【マンションウォッチ】売出平均価格は下落傾向も、成約12ヶ月移動平均は3ヶ月連続反発で実需堅調

毎月恒例の「福山マンションウォッチ」、今回は2026年9月度(10月1日集計)の最新市場データをお届けします。

秋の不動産商戦が本格化する中、長期的な推移グラフを見ると非常に分かりやすい変化が起きています。

それは、「売出の平均価格が下落傾向にある一方、成約12ヶ月移動平均は反発して3ヶ月連続で上昇している」という点です。

売り手の希望価格と買い手の実際の成約価格が歩み寄る中で、売出在庫件数も春のピークに迫る「過去最多水準の169件」まで積み上がってきました。

1.【全体サマリー】2026年9月度の主要データ

まずは当事務所で毎月定点観測している全体推移データをご覧ください。

 

  • 平均在庫日数:298日📉(前月比-10日)
  • 70㎡換算 平均価格:2,087万円📉(前月比-4.18%)
  • 70㎡換算 中央価格:1,796万円📉(前月比-2.07%)
  • 流通物件数(在庫):169件📈(前月比+12件)4月(174件)に迫る過去最多水準
  • 掲載終了件数(成約等):15件📉(前月比-3件)
  • 新規売出件数:25件📈(前月比+3件)
  • 平均 vs 中央 ギャップ:290万円📉(前月比-54万円)
  • 70㎡換算 単月成約平均:2,116万円📈(前月比+26万円)
  • 成約12ヶ月移動平均:1,915万円📈(前月比+4万円)3ヶ月連続上昇
  • 成約3ヶ月移動平均:1,970万円📉(前月比-10万円)
  • 価格改定件数:13件📈(前月比+3件)
  • 値下げ単価:89万円📉(前月比-9万円)

※70㎡換算(成約平均・12ヶ月移動平均・3ヶ月移動平均)の2026年7月、2026年8月数値は、最新の成約データに基づき更新しています。

2. データの深層分析:グラフでわかる市場の大きな変化

①【価格トレンドの対比】「下落する売出平均」と「反発する成約移動平均」

グラフで長期的な価格の動きを見ると、非常に分かりやすい傾向が視覚的に現れています。

  • 売出平均価格は「下落傾向」:
    2024
    年末〜2025年初頭には2,300万円台まで過熱していた売出平均価格は、その後緩やかな下落基調に転じ、今月は前月の2,178万円から2,087万円(前月比 -91万円 / -4.18%)へと下落しました。高額プレミアム物件の掲載終了や、築古物件を中心とした価格改定が重なり、売り手の希望価格が現実的な水準へと下がってきています。
  • 成約12ヶ月移動平均は「反発して上昇傾向」:
    一方で、買い手が実際に購入した価格の長期トレンドを示す「成約12ヶ月移動平均」は、2026年6月の1,891万円を底に、7月(1,904万円)→ 8月(1,911万円)→ 9月(1,915万円)と3ヶ月連続で反発・上昇しています。

つまり、「売り手の希望価格(平均価格)が下がり、買い手の実勢価格(成約移動平均)が上がったことで、両者の価格差が縮まってきている」状態です。手が届きにくい高値圏の歪みが解消され、実需の取引相場(約1,900万〜2,000万円)へと市場全体が歩み寄っている様子がグラフからも見て取れます。

②【在庫動向】在庫は過去最多水準の「169件」。在庫日数298日は「見かけ上の改善」

売出在庫件数は前月比+12件の「169件」に達し、春先(4月の174件)に迫る過去最多水準を記録しました。新規売出が25件と活発だったのに対し、成約・掲載終了が15件にとどまったため、市場に滞留する物件が増加しています。

一方、平均在庫日数は前月の308日から「298日」へと10日短縮し、目安となる300日を下回りました。

ただし、これは物件の回転が急激に速くなったわけではありません。

  • 新規売出25件が大量に流入し、全体の平均値が薄まったこと
  • 6,000万円台の高額物件や、経過500日を超える長期滞留物件が掲載終了(市場から退出)したこと

