 | 184.60 | 3134.32 | 15 | -2.38% | -14.57% | 7% |
15~20年未満 | 224.00 | 2245.21 | 15 | 2.92% | -23.99% | 8% |
20~25年未満 | 164.08 | 2104.88 | 13 | -5.08% | -24.18% | 6% |
25~30年未満 | 344.15 | 1761.30 | 13 | 1.77% | 13.08% | 10% |
30~35年未満 | 264.32 | 1514.77 | 37 | 5.11% | 4.24% | 27% |
35~40年未満 | 284.95 | 1398.71 | 19 | -4.21% | -13.55% | 10% |
40年以上 | 368.23 | 865.02 | 13 | 5.36% | 4.27% | 8% |
4.【供給動向】需給は均衡状態へ
市場全体の流通物件数は154件と、前月から横ばいでした。
新規売出26件に対し、掲載終了が29件と、需要と供給が釣り合っており、市場が新たな均衡点を探っている状況がうかがえます。
※過去に掲載終了していた物件が再掲載される場合があるため、流通物件数が変動しないことが有ります。
5.まとめ|2025年6月市場のポイントと今後の展望
2025年6月の市場動向から、以下の3点が明らかになりました。
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地価と建物価格の「温度差」: 路線価に見られる駅前の力強い地価上昇と、中古マンション市場全体の価格動向には少し「温度差」があります。地価の上昇が、必ずしも全ての中古マンション価格に直結しているわけではありません。
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二極化から多極化へ: これまでの「一部の築浅・高額物件が牽引する市場」から、「中間層や築古物件が価格を下支えする」という、より複雑で多極的な市場へと構造が変化し始めています。
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「築15年以降」の物件に注目: 今回のデータでは、特に築15年を超えた物件の価格が堅調でした。市場の評価軸が変化している可能性があり、今後の動向を注視する必要があります。
【売主様へ】
路線価上昇のニュースは心強いですが、それに惑わされず、ご所有マンションの「築年帯」が今どのような評価を受けているかを正確に把握することが重要です。
特に築15年以上の物件をお持ちの場合、現在の市場は追い風となる可能性があります。
【買主様へ】
これまで高値だった築浅物件の価格が調整され、狙いやすくなっています。
一方で、リノベーション前提で探されることの多い築古物件の価格は上昇傾向にあるため、予算計画には注意が必要です。
ご自身の希望する築年帯の「今」の動きを知ることが、賢い購入への第一歩です。
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ご所有マンションの正確な価値や、最新市況に合わせた売却戦略にご興味のある方は、ぜひ一度、株式会社杉野伸不動産事務所までご相談ください。
専門的な知見に基づき、お客様一人ひとりに最適なご提案をいたします。
売却のご用命、査定のご相談、各種お問い合わせはこちらからどうぞ。
相続登記義務化から1年。データで見る中古住宅市場のリアルな変化
福山市の不動産市場、相続登記義務化から1年の動向と展望
こんにちは。
宅建マイスターの杉野です。
2024年4月に施行された「相続登記の義務化」から1年以上が経過し、不動産市場、特に中古戸建市場への影響に関心が集まっています。
この制度は、不動産の購入や売却をご検討されている皆様にとっても、無視できない重要な変化をもたらしています。
本稿では、実際の市場データを基に、現在の中古戸建市場で観測される主要なトレンドを分析し、今後の展望と考察を解説いたします。
1. はじめに:相続登記義務化とは
相続登記の義務化とは、不動産を相続した方が、その事実を知った時から3年以内に法務局へ登記申請を行うことを義務付ける制度です。
これまで任意であった手続きが必須となり、正当な理由なく怠った場合には過料が科される可能性もあります。
この制度は、所有者不明土地や空き家問題の解決に繋がる一方、個々の不動産取引においては、より複雑な権利関係や法律知識が求められる場面が増えることを意味します。
2. 市場への影響:福山市における現状分析
制度施行から1年が経過した現在、福山市の中古戸建市場が物件で溢れるといった急激な変化は見られません。
これには、相続発生から売却活動開始までに時間を要する「タイムラグ」や、3年間という「猶予期間」の存在が影響していると考えられます。
しかし、市場データをつぶさに分析すると、決して変化がないわけではなく、むしろ今後の市場動向を占う上で重要な、構造的変化の兆候が見られます。
3. データから読み解く、福山市中古戸建市場の3つの主要トレンド
以下では、実際の市場データを基に、現在観測されている3つの主要なトレンドについて解説します。
トレンド①:供給は横ばい、しかし需要は力強く増加 — 市場の需給バランスに変化