上記による「統計上の見かけの若返り」という側面が強いため、売り手目線では「売れやすくなった」と油断するのは禁物です。

 

③【成約の実態】成約単月は2,116万円。実需の優良ファミリー物件が好調

成約データが示す通り、実需層の購買意欲そのものは決して落ちていません。

今月の70㎡換算成約平均価格は2,116万円と、8月(2,090万円)に続いて2ヶ月連続で2,000万円を超えました。短期の「成約3ヶ月移動平均」も1,970万円と高水準を維持しています。

【9月に成約が確認された主な物件傾向】

  • 中心部・駅近エリア(築15〜20年前後・専有80㎡超):3,500万円前後(70㎡換算 約3,000万円)
  • 東部エリア・利便立地(築10〜15年前後・専有80㎡超):2,600万円台(70㎡換算 約2,300万円)
  • 中心部近郊(築40年超・リフォーム済ファミリータイプ):800万〜900万円台(70㎡換算 約1,100万〜1,200万円)

駅近や生活利便性の高い人気エリアで、広さ(80㎡前後)と管理状態が良好なファミリータイプは、2,500万〜3,500万円前後でもしっかりと成約に至っています。

④【年代別分析】築年数による鮮明な二極化

築年数帯

在庫数(構成比)

平均在庫日数

70㎡換算平均価格

価格

改定率

築5年未満

18件(11%)

354日

4,820万円

5.60%

築5〜10年未満

9件(5%)

188日

2,942万円

11.10%

築10〜15年未満

5件(3%)

405日

2,755万円

0.00%

築15〜20年未満

19件(11%)

183日

2,692万円

0.00%

築20〜25年未満

12件(7%)

268日

2,034万円

0.00%

築25〜30年未満

23件(14%)

240日

1,789万円

4.30%

築30年以上

83件(49%)

222〜494日

845〜1,495万円

10.3〜15.0%

 

  • 築15〜20年の実需が主役: 在庫日数は183日と市場最短。立地・専有面積・価格のバランスが取れた物件は成約スピードが際立っています。
  • 築浅・高価格帯(築5年未満)の膠着: 在庫日数354日と長期化。実需層のローン上限を超える4,000万〜7,000万円台は動きが重く、販売取り下げが目立ちます。
  • 築30年以上の価格競争: 在庫の約半分を占める激戦区。改定率も高く、リフォーム済みで総額1,000万円前後に抑えられた物件に需要が集中しています。

 

3. まとめ:今後のトレンド予測と戦略

2026年9月度は、「売出平均価格が下落傾向を見せる一方で、成約12ヶ月移動平均が底を打って反発・上昇傾向を強める」という、売り手と買い手の価格感が実勢水準へと近づいてきた1ヶ月でした。

◆ 売主様へのアドバイス:「在庫169件の比較時代」における適正値付け

  • 売出平均価格が下落している今こそ「適正価格」が勝負:
    買い手は169件もの過去最多水準の在庫の中から厳しく吟味しています。高値チャレンジは長期滞留を招くリスクが高いため、実需の成約相場(2,500万〜3,500万円帯/リフォーム済1,000万円前後)を意識した初期設定が年内成約の鍵です。

◆ 買主様へのアドバイス:選択肢豊富な好機、ただし「良質物件」の即決力は必須

  • じっくり比較できる絶好のタイミング:
    売出平均価格が落ち着いてきているため、無理な高値掴みを避けやすい環境です。
  • 「築15〜20年・駅近・80㎡超」の良質物件は迷わず動く:
    成約移動平均が上昇している通り、条件の良い人気物件は水面下で早く決まっています。相場通りの適正価格で出た良質物件に出会った際は、迅速な判断をお勧めします。

 

福山市の中古マンション市場は、まさに価格の「正常化・リセット期」を迎えています。

データに基づいた具体的な売却・購入戦略や、ランニングコストを考慮した資金計画については、ぜひ杉野伸不動産事務所までお気軽にご相談ください。

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