まず最も注目すべきは、市場の需給バランスに大きな変化が見られる点です。
一部では相続登記義務化による供給増が予想されていましたが、福山市のデータを見ると、新規売出件数は2023年度(23年4月~24年3月)の月平均約69件に対し、2024年度(24年4月~25年3月)は月平均約67件と、ほぼ横ばい、むしろ微減で推移しています。
これは、売却を急ぐ所有者がまだ限定的であることを示唆しています。
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福山市中古戸建 売出・成約件数の推移(月平均)
2023年4月~2024年3月 | 2024年4月~2025年3月
▶新規売出件数 | 約69件 | 約67件(微減)
▶成約件数 | 約15件 | 約23件(増加)
このデータが示す最も重要なポイントは、「市場に出てくる物件の数が増えない中で、買いたい人が大幅に増えている」という市場の引き締まりです。
これにより、市場の在庫は減少傾向にあり、需給バランスは「売り手市場」へと傾きつつあると考えられます。
トレンド②:供給物件の多様化と市場価格の安定化
次に、市場の価格動向です。結論から言うと、中古住宅の平均成約価格は明確な下落傾向を示しています。
トレンド①で見たように全体の供給量は横ばいですが、その内訳として相続等を契機とした多様な物件が流通し始めていることが、価格に影響を与えていると考えられます。
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福山市中古戸建 平均成約価格の推移
▶2023年度: 約1626万円
▶2024年度: 約1444万円
1年間で平均価格が約180万円下落していることが分かります。
これは、個々の物件価値が下がったというよりも、比較的手頃な価格帯の物件が市場に増え、全体の平均値を押し下げている可能性が高いことを示唆しています。
買い手にとっては予算内で検討できる物件の選択肢が広がっている一方、物件の質を慎重に見極める必要性が高まっているとも言えるでしょう。
トレンド③:成約日数に見る「二極化」の進行
第三のトレンドが、市場の「二極化」です。
トレンド①で見たように市場が売り手優位に傾き、買い手間の競争が激しくなるほど、買い手はより慎重に物件を選別するようになります。
その結果、条件の良い物件とそうでない物件とで、売却期間に大きな差が生じています。
この事実は、成約日数の「平均値」と「中央値」の乖離から明確に読み取れます。
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成約日数のデータに見る二極化
▶中央値(※):約5~6ヶ月
▶平均値:約8~9ヶ月
※中央値:成約物件を期間が短い順に並べた時、ちょうど真ん中に位置する物件の売却期間
中央値が5~6ヶ月であるのに対し、平均値がそれよりも長いのは、一部の売却に時間のかかる物件が全体の数値を引き上げているためです。
これは、「条件の良い物件は競争の末、速やかに成約する」一方で、「そうでない物件は買い手から選ばれず、長期にわたり市場に留まる」という二極化した実態を如実に示しています。
4. 今後の市場との向き合い方:購入・売却をご検討の方へ
これらのトレンドを踏まえ、今後の市場とどう向き合うべきか、考察します。
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購入をご検討の方へ
市場が引き締まり、良い物件を巡る競争は激しくなっています。
信頼できる専門家と連携し、情報収集を密に行い、内覧から購入申し込みまで迅速に判断できる準備をしておくことが重要です。
ただし、焦りは禁物です。多様な物件の中から、将来的な価値も見据えた冷静な判断が求められます。
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売却をご検討の方へ
現在は売り手にとって比較的有利な市場環境と言えます。
しかし、「二極化」が進んでいることからも分かる通り、どんな物件でも高く早く売れるわけではありません。
買い手はより物件を厳しく見ています。適正な価格設定と、物件の魅力を最大限に伝える売却戦略が、成功の鍵を握ります。
5. 最後に:複雑な不動産取引こそ「宅建マイスター」へ
本稿では、相続登記義務化から1年が経過した福山市の中古住宅市場について、データに基づいた分析を行いました。
市場は、需要の増加と供給の多様化を背景に、新たな局面を迎えています。
このような変化の時代においては、感覚だけに頼るのではなく、客観的なデータと市況の深い理解に基づいた不動産戦略が不可欠です。
特に、空き家を含む相続不動産の問題は、法律や税金も絡む複雑なケースが少なくありません。
高度な専門知識と倫理観を併せ持つ「宅建マイスター」として、複雑な不動産取引においてもお客様の利益を守り、適正な取引が実現できるよう最後までサポートすることをお約束いたします。
豊富な経験と専門知識を基に、皆様一人ひとりの状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。
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